"万引きを疑われた私に、警備員が「六万円で見逃す」と言ったので父に電話した" 第9話
消えなかった映像
藤岡の録音で構図は見えたが、音声だけでは「編集された」と反論される能性がある。警察は慎だった。相原と野を気に追い詰めるには、指示、実、利益の流れを同じで結びつけなければならない。
久保田は削除された監映像の復元に取り組んでいた。システムは映像本体を消しても、障害解析用に数秒おきの縮画像を別領域へ保する。正式な映像として見る能ではないため、黒瀬もをらなかった。
「全部は戻りません。でも作の連続は追えます」
復元された最古の記録はかだった。佐々が客へづき、塚が連れす。分、黒瀬が旧警備控へ入り、封筒を受け取る。さらに分、宮原が社の認証端末を操作する。
同の相談記録には、父の子印で〈本が窃取を認めたため対応終〉と記されていた。記録では翌、関連団体へ入があり、末には警備契約の「回収実績」として計されている。
件ずつはさな点でも、件を並べると線になった。対象を選ぶ佐々、拘束する塚、現を回収する黒瀬、記録を偽装する宮原、契約へ数字を移す相原、利益を受ける野。
私たちは証拠を警察へ渡し、臨取締役会まで公表を控えた。相原は父の解任を正式決議し、自ら暫定代表へ就くつもりでいる。
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彼が全役員ので虚偽を述べた瞬に、反証をす。それが最も逃げを狭める方法だった。
だが、予定の夜、宮原から私の個携帯へ話が入った。
『紗季さん、で来てください。全部お話しします』
指定されたのは閉鎖の体駐だった。もちろんでくつもりはない。警察へ連絡し、位置報を共したうえで、しれた所に捜査員が待した。
宮原は最階の柱のにっていた。数で歳も老けたように見える。にはい封筒があり、には子印を複製したUSBメモリー、相原からの指示、現の分配表が入っていた。
「なぜ、こんなことをしたんですか」
「最初は度だけでした」
宮原は、病気の夫の治療費で借を抱えていた。相原はそれをり、社印の使用履歴を件だけ修正すればを貸すと持ちかけた。その度がみになり、次の改ざんを命じられた。夫がくなり借がなくなったも、共犯として抜けられなかったという。
「被害者のことを考えなかったんですか」
「考えました。でも、自分がをしたわけではないと言い聞かせた。私はを処理しただけ、映像を消しただけだと」
「そのの向こうに、がいたんです」
「はい」
宮原は涙を拭かなかった。
「社を陥れる記事をした、あなたまで傷つけた。
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もう戻れないと分かっています。でも相原さんは、決議が通ったらへ資を移す。野さんと緒に会社を畳むつもりです」
彼女が差しした封筒には、相原と野の会社設計画も入っていた。グランポートの信用が失墜した、警備や施設管理部を値で切りし、自分たちの会社へ移す。事件による混乱さえ、買収価格をげる材料として計算されていた。
その、駐の奥でのエンジン音がした。黒いワゴンが急発し、こちらへ向かってくる。宮原が私を押しのけ、柱のへ倒れ込んだ。は封筒をかすめ、へ逃げたが、待していた警察両がを追った。
宮原の腕は切れていた。救急を待つ、彼女は私の袖をつかんだ。
「運転していたのは野さんの部です。私が話すと気づかれたんです」
「なぜ私を呼んだんですか。警察へけばよかったでしょう」
「あなたなら、父親を守るために事実を隠さないとったからです」
それは信頼というより、最の賭けだった。私は封筒を拾い、警察官へ渡した。
は分に捕まった。運転の端末からは、野の指示と相原への報告が見つかった。
翌朝、臨取締役会が始まる、相原はまだそのことをらなかった。
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