"50歳の再婚、披露宴で知った夫の嘘" 第3話
のと、届かない謝罪
夜。
私が、賃を払い続け、守り抜いてきた区の賃貸マンション。
解約予定だったその部の鍵をけると、使い慣れたフローリングの匂いと、静寂が私を迎え入れてくれた。
リビングの隅には、目黒の居へ送るはずだった段ボール箱が数個、井く積みげられている。
、調理器具、アルバム、資格の教本。
歳という齢で、もう度誰かと温かな庭を築けると信じ、を躍らせながらパッキングした荷物の。
そのすべてが、今はグロテスクな欺瞞の記碑のように見えた。
私はウェディングドレスを脱ぎ捨て、着慣れたスウェットに着替えると、洗面所の蛇をひねってたいで何度も顔を洗った。
鏡に映る自分の顔。目尻には齢相応の皺が刻まれ、疲労で青黒い隈が浮きている。
だが、その瞳の奥のだけは、決してんでいなかった。
物流の現で、何度理尽なトラブルに見われても、私は決してのせいにせず、自分ので責任を取ってきた。
男尊女卑の残る業界で、歳まで管理職としてき残ってきた私の誇りが、囁いていた。
――泣き寝入りして、の嘘の帳尻わせに使われてたまるか。
テーブルのに置いたスマートフォンが、狂ったように振を繰り返していた。
広告
画面には【正】の文字。着信履歴はすでに件を超え、メッセージアプリの通バッジは「99+」に達していた。
えた緑茶をみ、私はメッセージの画面をいた。
『玲子、お願いだから話にてくれ。本当に悪かった』
『母さんが勝にいがって、自分の願望を事実だとい込んじゃっただけなんだよ』
『僕から母さんには「玲子は仕事を辞めない」ってきつく叱っておいたから。母さんも反省してる』
『、僕がで迎えにくから。目黒の居で待ってる。で朝ご飯をべよう』
画面をスクロールする指が、りでえ切っていく。
すべてを「老いた母親の勘違い」にすり替え、自分はに入って苦労した善面をし、何事もなかったかのように婚活を始めようとする浅ましさ。
披宴の砂で、義母が見せたあの満面の笑み。
あれは決して、い込みや勘違いの顔ではなかった。息子から「絶対に丈夫だ」と太鼓判を押され、老の介護を確約された特の、片の疑いもない歓の表だったのだ。
私はスマートフォンの源を切り、帳をいた。
休暇と慶弔休暇をわせて、残りの休みがある。
ただ部に閉じこもって愚痴を垂れ流すつもりはない。
問題が発したに最初にやるべきことは、の発散ではなく、現状の正確なファクトチェック(事実確認)だ。
翌朝、私は管理会社へ話をかけ、退続きの保留を申し入れた。
幸い、次の入居者の審査だったため、違約を払えば契約の継続は能だという。
自らの退を確保したで、私は正と交わした過数かの全メッセージ履歴を、タブレット端末へバックアップし始めた。
そして――私は、ある決定な「付の矛盾」に突き当たることになる。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
風呂を禁じた義母と、家を出た嫁の反撃
由香は出版社で働きながら、無職になった夫・正斗を支え、家計も家庭も一人で背負っていた。 しかし、義母・松恵が突然同居を始めると状況は一変する。家事や生活費を押し付けられ、深夜帰宅した由香に対して「文句があるなら稼いでから言え」と言い放つ義母。 限界を迎えた由香は、静かに決断する。 「では今後は、すべて夫に払わせますね」 その一言を境に、崩れかけていた家族の関係が動き始める。 さらに、義母が持ち込んだ大量の段ボールの中から発見された怪しい情報商材。そして隠されていた家族の秘密。 由香が離れたことで、夫は初めて自分が逃げ続けていた現実と向き合うことになる。 奪われた時間、壊された信頼、そして明らかになる義母の本当の目的――。 一人で耐え続けた妻が、自分の人生を取り戻すために選んだ静かな反撃が始まる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.2万字5 606 -
完結第12話
寝室のベッドの下に隠されていたもの
寝室のベッドの汚れが気になり、清掃業者を呼んだ高島怜奈。 ところが、六年間動かしていなかったベッドの裏から見つかったのは、枕元へ向けられた小型カメラとマイク、そして謎の装置だった。 さらに奥には、叔母から相続した一億八千万円の財産資料と、怜奈の日常を細かく記した〈生活能力観察記録〉が隠されていた。 頭痛、物忘れ、薬を飲んだ時間、夜中に起きた回数――。 半年間、自分でも「最近おかしい」と感じていた症状まで、なぜかすべて記録されている。 そして最後に残されていたのは、夫の筆跡による一文だった。 〈本人が自己管理不能と認めた段階で、委任状へ署名させる〉 十二年間信じてきた夫の優しさは、本当に愛情だったのか。 ベッドの下から始まった小さな違和感は、やがて怜奈の財産、仕事、そして「自分の記憶」さえ奪おうとする長年の計画へとつながっていく。夫婦|裡の顔2.2万字5 64 -
完結第18話
夫は私を最低な妻として配信していた
