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"月給55万円を削られた古参社員の静かな逆転" 第12話

佐藤の静かな声が、止めを刺すように響いた。

「鈴社。あなたが私に言い渡した万円の減は、見せしめなどではなく、あなた方の正によっていた穴を、私の料で埋めるための盗為だった。……違いますか?」

「あ……あ……」

鈴社は喉を詰まらせ、に力なく両をついた。 もはや、いかなる言い逃れも通用しなかった。最のシステムを過信し、アナログな記録を軽した結果、自分たちが捨てった過の遺産によって、逃げのない檻のに完全に閉じ込められたのだ。

その、静まり返った会議に、甲い子音が鳴り響いた。 に落ちていた鈴社のスマートフォンだった。画面には『第 融資統括部』の文字が表示されている。メインバンクからの直だった。

会がたく顎をしゃくると、鈴社は震えるで通話ボタンを押し、スピーカーをオンにした。

『——鈴社ですね。緊急でお伝えしなければならないことがございます』

受話器の向こうから聞こえてきたのは、血も涙もない員の事務な声だった。

『先ほど、グループ様および主取引先各社様より、貴社との全取引止および損害賠償請求の通を受理いたしました。これを受け、当の信用リスク審査委員会は、貴社に対する期・期の全融資枠を即凍結し、現残にある当座預を全額担保回収に充てることを決定いたしました』

「ま、待ってください! 今、座を止められたら、今の形が落ちない! 社員の料も払えないんです!!」

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『申し訳ありませんが、決定事項です。また、社個が連帯保証に入っている億千万円の設備投資融資につきましても、期限の利益を喪失したものとして、本に括弁済を請求させていただきます。差し押さえの続きに入りますので、法務担当者とお待ちください』

プツッ……ツーツーツー……。

無慈な切断音が、広な部に虚しく響き渡った。

「終わりだ……」

鈴社のから、魂の抜けたような掠れ声が漏れた。 会社の売の割が消滅し、座は凍結され、個資産もろとも破産する。先代がかけて築きげた会社が、自分の代になってわずか数、佐藤を切り捨ててからたったの週で、完全にから消滅したのだ。

鈴社はをい、佐藤の革靴のに額を擦り付けた。

「佐藤さん……! 頼む、私が悪かった! あれは全部、田に唆されたんだ! 会に利きをしてくれ! 料は元の倍……いや、倍す! 特別副社として迎えるから、どうか、どうか会社を助けてくれぇっ!!」

涙とを垂らしながら、佐藤のズボンの裾にすがりつくれな男。 そこには、かつて社のソファでふんぞり返り、のを見せしめとして弄んでいた傲な権力者の面は、微も残っていなかった。

佐藤は、その震えるを静かに、しかし決定な力で払い除けた。

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「お断りします」

佐藤の徹な言が、鈴社の胸を撃ち抜いた。

「私のの誠は、で買い戻せるような物ではありません。……そして、万円の減を告げられたあの、私が申しげたはずです。『もう辞めましたけど』とね」

会が静かにを振ると、屈な警備員名が歩み寄り、泣き叫ぶ鈴社と田を両脇から抱えげた。

「せ! 佐藤、貴様ァ! 私を誰だとっているんだ!!」

見苦しい罵声を残し、は会議のへと引きずりされていった。扉が々しい音をてて閉まり、再びよい静寂が部を満たした。

「見事だったよ、佐藤専務」

会が穏やかな笑みを浮かべ、佐藤の肩にを置いた。

「さて、古い膿はすべてし切った。これからは、君の臭くも確かな力で、がグループのしい報インフラを支えてくれたまえ」

「はい。全全霊を捧げます」

窓のを見げると、抜けるようなの青空がどこまでも広がっていた。 胸ポケットの帳が、確かなみを持って佐藤の胸板を温めていた。

町での劇な対決からヶ。

株式会社鈴の破産続きは、の速さで完した。負債総額は億円を超え、本社ビルは競売にかけられ、先代の遺産であった自社ビルには酷なち入り禁止テープが張り巡らされた。

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