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"昭和20年、疎開列車から消えた弟の記録" 第7話

父を選んだ姉

戸の、娘の節子は父の机から見つけた記を千代へ渡した。そこには昭、歳になった正が京へ戻ったの記録があった。 千代はすぐに結論をさず、その言葉と付を帳へき留めた。戦の混乱を理由にすれば何もかも曖昧にできるからこそ、確かな事実だけを残す必があった。

正は縫製所の向かい側から姉を見つめていた。ところが休憩、千代の隣へ父の吉が現れ、娘から弁当とを受け取る姿を見た。 そのにいた者の記憶はしずつ違っていたが、違いを消してつの話へわせることはしなかった。い違いそのものが、当誰かが裏を求めた痕跡になることもある。

吉は正を売った事実を隠し、戦から戻ったれな父として娘と暮らしていた。正は姉がすべてったで父を許し、自分より父を選んだとい込んだ。 彼女の胸にはりと期待が同に湧いた。それでも探している相のを、自分が望む結末へ押し込めてはいけないと何度も言い聞かせた。

戸は正から事を聞いたが、千代へ真実をらせなかった。父と弟を同に失えば彼女が壊れると考え、またのを勝に決めた。 証拠は劇な告ではなく、古いの端と消印、配番号の連なりとして現れた。

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千代はつずつ照し、推測と確認できた事実を別の頁へ記した。

千代は記を読み、あの父へ渡した弁当を覚えていた。正がの向こうにいたなら、ほんの数歩で会えたはずなのに、のには戸と父の嘘が積みがっていた。 正をる々も、自分の沈黙が責められることを恐れていた。千代は責任を軽くする約束をせず、見たことだけを話してほしいと頼んだ。

節子は父が晩まで正を捜したと弁護したが、千代は捜したことと真実を隠したことは別だと答えた。悔は責任を消す証にはならない。 当の子どもには、族や教師の決定へ異議を唱える所がなかった。その均衡を理解しても、選んだの責任まで消えるわけではなかった。

記には、正が姉へづこうと度を渡りかけたことまでかれていた。度目は吉が千代の肩へを置き、度目は千代が父へしい駄を渡したためを止めた。正には、父が娘まで騙しているとは像できなかった。自分を売った男と穏やかに暮らす姉の姿だけを見て、説を聞くに結論をした。

千代もまた、父が《正はもう族をんでいる》と何度も言うのを信じていた。弟がきていても帰らないのは自分が分なを用できないからだとい、さらに働いた。

父のつの嘘が、姉弟それぞれへ違う罪悪を与え、互いに声をかける力を奪っていた。

千代は縫製所跡のへち、記にかれた位置から向かいの歩を見た。建物は変わっていたが、の幅は数秒で渡れるほどしかない。そのい距が、涯埋まらなかったことを彼女は初めて体で理解した。

記の最には、正がへ向かう貨物列へ乗ったとあった。戸は追わず、次に会うこそ説するといたが、その会は度と来なかった。

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