みかん小説
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"1000万円のハワイ旅行を贈ったら、私だけ家族から外されました" 第1話

「今回は、彩佳のご両親だけだよ」

初のが差し込む、タワーマンション階のリビング。 息子の健太が放ったその言は、あまりにも平然としていて、まるでの気予報でも告げるかのようだった。

ダイニングテーブルの脇には、シルバーとシャンパンゴールドに輝く、容量の品スーツケースが台、誇らしげに並んでいる。タグには『ホノルルき』の航空会社のロゴが揺れていた。

私――森田静(もりた・しずえ)、歳は、にした鍵を握りしめたまま、凍りついたようにち尽くしていた。

「……彩佳さんの、ご両親だけ?」

私の声は、自分でも驚くほどく掠れていた。 ヶ、この同じテーブルで交わされた会話の記憶が、鮮烈に脳裏をよぎる。 IT企業で課補佐を務める健太と、医療器メーカーの営業としてフルタイムで働く嫁の彩佳。が「結婚周と、彩佳の両親の結婚周がなるから、族みんなで盛なお祝いをしたい」と切りしてきたのだ。

に夫をくし、暮らしをしていた私は、き夫が「孫たちを連れて、いつかハワイのを見にきたいな」と目を細めていた言葉をいし、胸をくした。 『いいわね。お父さんの遺志でもあるし、費用は全部私が持つわ。退職と、お父さんが遺してくれた保険があるから』

ビジネスクラスの航空券分、ワイキキビーチを望できるつホテルのコネクティングスイート部、現でのリムジン送迎や豪華なディナー代。

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旅代理へ私が自らの座から括で振り込んだ総額は、千百万円に達していた。

それなのに――。 発まで週を切っても、私には旅程表枚届かず、パスポートの更確認すらされない。胸騒ぎを覚えて訪ねてきた私に、健太は目をわせようともせず、マグカップのコーヒーをすすりながらこう言い放ったのだ。

「彩佳の両親は、旅なんて婚旅以来なんだよ。英語も話せないし、齢だしさ。そこに母さんがいたら、向こうの親父さんもお袋さんも気を使って楽しめないだろ? 孫たちと入らずで過ごさせてやりたいんだよ」

「……私がいたら、気を使う?」

私の喉の奥から、乾いた笑いが漏れそうになった。 「健太。その千万円を超えるお、誰がしたとっているの?」

その瞬、奥の寝からパッキングのを止めた彩佳の気配が、ピタリと途絶えた。 健太の眉が、そうにつりがる。

「またの話かよ! 母さんが『お祝いにしてやる』って言ったんじゃないか! 親が子供の族のためにをして、何が悪いのさ? おをしたからって、旅のメンバーにまでしするなんて、恩着せがましいよ!」

逆ギレ。 自分のろめたさを、攻撃な言葉で覆い隠そうとする、息子の醜悪な防本能。 だが、私のを真に打ち砕いたのは、そのに続いた、あまりにも酷な言だった。

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健太は奥の部の妻を気にするように声を潜め、私をゴミでも見るような目で睨みつけた。

「とにかく、今回は慮してくれ。……それとさ、母さん。これからうちの庭のことに、いちいちを挟まないでくれないかな。……もう連絡してこないでよ」

静寂が、部を支配した。 くの子供部から、歳の孫娘・ひなと、歳の孫息子・ゆうとの無邪気な笑い声が聞こえてくる。

もう連絡しないで。 それは、旅の参加を告げる言葉ではなかった。 母親としてのを、彼らのから完全に「ゴミ箱へドラッグ&ドロップ」した瞬だった。

私は激昂しなかった。泣き崩れもしなかった。 ただ、胸の奥底で、数かけて築きげてきた「母と子」という名の巨な伽が、音もなく々に崩壊していくのをじていた。

「……そう。分かったわ」

私は静かに微笑み、会釈をつ残して、踵を返した。 背から、引き留める声は度たりともかからなかった。

タワーマンションのエントランスをると、初の夕暮れのが、照った頬をたく撫でた。 私は駅へ向かって歩きながら、胸ポケットののスマートフォンをく握りしめていた。

――えば、すべては私の「甘やかし」から始まったのだ。

、の孫であるゆうとがまれ、彩佳さんが職復帰を果たした頃。

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