みかん小説
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"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第1話

の終わりのぬるい夜が、駅のくたびれたアーケードを吹き抜けていた。を目に控えた代最の。を卒業して元の信用庫に勤め、浮いた話のつもないまま堅実に実暮らしを続けていた私、神崎ありさは、数ぶりに催された元学の学同窓会に顔をしていた。

方都の同窓会特の、どこか気恥ずかしく、互いの況を探りうような空気。そんな喧騒の片隅で、私に「ありさか? すげえ久しぶりだな」と屈託のない笑顔で声をかけてきたのが、幼馴染の(アキ)だった。

学にがるの頃、私のとのはを挟んだ向かい同士だった。私と歳の妹の百、そしてので、だらけになって用でザリガニを釣り、裏に秘密基を作って遊んだものだ。だが、学学にもなると、男の子特の「女子と遊んでいるのを見られるとからかわれる」という羞恥が芽え、の方から自然とれていった。さらに学へ学するタイミングでの父親の転勤が決まり、ごと隣町のニュータウンへ引っ越してしまったため、私たちの縁はそこで完全に途切れていたのだ。

「覚えてるか? ありさ。お、所のドブ川に落ちた俺を助けようとして、緒にから突っ込んだよな」

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「ちょっと、最悪な記憶を真っ先に掘り返さないでよ! あの、お母さんにどれだけられたとってんの」

酒が回るにつれて、数の空など最初からなかったかのように会話が弾んだ。は都内の学をた、元の品商社の物流部に勤務しているという。お互いに気取らず、見栄を張らず、くだらない冗談で腹の底から笑いえる覚。同窓会の次会を々に抜けした私たちは、駅裏の赤提灯の焼き鳥へ流れ、さらに夜までいているさなラーメンへとを伸ばした。

アルコールのよい揚の、の空がみ始めた午の駅ロータリー。解散の空気が漂った瞬、が急にを止め、両をジーンズのポケットに突っ込んで俯いた。

「どうしたの? 終とっくにないし、タクシー呼ぶ?」 「いや……そうじゃなくてさ」

はまで真っ赤に染めげ、線を泳がせながら、絞りすように言ったのだ。

「俺さ、子どもの頃、実はおのこと好きだったんだよ。……で、今何ぶりに再会して確信したわ。俺、になったおのことも、これから先ずっと好きでいられそう」 「……なんじゃそりゃ!」

あまりにも回りくどく、そして直球すぎる告に、私は夜のロータリーでわず噴きしてしまった。「何そのから目線! じゃあ付きってみる?」

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と半分冗談めかして返した私に対し、は驚いたように目を見き、それから破顔して「よろしく頼む」と々とをげたのだった。

だが、この男の真骨頂は翌の夕方にあった。

酒が完全に抜け、酔狂なからめたが私の実に訪ねてくるなり、玄関先を通り越してリビングのフローリングのに突っ伏し、ごろんごろんと激しくのたうち回り始めたのだ。

「うわあああ! 俺のバカ! が滑りすぎた! ぬほど恥ずかしい! 『になっても好きでいられそう』だと!? どのツラげて言ってんだ俺は! 貴様何様だ、俺様か!」 「ちょっと、フローリングに埃がつから暴れないでよ!」

を抱えてに額を打ち付けるの姿を見て、私は腹筋がよじれるほど笑い転げた。自分が好きな男が、自分への告の恥ずかしさで悶絶し、転倒している。そのけなくもおしい姿を見つめながら、私は「ああ、このとならどんな嵐が来ても笑ってきていける」と、の底から確信したのだった。

交際は順調そのものだった。お互いにを控えた社会であり、気のれた幼馴染というアドバンテージもあったため、付きって半が過ぎた頃には自然と結婚の話題が持ちがった。

「結婚式を挙げるに、半くらい同棲してお互いの活リズムを確認しよう」

の提案は極めて現実で、私も賛成だった。互いの両親へ挨拶を済ませ、居のアパートを契約する段取りをえるため、ある曜の夕方、が私の実へ正式な挨拶に訪れた。

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