みかん小説
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"妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝" 第11話

計の針は午を回っていた。

「よし、終わった。私も寝よう……」

エプロンをし、居の気を豆球に切り替えて、の寝ている客のを通りかかった、その瞬だった。

ガララッ……と、客の襖が音もなくく気配がした。

「……ん?」

を止めて廊のから覗き込むと、暗い客のに、っぽいワンピース姿の百が滑り込んでいくのが見えた。

音を忍ばせ、抜き差しで布団へとづく妹。そのには、先ほどまで持っていた酒瓶はなく、肩からはだけた胸元がわになっていた。

(……え? 何やってんの……?)

私の考が直した。

百は、熟しているの布団の脇に正座すると、躊躇うことなく掛け布団をめくり、その隙へと自らの体を滑り込ませたのだ。

そして、眠るの元へ顔を寄せ、ねっとりとした艶めかしい声を囁いた。

「ねえ……アキちゃん。起きてよ……」

が微かにじろぎをする。百はさらに胆に、の胸元へと自らのを差し入れ、その首筋に唇を寄せながら言ったのだ。

「もうも経ったんだよ? そろそろ、お姉ちゃんにも飽きたでしょ……? あんな気のないオバサンより、私の方がずっといいよ……昔みたいに、優しくして……」

その刹。

の目が、カッと見かれた。

寝ぼけたにび込んできたのは、暗ので自分に覆いかぶさり、妖しく微笑む女の顔。

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状況を理解するよりもく、の本能が「この世の終わり」を察した。

「ぎゃああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」

静まり返った真夜の宅を切り裂く、鼓膜が破れんばかりの凄まじい絶叫が轟いた。

「バケモノだあああああああッ! 幽霊がたあああああああッ!!」

はのついた丸太のようにね起きると、掛け布団を力任せに百へ投げつけ、部の隅の壁際まで転がるように逃げ惑った。

「うわあああっ! 来んな! 塩を撒け! 除霊してくれえええっ!」

壁に背を押し当て、チワワのようにガタガタと全を震わせながら、はパジャマのを両で固く押さえて叫び続けていた。男の急所を守るその反射なフォームは、のトラウマがいかに烈だったかを如実に物語っていた。

「な、何事だッ!?」

居で寝ていた父が襖を蹴破るような勢いでび込んできた。続いて母も「震!? 棒!?」と叫びながら駆け込んできた。

私は客の引き戸を力任せに全にし、壁の照スイッチをバチンと叩き入れた。

眩い蛍灯のが部を照らしす。

そこには、パジャマのボタンを胸元まではだけさせ、布団のに乱れた髪で座り込む百と、部の隅で半狂乱になって震えるの姿があった。

「百……ッ! 貴様、何をしているんだ!」

父の声が轟いた。

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百は酒の匂いをプンプンと漂わせながら、舌の回らない調でき直るように嗤った。

「な、何よ……声さないでよ、みっともない。ちょっとアキちゃんとスキンシップ取ろうとしただけじゃない」

「スキンシップだと!?」母が顔を真っ赤にして叫んだ。「義理の兄の布団に夜いをかけるのがスキンシップなわけないでしょ! 正気なの!?」

百はよろよろとちがると、私を指差して、溜め込んでいた毒を吐き散らし始めた。

「だってお姉ちゃんばっかりずるいじゃない! 昔からそうよ! お姉ちゃんばっかりい子どもをも産んで、アキちゃんにされて、幸せそうにして! 私はこの、どれだけ惨めないをしてきたとってるのよ!?」

百のからびしてきたのは、反省などとは程い、醜悪な嫉妬の塊だった。

をた、百は派な活を求めてホストクラブに通い詰め、額の借を作っていた。実に戻ってきたのも、反省したからではなく、借の返済に困り果て、両親の脛を齧るためだったのだ。そして、幸せそうに暮らす私たちをで見せつけられるうちに、再び狂気じみた略奪欲が鎌首をもたげたのだった。

「お姉ちゃんの幸せを、ちょっとくらい私に分けてくれたっていいじゃない! アキちゃんの実績(たね)さえに入れば、私だってやり直せるのよ! どうせお姉ちゃんもも産んで飽きてるんでしょ!? 今夜寝ちゃえば、アキちゃんだって私の良さが分かったはずなのに!」

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