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"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第9話

に額を擦り付ける勢いでをげる父の隣に、母も並んで正座し、くをげた。

「私も悪かったわ。百の様子がおかしいことに々気づいていながら、父親の暴を止めきれなかった。アキちゃん、ありさ……本当にごめんなさい」

「お義父さん、お義母さん、顔をげてください」

は困ったように眉をげ、慌ててをたせようとした。

「僕の方こそ、お見苦しい怪の話をしてしまって申し訳ありませんでした。百ちゃんの嘘には驚きましたが、お義父さんたちが百ちゃんのことを配するあまりだったことは分かっています。僕はもう気にしてませんから」

自分を理尽に罵倒し、殴りかかろうとした相に対して、切のみ言を言わずに笑顔で許しを与えるの懐のさに、私は改めて胸をくした。父はのを握りしめ、ボロボロと粒の涙を流しながら「すまない、すまない……」と繰り返していた。

それから週のことだった。

実へ戻った百は自に引きこもり、事も取らずに「私は悪くない、アキちゃんの子を妊娠している」と主張し続けていたという。見かねた母が所の産婦科の予約を引に取り、父とともに百をに押し込んで病院へ連した。

診察からてきた初老の産婦科医は、カルテを見つめながら怪訝そうに告げたそうだ。

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「妊娠の兆候はまったく見られませんね。子宮も卵巣も極めて健康です。つわりとおっしゃる症状も、像妊娠あるいは激しい精神ストレスによる自律神経の乱れでしょう。……お嬢さん、最に男性と関係を持たれたのはいつですか?」

医師の容赦ない問いかけに、百は真っ青になって沈黙した。

問診をねるうちにらかになったのは、百がここ半、誰として男性と交際すらしていなかったという紛れもない事実だった。への執着をこじらせ、姉の結婚を破壊したいで、ネットで調べた初期妊娠の症状を真似て自作自演のパニックを起こしていたのだ。

すべてがのに晒された帰り、父はを肩に止め、百に向かってく宣告した。

「百。おがやったことは、姉のを破滅させようとした犯罪紛いの為だ。おがからありさと君に座して謝罪するまで、俺はおを娘とは認めん」

しかし、百の歪んだプライドは、謝罪することを拒絶した。

「あんな奴らに謝るくらいならんだ方がマシよ! こんな、てってやる!」

実へ戻るなり、百はスーツケースに着の着のままのを詰め込み、逆ギレしてをびしていった。かつてなら血相を変えて追いかけていたはずの父は、玄関のがり框に座り込んだまま、歩もかなかった。

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「追わなくていい」父は絞りすように呟いた。「あいつには、自分の力できて、世のたさをいるが必だ。俺が甘やかしすぎた罰が、今になって返ってきたんだ……」

こうして、嵐のような騒は幕を閉じた。百の消息は途絶え、実と私たちのには、奇妙な平穏とい反省の々が訪れることになった。

あの結婚式翌朝の惨劇から、の歳が流れた。

私との夫婦活は、驚くほど順調で、何より賑やかだった。

実をて目に男の蓮(れん)を授かり、そのにはまさかの双子の男児、陸(りく)と(かい)を産。さらにその翌には女の葵(あおい)がまれ、気がつけば私は歳にして、の子どもたちに囲まれる肝っ玉母ちゃんへと変貌を遂げていた。

田舎の広めの古軒を購入し、毎が戦争のような騒ぎだった。

壁にはいつのにかクレヨンで謎の幾何学模様が描かれ、廊にはミニカーとブロックが散乱し、洗濯はに回回しても追いつかない。かつては虫匹に鳴をげていた私も、今や台所に現したアシナガバチを聞を丸めた棒で撃で叩き落とすほどの逞しさをにつけていた。はその度に「ひいいっ! 頼むからでやってくれ! トラウマが蘇る!」とを抱えて逃げ回っていたが。

方、父と母は、まれた孫たちに文字通り骨抜きにされていた。

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