"貧乏嫁と見下されていた私、義姉の結婚式で本当の名前を呼ばれました" 第11話
格の報せが届いた翌、の実の居は、号と切り声がび交う修羅と化していた。
「なんでよ! なんで内なのに落とされるのよ!!」 義母の邦は、仏壇のの座卓をバンバンと両で叩き、髪を振り乱して敏男に詰め寄っていた。 「あんた、あの嫁にちゃんと頼み込んだの!? 『社の義父だぞ、融通を利かせろ』って、く言わなかったの!? あんな貧乏内職の娘、うちのの力で引きげてやったようなものじゃない! それなのに恩を仇で返すなんて、とんでもない悪魔よ!!」
「黙らんか、邦!!」 敏男が鳴り返したが、もはや見栄と虚栄で理性を失った義母のには届かない。 「黙っていられるもんですか! 親戚にはもう『息子の嫁の会社からきな仕事を回してもらうことになった』って話しちゃったのよ!? 来週の親睦会で、どんな顔をしろっていうのよ!」
その横で、里子さんも顔面を真っ赤にしてスマートフォンを握りしめていた。 「そうよ、お父さんがだらしないからよ! 私、職のみんなに『あのChizuru Yukimuraのデザイナー、私の義理の姉なの』って言っちゃったんだから! 社販でく買えるんじゃないかって、チーフからも期待されてるのよ!? それなのに落選なんて……私のはどうなるのよ!」
「おたち……まだそんなことを言っとるのか!」 敏男は震えるでを抱え、に崩れ落ちた。
広告
「千鶴さんはな、世界にていく本物のプロだ。わしらのように、内のコネや見栄で仕事をしておらんのだ! あのが、度も自せず、黙々とミシンを踏んでいた理由が、おらにはまだ分からんのか!!」
しかし、追いつめられた義母のは、さらに常軌を逸していった。 邦は自らの保のため、親戚に嘘百の話をかけ始めたのだ。 『聞いてちょうだい、あの子ったら、うちのを乗っ取ろうとしていたのよ』 『親族の恩を忘れて、わざと仕事を落として恥をかかせたの』 勝な被害者面をして、親戚に千鶴の悪評を撒き散らそうとする義母。
だが、その狂言は、わぬ方向から完全に砕されることとなった。 吉野の結婚式に席し、堂が千鶴に対して々とをげ、あの至宝のようなドレスを絶賛した景を目の当たりにしていた親戚の叔母が、話で淡に言い放ったのだ。
『ちょっと邦さん、いい加減にしなさいよ。私たち、式で全部見てたわよ。あの素らしい千鶴さんを「貧乏嫁」って呼んで親族写真から追いそうとしたのは、あなたと里子ちゃんでしょ? 堂さんの奥様が廊で膝をついて謝していた相に、よくそんな恥ずかしい言いがかりがつけられるわね』
ガチャリ、と方に切られた受話器。
広告
親戚から向けられたのは、千鶴への非難ではなく、見栄のために内を蔑み、赤っ恥をかいたの母娘に対する、酷な嘲笑と軽蔑だった。
そのの夜。 世田のマンションの居で、公平のスマートフォンがスピーカー状態でテーブルのに置かれていた。 かかってきたのは、発狂寸の義母・邦からの話だった。
『公平! 今すぐあの女を連れて実に来なさい! 親戚に恥をかかせて、会社を潰す気なの!? あんたからも千鶴に言いなさい! 今すぐ決定を覆して、縫製に仕事を回せって! 親の言うことが聞けないなら、あんたなんかもう息子でも何でもないわ!!』
スピーカーから響く甲い罵声を、公平は氷のような無表で聞いていた。 私の元には、公平が淹れてくれた温かいカモミールティーがあった。公平は私の肩にそっとを置き、呼吸をつすると、スマートフォンのマイクに向かって静かにをいた。
「母さん」 『何よ! 分かったならく……』
「俺は、今限りでのと縁を切る」
話の向こうが、ピタリと静まり返った。 呼吸の音すら途絶えた、数秒の空。
『……は? 何言ってるのよ、公平。縁を切るって……実の親に向かって……』
「言葉通りのだよ」 公平の声には、りすら含まれていなかった。ただ、え切った絶対な断絶の志だけが宿っていた。
「千鶴と結婚してからののすべてを、俺はずっと見てきた。千鶴がどんないで朝に起きて、どんないで実の座敷でお茶を淹れていたか。
広告
おすすめ作品
-
完結第16話
凍える孫と消えた家
年末、麻子が息子夫婦の家を訪ねると、十四歳の孫・音実が靴も履かず、凍える庭に置き去りにされていた。父親たちは義姉を連れて海外旅行へ出たという。ところが空港から逃げ帰った義姉・杏奈の告白により、二人の少女が受けていた仕打ちと、音実に掛けられた一億五千万円の生命保険が明らかになる。 これは単なる育児放棄ではなかった。実の娘の命まで金に換えようとした息子に対し、土地も家も握る麻子は静かに反撃を開始する。三週間後、旅行から戻った夫婦を待っていたのは、豪邸が跡形もなく消えた更地と、彼らの人生を根底から崩すさらに大きな罠だった――。祖父母と孫|絶縁|親子関係|修羅場2.5万字5 55 -
