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"貧乏嫁と見下されていた私、義姉の結婚式で本当の名前を呼ばれました" 第6話

額にはうっすらと汗が滲み、丁寧にえられたはずの黒髪が筋、頬に張り付いていた。

「お義姉さん! ったらドレスが痛みます! まだベールも着けていないのに……」 「ドレスなんてどうでもいいわよ! ……千鶴さん、なんで帰ろうとするの!? 私の結婚式よ!? あなたがここにいなくて、誰が私のを祝ってくれるっていうのよ!」

私が言葉を詰まらせていると、私の肩を抱くようにして追いついた公平が、りに震える声で吐き捨てた。 「姉ちゃん……母さんと里子が、千鶴は部者だから族の恥だから帰れって、親族写真の並び順から千鶴を完全に締めしたんだよ!」

吉野さんの全から、カッとが引いていくのが見えた。 その瞳が、信じられないものを見るように見かれ、やがて漆黒のりへと染まっていく。

「……また、なの?」

その掠れた呟きには、、彼女がからしていたの青を、義母が「うちの柄と釣りわない」と裏で脅迫し、破談に追い込んだの、癒えることのない血の記憶が滲んでいた。

そこへ、控の扉が勢いよくき、義母の邦と里子さん、そして聞を丸めてにした義父の敏男が、血相を変えてりでやってきた。 「吉野! 何を声してるの! もうすぐ親族紹介のなのよ! そんな格好で廊をり回って、堂の方々に見られたらどうするの!」

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義母が慌てて吉野さんの腕を引っ張ろうとする。

だが、吉野はそのを、激しい力で払いのけた。

「触らないで!!」 「吉野……!?」

「お母さん、千鶴さんに何を言ったの? 今すぐ、私の目を見て答えなさい!」 「な、何も言ってないわよ! 千鶴さんが、急に体調が悪いから席をしたいっておっしゃるから……ねえ、千鶴さん?」 義母が、すがるような目で私を見てきた。 で初めて、このが私に向けた「懇願」の差しだった。

しかし、空気を読まない里子さんが、嘲笑を浮かべて横からを挟んだ。 「お姉ちゃん、庇うことないってば! こんな貧乏な内職嫁が親族席の真んにいたら、あちらの元員のご親族にの品格を疑われるでしょ? お姉ちゃんが恥をかかないように、私とお母さんが気を利かせて追いしてあげたのよ!」

パチン、と乾いた音が静まり返った廊に響き渡った。

里子さんが頬を押さえ、信じられないといった表でよろめいた。 吉野さんのが、りでワナワナと震えている。

「お姉ちゃん……? 今、私を……叩いたの……?」 「あんたたちのその腐りきった性根を、叩き直してやりたいわよ!!」 吉野さんの咆哮が、井のシャンデリアを揺るがすように轟いた。 「私の式よ!? 私が誰を呼び、誰に隣にいてほしいか、なんであんたたちが勝に決めるのよ! 恥? 族の恥ですって!? 番恥ずかしいのは、の値打ちをと肩きでしか測れない、あんたたちのよ!!」

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「吉野、親に向かって何だそのの利き方は!」 義父の敏男が聞をに叩きつけ、鳴りつけた。 「わしたちはのの対面を守るために……」

「対面、対面って、にタコができるわよ!!」 吉野さんは胸元を掻きむしるようにして、義父と義母、そしてにへたり込んだ里子さんを順番に指差した。

「お父さん、お母さん、里子! ……あんたたち、このが誰だか本当に分かってないのね!?」

「誰って……公平の嫁だろうが!」敏男が叫ぶ。

吉野さんは、く息を吸い込んだ。 そして、廊の全方位に、居並ぶホテルのスタッフたちにまで届くような圧倒な声量で、その名を叫び放った。

「このはね……! あんたたちが座したってに入らない、あの『Chizuru Yukimura』の創業者でチーフデザイナー、幸千鶴さんよ!!」

静寂。 それは、まるでへ叩き落とされたかのような、切の呼吸音すら消えった絶対な真空だった。

「……は?」 最初にの抜けた声を漏らしたのは、頬を赤く腫らした里子さんだった。 彼女の目は焦点を失い、井と吉野さんの顔を激しく往復している。 「ゆ…………? 千鶴……?」

義父の敏男の体が、目に見えてビクッとねがった。 聞を拾おうと屈みかけていた姿勢のまま、まるで氷漬けになったかのように直し、浅黒い職の顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。 気を通り越し、まるでのような蒼。

「お姉ちゃん……何冗談言ってるのよ……」

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