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"万引きを疑われた私に、警備員が「六万円で見逃す」と言ったので父に電話した" 第8話

最初に奪われたもの

宮原智子は父の秘を務めていた。母が病気で倒れたには病院の配までし、私がへ発つ際も空港まで見送りに来た。父が最も信頼する社員のであり、子証を扱えるでもある。

問い詰めるに証拠を固める必があった。警察は映像と送記録を正式に照会し、調査委員会は秘の入退記録を確認した。宮原は父が席をすを使い、認証端末へ何度もアクセスしている。相原の張と現引きしも致していた。

しかし、宮原を呼びすの朝、彼女は社しなかった。自宅にもいない。社用携帯は駅のロッカーから見つかり、パソコンは初期化されていた。

そして正午、週刊誌の子版に記事がた。

〈モール社、秘密座へ千万円――娘の潜入劇は内紛隠し〉

記事には父名義の決裁、警備契約の増額記録、関連団体からの送表が掲載されている。宮原がかけて作った偽の証拠だった。数字の部は本物で、送先だけが父の個座に見えるよう加されている。

午には団から説を求められ、社債の条件見直しまで示唆された。テナントの問いわせが殺到し、モールの客は目に見えて減った。相原は緊急取締役会を招集し、父の解任議案を提した。

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敵の反撃は成功していた。

「度、辞める」

父は自宅の斎で私に言った。

「調査で潔が証されるまで代表を退く。それが会社への被害を最限にする」

「相原の狙いどおりになる」

「私の席にこだわって、従業員の与を危険にさらせない」

正しい判断かもしれなかった。だが私は、父が責任と罪を混同し始めているようにえた。

「お父さんは、自分が見抜けなかったことを悔やんでいる。でも、見抜けなかった責任を取ることと、やっていない罪を認めることは違う」

「ではどうする。証拠は向こうが先に世へした。は最初に聞いた物語を信じる」

「しい物語できするんじゃない。検証できる事実を、順番に全部す」

私は辞任そのものを止めなかった。代わりに、辞任会見を相原の用した文面ではわず、第者調査の報告と被害者支援策を同に発表することを提案した。父の潔を声に訴えるより、社を含め全員を調べると約束する。そのうえで、原資料を部専へ提供する。

父はい沈黙の、頷いた。

会見の、父は代表取締役職を退くと発表した。ただし、犯罪への関与は確に否定し、子印の管理備について責任を認めた。会社は被害申告者へ無条件のを支し、認定を待たず理支援と法支援を提供する。

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調査報告は都の悪い部分も含めて公表する。

記者から「娘を守るためではないか」と問われると、父は答えた。

「娘でなければ救われなかった事実こそ、私たちの失敗です。相が誰であっても同じように守られる仕組みを作れなかった。私はその責任から逃げません」

会見も批判は止まらなかったが、被害者窓への相談はさらに増えた。元テナント従業員、退職した警備員、相談対応をされた社員。それぞれが断片を持っていた。

でもだったのは、に辞職した女性警備員、藤岡麻里の証言だった。彼女は塚が客のバッグへ商品を入れるところを見て司へ報告し、逆に勤務規律違反で処分されていた。

「辞めるに、指示を録音しました」

藤岡は古い音楽プレーヤーを差しした。

雑音の向こうから黒瀬の声が聞こえた。

『客を捕まえる必はない。数字を作れ。回収をげれば契約は更される。騒ぐ客がいたら宮原さんが社印で処理する。相原さんまで話は通っている』

続いて、聞き覚えのない男の声がした。

『標は選べよ。ろ盾のないにしろ。違っても、の族にはをすな』

私はその声を度再した。どこかで聞いたことがある。

久保田が息をのみ、会議資料の写真をいた。警備会社〈央セキュリティ〉の代表取締役、野圭介。

相原の学代の同級で、増額契約の最の受益者だった。

録音の最に、野は笑いながら言っていた。

『いずれ社が退けば、相原がにつ。モールの警備だけじゃない。全施設をうちで押さえられる』

万円の恐は遣い稼ぎではなかった。架空の成果を作り、契約を膨らませ、会社そのものを奪うための装置だった。

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