みかん小説
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"「飯抜き」と言われたので、夫との生活を全部やめました" 第1話

のたいが、オフィスの窓ガラスを絶えなく叩いていた。

彩綾野(はるいろ あやの)、歳。国内命保険会社の首都圏支社で、法拓と個向け資産形成プランを担当するファイナンシャル・コンサルタントとして働いている。顧客のライフステージに寄り添い、将来のキャッシュフロー表を精緻に組みてていくのが彼女の仕事であり、持ちの几帳面さと粘りさで、営業成績は常に支社の位に位置していた。

、歳の夫・裕介と結婚した。都内の堅化学メーカーで営業企画を担当していた裕介は、交際当は清潔のあるスーツを着こなし、将来のキャリアプランをに語る好青に見えていた。収も同代の平均よりややく、周囲からも「堅実で素らしい結婚相を見つけたわね」と祝福されたものだった。

だが、その「堅実」という板は、ある突然、音をてて々に砕け散った。

昨の、曜の夜のことだった。

綾野が回りの営業から疲れて帰宅すると、裕介はまだ午だというのに部着のスウェット姿でリビングのソファにく沈み込み、缶ビール片にテレビのバラエティ番組を眺めていた。卓のには、コンビニの袋と脱ぎ捨てられた靴が無造作に転がっている。

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「ただいま、裕介さん。今はずいぶんいのね。ノー残業デーだったの?」

綾野が仕事用の革鞄をローボードに置き、トレンチコートを脱ぎながら尋ねた。すると、裕介はビールの缶をプルトップごと揺らし、事も無げに信じがたい言葉を放ったのだ。

「ああ、綾野。お疲れ。……いやさ、俺、今で会社辞めてきたわ」

「……は?」

コートをハンガーに掛けようとしていた綾野の腕が、宙で完全に凍りついた。言葉のを脳が処理しきれず、の奥でキーンという鳴りが響いた。

「辞めてきたって……何を言っているの? 会社って、あなたの勤め先の?」

「そうだよ。退職届、事部の机に叩きつけて消化の続きも全部済ませてきた。から俺は自由のってわけ」

裕介は悪びれる様子もなく、むしろ武勇伝でも語るかのように得げに胸を反らせた。

「な……なんで!? 何の相談もなしに、どうしてそんななことを勝に決めるのよ!」

「相談したらお、どうせ反対するだろ? 男の決断に横槍を入れられたくなかったんだよ。それにさ、俺には次のステップがあるんだ。いつまでものサラリーマンで燻ってる器じゃないってこと」

「次のステップって何なのよ。転職先は決まっているの?」

「決まってねえよ。これから資格を取るんだ。俺はな、ファイナンシャルプランナーの級を目指す。

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独して富裕層相のコンサルタントになれば、収千万円なんて通過点だろ? おも保険だから分かるだろ。俺のこのポテンシャルを活かさないはないんだよ」

綾野は激しい痛を覚え、額を押さえた。

ファイナンシャルプランナーという職業の価値は、保険業界にを置く綾野自が誰よりも熟している。だが、それは々の実務経験、税務や法務の緻密な識、そして何より顧客からの臭い信頼の積みねがあって初めて成するプロフェッショナルな世界だ。いつきで資格をつ取ったからといって、顧客が勝に群がってくるほど甘い業界ではない。

「仕事を続けながら勉することだってできたはずでしょう? なんでいきなり無収入になるような真似をするの!」

「俺は途半端な兎を追うき方が嫌いなんだよ。背の陣を敷いて、最距で結果をす。それがデキる男のやり方だ。……まあ、資格を取るまでの当分のの活費は、おが全部よろしく頼むな。夫婦なんだから、困ったは支えうのが当然だろ?」

裕介はそう言って、み干したビールの空き缶をテーブルのに無造作に転がした。

その瞬から、計は完全に破綻のレールへと乗せられたのだった。

夫の突然の退職に伴い、世帯の収入構造は夜にして激変した。

賃万円の分譲賃貸マンション、費、通信費、費、用品代、果ては裕介の国民保険料や国民健康保険税、民税の普通徴収分に至るまで、すべての支払いが綾野の個座から引き落とされるようになった。

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