完結第14話
1000万円のハワイ旅行を贈ったら、私だけ家族から外されました
亡き夫との夢を叶えるため、息子一家と両家の親が参加するハワイ旅行に一千百二十万円を支払った静江。ところが出発直前、息子の健太から「行くのは妻の両親だけ。もう連絡しないでほしい」と告げられる。六年間続けてきた住宅ローン援助や孫の送迎まで当然のように扱われていた静江は、息子の希望どおり、すべての支援を打ち切った。 息子夫婦がハワイを満喫している間、静江のもとに旅行代理店から精算書が届く。そこには、健太が二か月前から母を旅行者名簿から外し、「重度の認知症と末期癌の疑いがある」と虚偽の申告をしていた記録が残されていた。 さらに義弟からの電話で、健太が静江を判断能力のない高齢者に仕立て、成年後見人として財産管理権を握ろうとしていることが判明する。狙われていたのは、資産価値八千万円の自宅と三千万円の老後資金。しかも計画には、嫁とその父親、虚偽の診断書を作った医療関係者まで関与している疑いがあった。 静江は弁護士と任意後見契約を結び、正常な認知機能を証明する診断書と旅行代理店の通話記録を確保する。そして帰国した息子夫婦を待っていたのは、止められた送金、返送された孫の荷物、そしてホテルのテーブルに並べられた逃げ場のない証拠だった。家族旅行から排除した母が、自分たちの計画をどこまで知っているのか――二人がそれを理解した時、作り上げた“幸せな家族”の姿が崩れ始める。嫁姑|親不孝|親子関係2.2万字5 23 -
完結第17話
夫と実母に裏切られたので、静かに二人との縁を切りました
夫の不倫を知った香織に、実母・静が突きつけたのは慰めではなく、「あなたが離婚すれば丸く収まる」という残酷な言葉だった。母は、自分が暮らすマンションの家賃を今後も払うという夫の約束と引き換えに、娘を切り捨てたのだ。 十七年間信じた夫と、長年支えてきた母。二人の密約を知った香織は、その場で離婚届に判を押し、母とも絶縁する。そして自分名義だった母の部屋を解約し、家族を支えてきた金と信用を静かに引き揚げていく。 ところが七日後、元夫の代理人弁護士から一本の電話が入る。夫は香織の同意を偽り、離婚後も彼女に契約責任を背負わせようとしていたばかりか、亡き父から相続した預金にまで手を伸ばしていたという。 消えた三百万円、不倫相手と設立された会社、そして母がどうしても香織名義の部屋を手放せなかった理由。裏切った二人が守ろうとしていた秘密を調べるうち、香織は、夫と母さえ互いの本当の目的を知らないまま手を組んでいたことに気づく。 娘を犠牲にすれば、すべて丸く収まるはずだった――。しかし香織が契約と通帳を一つずつ整理し始めた瞬間、その歪んだ同盟は内側から崩れ始める。嫁姑|夫婦2.6万字5 333 -
完結第13話
妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝
同窓会で再会した幼馴染の秋と結婚したありさ。だが、昔から姉を敵視する妹・百合は「秋は本当は私と両思いだった」と言い張り、父まで巻き込んで二人の結婚を妨害し始める。 そして結婚式の翌朝、百合は突然「秋の子を妊娠した」と告白。父はありさに離婚して夫を妹へ譲れと迫る。ところが妊娠時期を聞いた瞬間、ありさと秋は揃って大爆笑した。その二か月前、秋には百合の主張を根底から覆す、決定的な医療記録が残っていたのだ――。兄弟姉妹|夫婦|真相2.0万字5 108 -
完結第12話
万引きを疑われた私に、警備員が「六万円で見逃す」と言ったので父に電話した
ロンドンから帰国した紗季は、父が経営するショッピングモールを客として訪れた。ところが突然、身に覚えのない万引きを疑われ、警備室へ連行される。鞄から出てきたのは、見たこともないネックレス。さらに警備員は「六万円払えば見逃してやる」と、用意済みの自白書を突きつけてきた。 だが彼らは知らなかった。紗季が次期経営幹部として帰国した、社長の娘であることを。そして父への一本の電話をきっかけに、隠しカメラの映像、消された記録、何十人もの被害者が浮かび上がる。これは警備員の小遣い稼ぎではない。モールそのものを奪うため、会社の中枢で仕組まれた巨大な罠だった――。真実|金銭問題|修羅場2.1万字5 26 -
