"昭和天皇がマッカーサーに告げた「責任」" 第13話
夕張炭鉱を訪れた際、皇はかつて樺太(サハリン)から命からがら引き揚げてきた炭鉱夫の族たちのを、軒ずつ訪ねて回った。 畳も敷かれていない板張りの部に、皇は膝をついてがり込み、赤ん坊のを撫でた。
「寒いところへ、よく無事で帰ってきてくれましたね。……苦労がいたろうが、体を壊さないようにね」
母親が、赤ん坊を抱いたまま畳に額を擦り付けた。 「陛……! がは、シベリアで夫を失いました。でも、陛がこうしてを取ってくださった……それだけで、夫の魂も救われます……!」
皇は、自らのポケットからいハンカチを取りし、そっと目を押さえた。 「……ありがとう。私こそ、皆さんに勇気づけられてきました」
半、マッカーサーが「自殺為だ」と警告した巡幸。 世界の軍事専が「民衆にを投げられて惨殺される」と予測した旅。 その結末は、度の暴も、度の敬事件も起きることなく、ただ無数の涙と、々の「き直す勇気」によって完遂されたのである。
京へ戻る最の夜、札幌の宿舎の窓辺にった皇は、の夜空に瞬く無数のを見つめていた。 そこには、かつてにりった征者の軍勢も、ヶの法廷の銃剣も、もうしなかった。 ただ、傷つきながらも誇りくちがった、千万の同胞の確かな鼓が、を揺るがしていた。
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昭()。 抜けるようなれの京の空に、航空自隊ブルーインパルスが描く、見事な輪のマークがく広がった。
京オリンピック会式。 国競技の貴賓席に、歳になった昭皇がっていた。 世界の国と域から集まった選団が、復興を遂げた帝都のメインスタジアムを誇らしげにしていく。 焼け野原だった京は、層ビルがち並び、幹線が疾し、速が張り巡らされた、世界屈指の代都へとまれ変わっていた。
「……第回代オリンピアードを祝い、ここに、オリンピック京会の会を宣言します」
皇の力い会宣言が、世界へ継された。 その声に、敗戦のはもはや微もなかった。
その半、昭。 アメリカ・ワシントンの陸軍病院において、ダグラス・マッカーサー元帥は、歳の涯を閉じていた。 そのの直、回顧録を執していた元帥は、かつての副官フォビアン・バワーズに対し、最ののでこうき残していたという。
『私は涯において、世界のあらゆる指導者、将軍、統領と会ってきた。 しかし、昭の朝、赤坂の公邸で私のに現れたあの柄な男ほど、気く、崇な精神を持った物に、私はにも先にも会ったことがない。
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自らの命を投げして民を救おうとしたあのの彼の姿こそが、敗墟のから本を鳥のように蘇らせたのだ。 私はあの朝、現神などという迷信の化けの皮を剥ぎ取ったのではない。 ただ、神を遥かに超越した、真に偉な「」の魂を、この目で目撃したのだ』
バワーズは、晩、本を再訪した際、皇居ののに佇み、濠の静かな面を見つめていた。 戦、本の古典芸能をした青将は、髪の老紳士となり、かつて自分が抱いた「勝者の傲」を、静かに懺悔していた。
皇とは何者だったのか。 それは、権力を振るう独裁者でもなく、神棚に祀られる無質な偶像でもなかった。 国が最の危に瀕した、全ての罪をに背負い、国民のためにを垂れ、共にをすすって歩み続けた――永の「祈りの」であった。
夕暮れの皇居の森に、のが優しく吹き抜けていく。 その森の奥く、今もなお、国の寧と世界の平を祈り続ける静かな灯が、遥かな未来を照らすように、かく揺らめいていた。
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