"夫は私を最低な妻として配信していた" 第8話
娘の帰宅
児童相談の担当者は、拓也が移ったウィークリーマンションを特定した。菜は父と話しったで、いったん母方の祖母宅へ移ることを選んだ。私のではなく、どちらの親からも距を置ける所だった。
再会した娘は、すぐ謝らなかった。私も抱きしめなかった。カウンセラー同席の部で、互いに事実を話した。
「私、お母さんが嫌いだったもある。画にれば、お母さんがにいるが増えるとった」
「嫌いだったことまで取り消さなくていい。でも言っていないことを、あなたの言葉にさせたのはお父さんの責任よ」
菜は父から渡された台目のスマートフォンをした。撮用で、送信履歴は削除されていたが、音声メモが件残っていた。
拓也は次の画で、菜が母に押されて転ぶ面を再現しようとしていた。私が触れていなくても、別の映像をねれば分からないと説している。
菜はそれを聞いて、父が自分の気持ちを伝えているのではなく、物語にわせて使っていると理解した。
「私もおをもらった。被害者みたいに言っていいのかな」
「おを受け取った責任と、歳のあなたを利用したの責任は同じではない。両方を話せばいい」
祖母のの玄関で菜を見た、私は髪がしくなっていることに気づいた。
広告
いつ切ったのかを尋ねかけて、今は答えさせなくてもいいとい直した。祖母が温かい麦茶をし、カウンセラーは母娘が向かいわず横並びに座れるよう子をかした。菜は私の顔を見ないまま「学にはきたい」と言った。私は担任と相談して席の続きをえたことだけを伝えた。
菜が父親のもとで過ごした数、事や寝る所はあったという。しかし父は窓のを撮り、逃げている父娘の映像にしようとしていた。菜が画面かられると、「見てくれるが減れば助けがなくなる」と言われた。彼女は父を憎むだけでは済まなかった。困ったに自分を迎えに来たのも、母の欠席を慰めたのも父だったからだ。私はその記憶を否定せず、撮を断れる所を作ることを先に考えた。
台目の端末は菜が自分の判断で持ちした。父が削除した送信履歴を私に復元してほしいと言ったが、私は端末を野へ預ける選択肢を示した。娘の個な会話まで母親が読む必はない。音声メモについては、菜がカウンセラーので再を選び、必な部分の複製を許した。さな続きでも、今度は誰が何を見せるか本に決めてもらいたかった。
帰り際、菜は祖母の肩越しに私を見た。以なら「はに帰ろう」
広告
とにしただろう。私は次の面談と学の連絡先を確認し、「必なものがあったら言って」と伝えた。菜はく頷き、ドアを閉めた。親子だからすぐ緒に暮らせるという期待を、あの部のへ持ちさないことにした。
菜は祖母宅へ戻る、「お母さんののカメラは全部なくなった?」と聞いた。私は調査で見つかった台をしたこと、ほかにないか追加で確かめていることを話した。絶対に何もないと言い切ってさせるより、分かっている範囲を正確に伝えたい。菜はそれ以尋ねず、祖母の台所へった。翌から学に戻る準備をする娘を見て、私は謝罪の言葉だけではりないが始まるとった。
菜はすぐ私と暮らさず、祖母宅から学へ通った。母娘がつの証言で元どおりになるほど、傷は浅くなかった。
方、拓也は私が娘を連れったと配信し、予定していた暴力告発画を公すると宣言した。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
風呂を禁じた義母と、家を出た嫁の反撃
由香は出版社で働きながら、無職になった夫・正斗を支え、家計も家庭も一人で背負っていた。 しかし、義母・松恵が突然同居を始めると状況は一変する。家事や生活費を押し付けられ、深夜帰宅した由香に対して「文句があるなら稼いでから言え」と言い放つ義母。 限界を迎えた由香は、静かに決断する。 「では今後は、すべて夫に払わせますね」 その一言を境に、崩れかけていた家族の関係が動き始める。 さらに、義母が持ち込んだ大量の段ボールの中から発見された怪しい情報商材。そして隠されていた家族の秘密。 由香が離れたことで、夫は初めて自分が逃げ続けていた現実と向き合うことになる。 奪われた時間、壊された信頼、そして明らかになる義母の本当の目的――。 一人で耐え続けた妻が、自分の人生を取り戻すために選んだ静かな反撃が始まる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.2万字5 562 -
完結第17話
夫と実母に裏切られたので、静かに二人との縁を切りました