完結第11話
両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた
両親を相次いで亡くした美穂に、夫・雅也が突然、一週間の温泉旅行を贈った。初めて見せた思いやりを信じて家を空けた美穂だったが、帰宅すると、思い出の詰まった実家は跡形もなく解体されていた。 雅也は土地を売り、その金で義実家を二世帯住宅にするつもりだった。しかし美穂が遺産を相続したというのは、三人の勝手な思い込みだった。名義変更前の家を無断で壊し、所有者の承諾書まで偽造した疑いが浮上する中、美穂は両親の思い出を奪った夫と義両親への反撃を始める。因果応報|嫁姑|夫婦|金銭問題1.7万字5 58 -
完結第12話
浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた
八か月前から原因不明の頭痛と吐き気に悩まされている美央。病院を巡っても異常は見つからず、夫・公平と義母・悦子は、仕事を辞めて療養するよう優しく勧めていた。父から相続した自宅と賃貸ビルの管理も夫に任せればいい――二人の気遣いを信じ、美央は自分の心が弱いせいだと思い始めていた。 ところがある日、交換したばかりの浄水器が異常を知らせる。点検に訪れた作業員が内部を開けると、正規のカートリッジは別物とすり替えられ、飲料用ではない物質が詰め込まれていた。さらに玄関の開錠記録と防犯映像から、美央の出張中に工具袋を持った義母が二時間近く家へ入っていたことが判明する。 安全な場所へ避難した途端、八か月続いた症状は急速に消えていった。分析で検出されたのは、長期間摂取すれば臓器に障害を残す危険のある特殊な工業薬品。その入手記録には、妻を心配し続けていたはずの公平の署名が残されていた。 多額の借金を抱えた公平は、美央の判断力を奪い、父の遺したビルを処分するための委任状まで準備していた。しかし押収された端末を調べると、計画は財産だけでは終わっていなかった。生命保険の受取人変更まで相談していた相手は、美央が体調不良について最も信頼し、何度も助けを求めていた人物だった。夫婦|真実|真相|修羅場1.8万字5 127 -
完結第10話
「飯抜き」と言われたので、夫との生活を全部やめました
「俺の命令に従わないなら、今日からお前は飯抜きだ!」 会社を勝手に辞め、半年間も妻の収入で暮らしていた夫・裕介は、義両親の前でそう宣言した。 しかも彼が求めたのは、妻・綾野が仕事を辞め、元気な義父の“介護”を始めること。 食卓に並ぶ料理も、家賃も、夫の税金さえ払っているのは綾野だった。 それでも義両親は「夫に従えない嫁に飯を食う資格はない」と言い放つ。 その夜、綾野は一人で家を出た。 そして生活費の送金を止め、夫の家族カードを凍結し、すべての支払いから自分の名義を外していった。 一か月後、電気も水道も止まった部屋から、裕介の怒鳴り声が届く。 『無職の俺を見捨てる気か! 今すぐ金を振り込め!』 だが綾野は、すでに一冊の調査報告書を手にしていた。 夫が彼女を退職させ、義実家へ閉じ込めようとしたのは、親の介護のためではなかった。 報告書の最初のページに記されていたのは、裕介がどうしても妻に知られたくなかった、ある「金」と「女」の存在だった――。人生逆転|嫁姑|夫婦|介護1.5万字5 225 -
完結第16話
大晦日、義実家の60億円計画を知った
大晦日の夜、義実家の二階から母とビデオ通話をしていると、突然その表情が凍りついた。 「南、声を出さないで。お父さんが裏口まで迎えに行くから」 直後、私は義父の書斎から漏れる夫の声を聞いた。二人は私の実印を盗み、私が代表を務める資産管理会社の権限を書き換え、約六十億円の預金を破綻寸前のリゾート事業へ流そうとしていた。 私は結婚指輪も荷物も置いたまま裏口から脱出し、その夜のうちに全口座を凍結。二十三億円の普通預金と三十五億円の定期預金を、夫の手が届かない別銀行へ移す手続きを終えた。 これで資産は守れたはずだった。 ところが銀行担当者は、夫が持参すると告げていた書類の中に、父の署名入り《債務保証承諾書》があったと明かす。その印鑑証明書は偽物ではなく、三か月前に正規発行された本物だった。 夫はいつ、父の印鑑証明を手に入れたのか。そして十三年間の結婚生活の裏で、どこまで周到に黒川家を破滅させる準備を進めていたのか。嫁姑|夫婦|真相|修羅場2.4万字5 392