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"凍える孫と消えた家" 第1話

も押し迫った、乾いたが吹きすさぶの午だった。 関平野の端に位置するこの方都は、になると「赤おろし」と呼ばれるたい突がから吹きり、にわずか数分っているだけで指先の覚が麻痺する。

堀内麻子(ほりうち・あさこ)、歳。 築百を超える母の広な居で、顧問税理士から届けられた末調と作農・商業ビルの賃貸管理目録に目を通していた私の元で、私用のスマートフォンがけたたましい子音を響かせた。 旧の当主であったき夫から引き継いだ資産管理専用の番号だ。登録している親族や関係者はごく限られている。

画面に表示されたのは、登録のない局番だった。

「はい、堀内でございます」 受話器にを当てると、背からゴーという異様な環境音と、属音混じりの械アナウンスが微かに漏れ聞こえてきた。

『……すみません、音実(おとみ)のおばあ様でしょうか』 話の声は、息を切らした若い女性のものだった。極度の緊張と恐怖のせいで、ずり、震えている。

「ええ、麻子ですが。どちら様ですか?」 『がないんです……私、杏奈(あんな)です。よしえの娘の……』

息を呑んだ。 よしえ。半、妻の美(なごみ)さんを癌でくしてわずか半らずの息子・貴照(たかてる)が、商売のから連れてきて妻に座らせた女だ。

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そして杏奈は、その女が連れてきた当だった娘のはずだった。 あまりの貞と実、き嫁への冒涜に激した私は、息子夫婦がむれの館への入りを切断ち、盆や正の挨拶すら拒絶していた。その連れ子が、なぜ私に話をかけてくるのか。

「……何の用かしら。私はあなたたちの母親と話す舌は持ちわせていませんけれど」 『頼みます、信じてくれなくていい、私を罵倒してもいいから……今すぐ、あのにってください! 音実ちゃんが……音実ちゃんが殺されちゃう!!』

痛な絶叫だった。 『理由を話している余裕はありません! すぐにってあげてください!』 ツーツーと、無質な切断音が響いた。

狂言か、の無か。 だが、あの静沈着だったき美さんの忘れ形見である歳の孫娘・音実の名がた瞬、私の背筋にたい氷柱が突き刺さった。 私は類を放りし、分いダウンコートを掴むと、母の勝からガレージへとりした。

をばすこと分。 私がに買い与え、敷帯を私の名義で登記してある息子夫婦の館――ツートンカラーの輸入宅のに駆を滑り込ませた。 台分の広な駐には、息子のセダンも妻の軽自もなかった。

「音実……!?」

をり、施錠された扉を押しけて庭へ入った瞬、私のは凍りついた。

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玄関ポーチのえ切ったコンクリートのステップ。 そこに、学の指定ジャージ――のポリエステルのを着た音実が、体育座りでさく丸まっていた。

靴すら履いていない。いスクールソックスの裏は柱で濡れて黒ずみ、膝を抱える肩がガタガタと目に見えて震えている。 唇はどす黒いに変し、吐きす息はくすらならず、ただ荒く喉を鳴らしていた。

「音実ッ!!」 駆け寄り、そのさな体を抱きしめた瞬、私はあまりのたさに息を呑んだ。まるで凍庫から引きずりされた氷柱を抱いているようだった。

「お、おばあ……ちゃん……?」 虚ろな瞳をげた音実の顔は気で、頬には乾いた涙の跡がく筋を引いていた。

「どうしてこんなところにいるの!? パパとあの女はどうしたの!?」 私の問いかけに、音実はカチカチと歯を鳴らしながら、切れ切れに答えた。

「……パパと、あのは……お姉ちゃんと緒に、週の旅にくって……」 「は……? 旅……?」

「『邪魔だからにてろ』って……鍵を閉められて……。おも、靴も……何も、持ってなくて……」

を疑った。 、真の夕暮れ。氷点に達しようとする寒空の、が子を施錠された庭に置きりにして、親がバカンスへかけただと?

「に入りなさい! く!」 私は音実を引に抱えげ、助席へ押し込むと、を最にしてダウンコートを巻きつけた。

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