夜勤明け、同僚から見せられた動画には、家族へ暴言を吐く“私”が映っていた。 《看護師の妻、夜勤後に家族へ八つ当たり》 再生回数は百二十万回。投稿者は夫だった。 私の言葉は前後を切り取られ、十四歳の娘まで台本を読まされていた。 帰宅して問い詰めると、夫は悪びれずに言った。 「動画を公開されたくなければ、娘の親権を争わないと約束してくれ」 家を調べると、台所や廊下から四台の隠しカメラが見つかった。 さらに夫は、虐げられた父親を演じ、広告や寄付で一年に一千三百万円以上を得ていた。 そして次回予告には、私が娘へ暴力を振るった“決定的証拠”を公開すると書かれていた。 しかし、削除されたメモリーカードを復元すると、映っていたのは泣く娘へ台本を渡す夫の姿だった。 「もう一度。今度は『お母さんに叩かれた』と言って」夫婦|裡の顔2.4万字5 300 -
完結第18話
ただの経理パート
「君の仕事は誰にでもできる。今日で辞めてもらう」 結婚二十八年。夫は社員全員の前で、私を“週三日の経理パート”として解雇した。 代わりに経理責任者となったのは、夫が連れてきた三十四歳の女性顧問。 私は退職届に署名せず、会社の鍵だけを置いて帰った。 ところが翌朝、売上の六割を占める主力取引先三社が、一斉に新規発注を停止した。 夫は私の報復だと騒いだが、通知に書かれていた理由は―― 《安全監査資料の重大な欠落》 新しい顧問が、都合の悪い事故記録を削除していたのだ。 さらに調べると、私は会社案内だけでなく創業者名簿からも消され、二千万円を出資した記録まで書き換えられていた。 役員を外す書類に残された私の署名。 その作成日、私は手術を受け、病院から一歩も出ていなかった。職場逆転|夫婦1.8万字5 366 -
完結第13話
妊娠八か月の私に姑は四十人分のおせちを作らせた
「妊娠は病気じゃないでしょう。座るなら、四十人分のおせちを作り終えてからにして」 妊娠八か月の私は、姑に母子手帳とスマートフォンを取り上げられ、夜明け前から台所に立たされていた。 腹の痛みに耐え切れず床へ崩れた時、店の裏口から両親が入ってきた。 父は椅子のない台所と、姑が握る金庫の鍵を見て静かに尋ねた。 「娘の母子手帳を、なぜあなたが持っているんですか」 この店も住居も、夫の実家の物ではない。経営危機を救うため、私の父の会社が買い取り、相場の三分の一以下で貸していた建物だった。 入院後に調べると、私は知らないうちに店の取締役にされ、毎月二十八万円の報酬を受け取ったことになっていた。 けれど私が渡されていたのは、生活費の五万円だけ。 さらに辞めた板前から届いた花には、一枚のカードが添えられていた。 《金庫の中に、あなた名義の通帳が三冊あります》嫁姑|裡の顔1.1万字5 308 -
完結第12話
娘の就職祝いで夫は私を泥棒と呼んだ
「会社から二千万円を移しました。見つかる前に、帳簿も処分します」 娘の入社祝いの席で、夫は“私の声”が入った録音を再生した。 義母にはワインを浴びせられ、夫からは離婚届を突きつけられた。 「今日署名すれば、警察には届けない」 録音日時は三月十四日、午後八時十二分。 けれどその時、私は病院の手術室で全身麻酔を受けていた。 さらに翌朝、娘の携帯には、私のアカウントから送られた覚えのないメッセージが残っていた。 調べると、消えた二千万円の送金先には義母名義の会社があり、入社したばかりの娘まで五千万円の補助事業の責任者にされていた。 そしてある夜、娘が突然姿を消す。 会社の経理室に残されていたのは、娘の実印が押された一通の自白書だった。 《二千万円の送金は、すべて母の指示で行いました》夫婦|金銭問題1.3万字5 309 -
完結第16話
貧乏嫁と見下されていた私、義姉の結婚式で本当の名前を呼ばれました
義姉の結婚式に出席した千鶴は、義母と義妹から「貧乏な内職嫁は一族の恥」と親族写真から外され、式場を追い出されそうになる。六年間、服の縫製で小遣いを稼ぐだけの女だと見下されてきた千鶴は、反論せず静かに控室を去ろうとした。 だが、純白のドレスをまとった花嫁が彼女を呼び止め、その正体を明かした瞬間、義家族の顔色が一変する。千鶴は世界的ブランドの創業者であり、経営難に陥った義父の縫製工場が命運を託す、一億円超の契約を審査する人物だった。初めて彼女の名前を呼んだ義父に、千鶴が下した判断とは――。兄弟姉妹|嫁姑|修羅場2.4万字5 506 -
完結第13話
妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝
同窓会で再会した幼馴染の秋と結婚したありさ。だが、昔から姉を敵視する妹・百合は「秋は本当は私と両思いだった」と言い張り、父まで巻き込んで二人の結婚を妨害し始める。 そして結婚式の翌朝、百合は突然「秋の子を妊娠した」と告白。父はありさに離婚して夫を妹へ譲れと迫る。ところが妊娠時期を聞いた瞬間、ありさと秋は揃って大爆笑した。その二か月前、秋には百合の主張を根底から覆す、決定的な医療記録が残っていたのだ――。兄弟姉妹|夫婦|真相2.0万字5 1611 -
完結第11話
両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた
両親を相次いで亡くした美穂に、夫・雅也が突然、一週間の温泉旅行を贈った。初めて見せた思いやりを信じて家を空けた美穂だったが、帰宅すると、思い出の詰まった実家は跡形もなく解体されていた。 雅也は土地を売り、その金で義実家を二世帯住宅にするつもりだった。しかし美穂が遺産を相続したというのは、三人の勝手な思い込みだった。名義変更前の家を無断で壊し、所有者の承諾書まで偽造した疑いが浮上する中、美穂は両親の思い出を奪った夫と義両親への反撃を始める。因果応報|嫁姑|夫婦|金銭問題1.7万字5 970