夫の不倫を知った香織に、実母・静が突きつけたのは慰めではなく、「あなたが離婚すれば丸く収まる」という残酷な言葉だった。母は、自分が暮らすマンションの家賃を今後も払うという夫の約束と引き換えに、娘を切り捨てたのだ。 十七年間信じた夫と、長年支えてきた母。二人の密約を知った香織は、その場で離婚届に判を押し、母とも絶縁する。そして自分名義だった母の部屋を解約し、家族を支えてきた金と信用を静かに引き揚げていく。 ところが七日後、元夫の代理人弁護士から一本の電話が入る。夫は香織の同意を偽り、離婚後も彼女に契約責任を背負わせようとしていたばかりか、亡き父から相続した預金にまで手を伸ばしていたという。 消えた三百万円、不倫相手と設立された会社、そして母がどうしても香織名義の部屋を手放せなかった理由。裏切った二人が守ろうとしていた秘密を調べるうち、香織は、夫と母さえ互いの本当の目的を知らないまま手を組んでいたことに気づく。 娘を犠牲にすれば、すべて丸く収まるはずだった――。しかし香織が契約と通帳を一つずつ整理し始めた瞬間、その歪んだ同盟は内側から崩れ始める。嫁姑|夫婦2.6万字5 1186 -
完結第18話
ただの経理パート
「君の仕事は誰にでもできる。今日で辞めてもらう」 結婚二十八年。夫は社員全員の前で、私を“週三日の経理パート”として解雇した。 代わりに経理責任者となったのは、夫が連れてきた三十四歳の女性顧問。 私は退職届に署名せず、会社の鍵だけを置いて帰った。 ところが翌朝、売上の六割を占める主力取引先三社が、一斉に新規発注を停止した。 夫は私の報復だと騒いだが、通知に書かれていた理由は―― 《安全監査資料の重大な欠落》 新しい顧問が、都合の悪い事故記録を削除していたのだ。 さらに調べると、私は会社案内だけでなく創業者名簿からも消され、二千万円を出資した記録まで書き換えられていた。 役員を外す書類に残された私の署名。 その作成日、私は手術を受け、病院から一歩も出ていなかった。職場逆転|夫婦1.8万字5 24 -
完結第13話
妊娠八か月の私に姑は四十人分のおせちを作らせた
「妊娠は病気じゃないでしょう。座るなら、四十人分のおせちを作り終えてからにして」 妊娠八か月の私は、姑に母子手帳とスマートフォンを取り上げられ、夜明け前から台所に立たされていた。 腹の痛みに耐え切れず床へ崩れた時、店の裏口から両親が入ってきた。 父は椅子のない台所と、姑が握る金庫の鍵を見て静かに尋ねた。 「娘の母子手帳を、なぜあなたが持っているんですか」 この店も住居も、夫の実家の物ではない。経営危機を救うため、私の父の会社が買い取り、相場の三分の一以下で貸していた建物だった。 入院後に調べると、私は知らないうちに店の取締役にされ、毎月二十八万円の報酬を受け取ったことになっていた。 けれど私が渡されていたのは、生活費の五万円だけ。 さらに辞めた板前から届いた花には、一枚のカードが添えられていた。 《金庫の中に、あなた名義の通帳が三冊あります》嫁姑|裡の顔1.1万字5 224 -
完結第12話
娘の就職祝いで夫は私を泥棒と呼んだ
「会社から二千万円を移しました。見つかる前に、帳簿も処分します」 娘の入社祝いの席で、夫は“私の声”が入った録音を再生した。 義母にはワインを浴びせられ、夫からは離婚届を突きつけられた。 「今日署名すれば、警察には届けない」 録音日時は三月十四日、午後八時十二分。 けれどその時、私は病院の手術室で全身麻酔を受けていた。 さらに翌朝、娘の携帯には、私のアカウントから送られた覚えのないメッセージが残っていた。 調べると、消えた二千万円の送金先には義母名義の会社があり、入社したばかりの娘まで五千万円の補助事業の責任者にされていた。 そしてある夜、娘が突然姿を消す。 会社の経理室に残されていたのは、娘の実印が押された一通の自白書だった。 《二千万円の送金は、すべて母の指示で行いました》夫婦|金銭問題1.3万字5 275 -
完結第13話
妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝
同窓会で再会した幼馴染の秋と結婚したありさ。だが、昔から姉を敵視する妹・百合は「秋は本当は私と両思いだった」と言い張り、父まで巻き込んで二人の結婚を妨害し始める。 そして結婚式の翌朝、百合は突然「秋の子を妊娠した」と告白。父はありさに離婚して夫を妹へ譲れと迫る。ところが妊娠時期を聞いた瞬間、ありさと秋は揃って大爆笑した。その二か月前、秋には百合の主張を根底から覆す、決定的な医療記録が残っていたのだ――。兄弟姉妹|夫婦|真相2.0万字5 1585 -
