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"月給55万円を削られた古参社員の静かな逆転" 第7話

バタン!

佐藤は無言でドアを完全に閉め、施錠した。 からなおも数分、ドアを蹴る音と罵声が響いていたが、やがてくでタクシーのドアが閉まる音がして、再び静寂が戻った。

に落ちた面を拾いげる。そこには確かに『損害賠償請求予告通・千万円』の文字が躍っていた。 階段のから、青ざめた顔の由美がおずおずとりてくる。

「あなた……千万円って……私たち、どうなってしまうの……?」

震える妻の肩を抱き寄せながら、佐藤の瞳の奥に宿ったのは、恐怖ではなく、静かに燃え盛る徹な決の炎だった。

「配いらないよ、由美。……彼らは自ら、絶対にけてはならないパンドラの箱の鍵を回してしまったんだ」

翌朝、午。 れの澄み渡る空の、佐藤は自宅をた。 そのには、先代から受け継いだあの傷だらけの茶革のブリーフケースがしっかりと握られていた。

向かった先は、町にそびえつグループ本社ビル。 最階の特別応接に通されると、毛のい絨毯が佐藤の音を静かに吸い込んだ。巨なマホガニーのデスクの向こうで、会が静かにちがり、温な笑みを浮かべて迎えてくれた。

「来てくれたね、佐藤君。待っていたよ」

「会、お忙しいところ貴なおをいただき、謝申しげます」

佐藤はく礼し、ブリーフケースからつのものを取りしてデスクのに置いた。

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つは、昨夜田がねじ込んできた千万円の損害賠償請求の面。 そしてもうつは、あのさセンチにも及ぶ『システム移検証記録』と、田の横領・裏の証拠ファイルだった。

会は老鏡をかけ、無言で類に目を通し始めた。 ページをめくる乾いたの音だけが、広な部に響く。分、分……会の温だった表から切の笑みが消え、眉にい溝が刻まれていった。

「……なるほどな」

すべての類を読み終えた会は、鏡をし、くい溜息を吐きした。

「鈴の代目は、自社の若社員が犯したこのな背任為とセキュリティの犯罪に気づかないどころか、その綻びをで縫いわせていた君を万円の減で追いし、そのを横領の穴埋めに使おうとしていたわけか」

会は笑を浮かべ、デスクを指先でトントンと叩いた。

「あまりの愚かさに、りを通り越して呆れ果てるよ。佐藤君、君はが良すぎる。ここまでコケにされながら、昨までこの正の証拠を握りつぶし、会社の体面を守ってやろうとしていたのだろう?」

「……先代への恩義がございましたので。ですが、妻を脅迫し、千万円もの当な請求で庭を壊そうとするに至っては、もはや過することはできません」

「当然だ」会は力く頷いた。

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「この資料は、私が預からせてもらう。が社の法務部と顧問弁護士、それに旧の国税局の査察部をフル稼働させよう。……それと、佐藤君」

会は自らちがり、級な茶器で淹れた温かい緑茶を佐藤のに差しした。

「君のような誠実で、危管理の本質を骨の髄まで理解している優秀な材を、あのような舟で腐らせておくのは本経済の損失だ。どうだね、佐藤君。がグループの傘にある報インフラ子会社で、専務取締役として腕を振るってみないか?」

「えっ……専務、ですか……?」

「君がかけて培ってきた『現の信頼をんじる臭い目配り』こそが、今のITバブルで浮つ若いエンジニアたちに最も必なものだ。しいスーツを仕てておきたまえ。来週々、が社の役員会で君を正式に紹介する」

佐藤はい茶をすすった。喉の奥を通り、胸の底へと温もりが染み渡っていく。 の臭い努力は、決して無駄ではなかった。見てくれているは、必ず見ていてくれている。佐藤はく、くをげた。

そのの午。 株式会社鈴の社では、鈴社が勝利の笑みを浮かべて物のシャンパンをけていた。

「ふん、千万円の請求予告を見れば、あの追いぼれも今頃は妻と抱きってガタガタ震えているはずだ。あたり、泣きついて許しを請いに来るだろうよ」

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