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"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第2話

居には、母が腕によりをかけて作ったちらし寿司と筑煮が並んでいた。の両親はすでに諾してくれており、私の母も「まあ、アキちゃんがうちのお婿さんになってくれるなんて、みたいだわ」と終始嫌だった。公務員を定退職した父は、女を放す寂しさからかし数がなかったものの、が産に持参した酒の銘酒をけると、次第に相好を崩して杯をねていた。

平穏で、絵に描いたように幸せな族の団欒。しかし、その硝子細のような調は、玄関ドアがく音とともに無残に砕け散ることになる。

「ただいまー。あー疲れた、今フロアがマジでウザくてさあ……」

気だるげな声とともにリビングの引き戸をけたのは、私の歳の妹、百だった。元のをて内のアパレルショップに勤務している百は、昔から領が良く、流のと派なメイクを好む、絵に描いたような「甘やかされた末っ子」だった。

百はテーブルの向かいに座るの姿を捉えた瞬、履いていたパンプスを脱ぎかけたままで凍りついた。そして、瞬くにその瞳に驚愕と、隠しきれない歓のを宿した。

「えっ……!? アキちゃん!? 嘘、なんでうちにいるの!?」 「あ、ああ……百ちゃん、久しぶり」

困惑したようにさく会釈する。百は着を放り投げ、弾かれたようにテーブルへ駆け寄ってきた。

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「すごい、本物のアキちゃんじゃん! 何ぶり!? 全然変わってない! 今泊まってくの? 私、話したいこといっぱいあるんだけど!」

無邪気さを装った猛烈なアプローチに、卓の空気がわずかに張った。私は箸を置き、居まいを正して妹に向きった。自分のから、事実を正確に伝えるべきだとったからだ。

「百、お帰り。実はね、私と、半くらいからお付きいしてて。今度結婚することになったの。今はその報告と、いうちに同棲を始める挨拶に来てもらったんだよ」

その瞬だった。

百の顔から、文字通り切の表が消失した。

まるで、血の通ったの皮膚が瞬に膏へと変したかのような凍結。百の線が、私とのを信じられないものを見るように何度も往復した。そして、その唇が細かく震え始めたかとうと、見る見るうちに苦虫をすり潰したような醜悪な歪みへと変わっていった。

「……は? 結婚? お姉ちゃんと……アキちゃんが?」 「うん。順番がしちゃったけど、そういうことだから」

私がそう告げた刹、百はテーブルのに置かれていた自分のバッグをひったくるように掴んだ。

「……ふざけないでよ」 「百?」 「疲れたから寝る! 最!」

鳴り散らすと、百はドスドスとを激しく踏み鳴らしながら階段を駆けがっていった。

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数秒、階の自のドアが、全体がきしむほどの凄まじい轟音をてて叩き閉められた。

リビングには、苦しい沈黙だけが取り残された。

「……何よ、あの子。アキちゃんに失礼でしょ」母が眉をひそめて溜息をついた。はバツの悪そうな顔でを掻き、「すみません、僕が急にお邪魔したから驚かせちゃったみたいで……」と恐縮していた。

だが、私は胸の奥に、たい針を本刺されたような嫌な予を拭いることができなかった。

その夜、を駅まで見送って実へ戻った私は、階の洗面所へ向かう途の暗い廊で、待ち伏せしていた百と鉢わせた。

「うわっ……!」

暗のに佇む妹の姿に、わずい鳴がた。壁に背を預けた百は腕を組み、廊の常夜灯に照らされたその顔は、憎悪で完全に般若のように歪んでいた。

「……まさか、お姉ちゃんがアキちゃんとくっつくなんてわなかった」

く、押し殺したような怨嗟の声だった。

「私だって、ずっとアキちゃんのこと好きだったのに。子どもの頃からずっとずっと、いつか再会したら告しようとってたのに……! なんでお姉ちゃんが横取りするのよ! 絶対に許さないから!」 「横取りって……百、あなたと何も連絡すら取ってなかったじゃない。連絡先もらなかったんでしょ?」 「関係ない! お姉ちゃんはいつもそう! 私の欲しいものを全部横から奪っていく! んでやるから!」

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