完結第11話
両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた
両親を相次いで亡くした美穂に、夫・雅也が突然、一週間の温泉旅行を贈った。初めて見せた思いやりを信じて家を空けた美穂だったが、帰宅すると、思い出の詰まった実家は跡形もなく解体されていた。 雅也は土地を売り、その金で義実家を二世帯住宅にするつもりだった。しかし美穂が遺産を相続したというのは、三人の勝手な思い込みだった。名義変更前の家を無断で壊し、所有者の承諾書まで偽造した疑いが浮上する中、美穂は両親の思い出を奪った夫と義両親への反撃を始める。因果応報|嫁姑|夫婦|金銭問題1.7万字5 943 -
完結第12話
浄水器の異物から、夫の秘密が暴かれた
八か月前から原因不明の頭痛と吐き気に悩まされている美央。病院を巡っても異常は見つからず、夫・公平と義母・悦子は、仕事を辞めて療養するよう優しく勧めていた。父から相続した自宅と賃貸ビルの管理も夫に任せればいい――二人の気遣いを信じ、美央は自分の心が弱いせいだと思い始めていた。 ところがある日、交換したばかりの浄水器が異常を知らせる。点検に訪れた作業員が内部を開けると、正規のカートリッジは別物とすり替えられ、飲料用ではない物質が詰め込まれていた。さらに玄関の開錠記録と防犯映像から、美央の出張中に工具袋を持った義母が二時間近く家へ入っていたことが判明する。 安全な場所へ避難した途端、八か月続いた症状は急速に消えていった。分析で検出されたのは、長期間摂取すれば臓器に障害を残す危険のある特殊な工業薬品。その入手記録には、妻を心配し続けていたはずの公平の署名が残されていた。 多額の借金を抱えた公平は、美央の判断力を奪い、父の遺したビルを処分するための委任状まで準備していた。しかし押収された端末を調べると、計画は財産だけでは終わっていなかった。生命保険の受取人変更まで相談していた相手は、美央が体調不良について最も信頼し、何度も助けを求めていた人物だった。夫婦|真実|真相|修羅場1.8万字5 415 -
完結第10話
「飯抜き」と言われたので、夫との生活を全部やめました
「俺の命令に従わないなら、今日からお前は飯抜きだ!」 会社を勝手に辞め、半年間も妻の収入で暮らしていた夫・裕介は、義両親の前でそう宣言した。 しかも彼が求めたのは、妻・綾野が仕事を辞め、元気な義父の“介護”を始めること。 食卓に並ぶ料理も、家賃も、夫の税金さえ払っているのは綾野だった。 それでも義両親は「夫に従えない嫁に飯を食う資格はない」と言い放つ。 その夜、綾野は一人で家を出た。 そして生活費の送金を止め、夫の家族カードを凍結し、すべての支払いから自分の名義を外していった。 一か月後、電気も水道も止まった部屋から、裕介の怒鳴り声が届く。 『無職の俺を見捨てる気か! 今すぐ金を振り込め!』 だが綾野は、すでに一冊の調査報告書を手にしていた。 夫が彼女を退職させ、義実家へ閉じ込めようとしたのは、親の介護のためではなかった。 報告書の最初のページに記されていたのは、裕介がどうしても妻に知られたくなかった、ある「金」と「女」の存在だった――。人生逆転|嫁姑|夫婦|介護1.5万字5 790 -
完結第16話
大晦日、義実家の60億円計画を知った
大晦日の夜、義実家の二階から母とビデオ通話をしていると、突然その表情が凍りついた。 「南、声を出さないで。お父さんが裏口まで迎えに行くから」 直後、私は義父の書斎から漏れる夫の声を聞いた。二人は私の実印を盗み、私が代表を務める資産管理会社の権限を書き換え、約六十億円の預金を破綻寸前のリゾート事業へ流そうとしていた。 私は結婚指輪も荷物も置いたまま裏口から脱出し、その夜のうちに全口座を凍結。二十三億円の普通預金と三十五億円の定期預金を、夫の手が届かない別銀行へ移す手続きを終えた。 これで資産は守れたはずだった。 ところが銀行担当者は、夫が持参すると告げていた書類の中に、父の署名入り《債務保証承諾書》があったと明かす。その印鑑証明書は偽物ではなく、三か月前に正規発行された本物だった。 夫はいつ、父の印鑑証明を手に入れたのか。そして十三年間の結婚生活の裏で、どこまで周到に黒川家を破滅させる準備を進めていたのか。嫁姑|夫婦|真相|修羅場2.4万字5 638