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"昭和天皇がマッカーサーに告げた「責任」" 第3話

「(これが、が兵士たちを何万もに追いやった狂信国の神か。あまりにもさく、あまりにも頼りない)」 バワーズは淡な観察者として、ドアの脇へとがった。 予定された会見は分。 けない泣き言が始まるのを、ただややかに記録する筈だった。

「どうぞ、お掛けください」

マッカーサーは革張りのソファを指差し、自らも向かい側のシングルソファへとく腰をろした。 同席を許されたのは、通訳の奥勝蔵ただ。バワーズはドアので警護と監を兼ねて直していた。

テーブルのには、真鍮のライターと、アメリカ製の級煙『アメリカン・ラッキー・ストライク』のの缶が置かれていた。 マッカーサーは缶の蓋をけ、自ら本を抜き取ると、図に皇の目のへと突きした。

「本いかがかな、ヒロヒトさん。本国から届いたばかりの極品だ。貴方も煙を嗜まれると聞いている」

相が緊張と恐怖に震えていることを見越したでの、骨な精神揺さぶりだった。 勝者の施しを受け入れ、毒気を抜かれた敗者が卑屈な笑みを浮かべる――マッカーサーが過のあらゆる交渉で用いてきた、主導権を握るための理術(プシュケー)である。

バワーズは固唾を呑んで見守った。 皇のが、微かに震えていた。

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やはり恐怖しているのだと誰もがった。 しかし、皇はその煙にを伸ばすことはしなかった。 両を膝のにきちんと揃え、々とをげて、静かに答えたのだ。

「お遣い、謝いたします。しかし、煙は結構です。……私が本、閣にお会いしたいと願いましたのは、ただ言、どうしてもお伝えしなければならないことがあったからであります」

奥が英語に訳す。 マッカーサーは眉をピクリとかし、煙をくわえたままライターのをつけた。 カチリという属音が、苦しい内に響く。

「ほう。言とは何かな。……貴方の処遇について、何か希望があるというのなら、聞くだけは聞いてやろう。ワシントンからの向きは、貴方にとって極めて厳しいものになっているがね」

あらかじめ用された罠のような問いかけ。 『私を戦犯にしないでほしい』『皇の財産を没収しないでほしい』『退位だけは免除してほしい』――どのような命乞いがびそうとも、即座に徹な論理で叩き潰し、無条件伏のみを骨の髄まで分からせる準備が、マッカーサーの脳のにはっていた。

だが、皇のから紡ぎされた最初の本語は、通訳の奥の唇を凍りつかせ、バワーズの背筋を戦慄させ、そしてマッカーサー元帥のパイプを持つを、空で完全に直させるものだった。

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「私は――」

皇は静かに顔をげた。 鏡の奥にあるその双眸には、先ほどまでの恐怖や緊張のは完全に消えっていた。 そこにあったのは、自らの全霊を投げ打ち、へび込む覚悟を完した者だけが放つ、澄み切った絶対の静寂だった。

「私は、戦争を遂するにあたって、本国民が政治、軍事の両面でったすべての決定とに対して、責任を負うべきただのであります」

奥が、声を震わせながらその言葉を英語へと変換した。 その瞬、応接の気圧が急激にがったかのような錯覚を、バワーズは覚えた。

「……何だと?」

マッカーサーのから、くぐもった声が漏れた。 元帥の眉くに、信じられないものを見るような亀裂がる。

通訳の奥は、涙を堪えながら、震える声で昭皇の言葉を言句違わずに伝え続けた。 皇の調は、取り乱すこともなく、を昂ぶらせることもなく、まるで淡々と自らの刑執を読みげるかのように静謐だった。

「文武百官(軍および政府官)のった為のすべては、私の任命によるものであり、私の名においてわれたことであります。したがって、すべての責任は私にあります」

皇は、自らの痩せた胸のに、そっとを当てた。

「私自がどう処罰されようとも、切の弁はいたしません。

絞首刑になろうとも、どのような極刑を受けようとも、私は連国のいかなる裁定にも従う覚悟でここへ参りました。

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