みかん小説
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"兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした" 第2話

 

「ごめんって……何が?」

無識のうちに、私は作業台の枠に指先をい込ませていた。

「今回はね、本当に親しいだけなのよ」

母は気にそう言い切った。

が、すぐにはに入ってこなかった。「本当に親しいだけ」という言葉の響きと、「実の妹である自分が除されている」という現実が、どれほど引き絞っても結びつかなかったのだ。

作業の片隅で待するミシンのモーターが、かすかな子音をててをましている。その規則な音だけが、元でやけにきく響いていた。

「……それって、族だけってこと?」

乾ききった喉からようやく絞りした私の問いに、母は受話器の向こうでさく息を漏らした。それは、私が取り乱して詰め寄ってこなかったことに対する、骨な堵の吐息だった。

「まあ、そんなじね。本当にさい式なのよ。ほら、幸介ももう歳だし、相のご親族も派なことは好まない質(たち)らしくて。だから本当に、極々内輪だけで済ませることにしたの。理にも気を遣わせちゃうと悪いからって、幸介ともそう話してたのよ」

母の調は、まるで私を気遣って配慮したかのように滑らかだった。しかし、その理屈は最初から破綻していた。どれほど規模を縮した内だけの式であろうと、実の親と並んで座るべき実の妹が「気を遣わせるから」

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という理由で排除される理など、どこを探してもしない。

追及しようとえば、いくらでもできた。「なぜ妹の私が呼ばれないのか」「ゆかさんもそれを承しているのか」と声を荒らげることも能だった。

だが、話で困ったように言葉を濁し、そのしのぎの言い訳をねる母の姿が目に浮かぶにつれ、猛烈なりよりも先に、元がすっと抜けていくようない虚無が胸を支配した。兄の歳でのれ台だ。これからしい活を始めようとしているのに、内の諍いでを塗るような真似はしたくなかった。私がここで騒ぎてれば、母は「理がって式を台無しにしようとした」と被害者面をし、兄やゆかさんにも余計な気まずさを背負わせることになる。

「……そっか。そういうことね。分かった」

私はわざと笑いを含んだ声を絞りした。

「ごめんね、理。また落ち着いたら、みんなでご飯でもべましょうね」

「うん、おめでとうって伝えておいて」

通話を切った瞬、の力が抜け、スマートフォンが作業台の布のに音もなく落ちた。

族だけ、と母は言った。だが、その「族」の輪の輪郭線から、私だけが定規で綺麗に消しられていた。

子にく腰を沈め、井を見げた。蛍灯のい傘に、何もにんださな染みがこびりついている。

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りよりも、恥ずかしさが込みげてきた。内として兄を祝福できると信じ込み、礼の点検までしていた自分の滑稽さに、顔から血の気が引いていくようだった。

兄には兄の事があるのだろうと、必に自分を言いくるめた。会の収容数が極端にないのかもしれない。先方の厳格なしきたりで、親兄弟の参加数に厳しい制限がかけられたのかもしれない。どんな事があるにせよ、私が物分かりのいい妹として静かにを引くことこそが、このにおける唯の正解なのだとい込もうとした。

だが、式の当、の曜に、この狭い作業で、針をかしている自分の姿を像しただけで、肺が押し潰されそうになった。

族が華やかなので祝杯を挙げているに、で留守番をし、誰からも来ない連絡を待つ。そんな惨めなを耐え忍ぶ自信は、私にはなかった。

ちがった私は、作業台の引きしから帳を取りし、週末の予約状況を確認した。幸い、急ぎの納品はまでにすべて片付く段取りになっている。私は震える指で航空会社の予約サイトをいた。

き先は、以から度訪れてみたいとっていただった。千歳空港までの往復航空券と、樽の運沿いにある古いビジネスホテルを泊で配した。

画面に表示された「予約完」

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