"50歳の再婚、披露宴で知った夫の嘘" 第8話
【敵の次反撲】スピーカーフォンの罠と、叔父の恫
その、居の固定話がけたたましく鳴り響いた。
ビクッと肩をねがらせる幸恵。ナンバーディスプレイには【正 携帯】の表示。
「お義母様、話にて、スピーカーフォンにしてください」
私のい指示に、幸恵は震えるで受話器を取り、保留ボタンの横のスピーカーを押した。
『もしもし! 母さんか!?』
受話器からびしてきたのは、焦燥に駆られた正の苛った声だった。
『今どこにいるんだよ! 実のインターホンの防犯カメラ見たら、玲子のみたいなのが映ってたぞ! まさか玲子がいるんじゃないだろうな!?』
幸恵が私と目をわせる。私は無言で頷いた。
「……ええ、正。玲子さんが来てくれているわよ」
話の向こうで、ヒュッと息を呑む音がした。
次の瞬、正は切り声をげた。
『母さん、騙されるな!! そいつは詐欺師だぞ!!』
あまりの罵声に、幸恵が目を見く。
『そいつ、披宴をぶち壊しただけじゃ飽きらず、母さんの財産まで巻きげる気なんだ! 僕が母さんのために用した居の費用も、そいつが「もっと広い部じゃないと嫌だ」って儘を言ったから、敷を払うために母さんの座からにて替えただけなんだよ! そいつの言うことを聞いちゃ駄目だ、今すぐ警察を呼べ!!』
自分の横領と文偽造を、すべて「私の欲のせい」
広告
にすり替える、おぞましいまでの自己正当化。
私はスピーカーフォンに向かって、静かに、だが氷のように研ぎ澄まされた声で割り込んだ。
「正さん。こんにちは」
『ひっ……!? れ、玲子……!?』
「目黒の居の賃貸借契約、拝見しましたよ。平米にも満たない、単者向けの1LDKですね。……特記事項欄の『齢親族の同居厳禁』という規約、さんにをげて確認しました。『ご主様から、絶対に母親は同居させないと確約をもらっています』とのことでした」
『なっ……な、何を勝なことを……!』
「それから、区役所での転届の偽造。私の委任状の跡、跡鑑定に回せば発であなたのものだと証されます。……今から警察へ向かいましょうか?」
受話器の向こうが、んだように静まり返った。
呼吸の音すら途絶えた沈黙。
だが――正は、そこで引きがるような男ではなかった。彼のような卑怯者が追い詰められたに繰りす、最悪の「次反撲」が始まった。
『……ふざけるなよ、ババア共が』
ノイズ交じりの受話器から漏れたのは、これまで度も聞いたことのない、く濁った正の本性だった。
『おい、玲子。調子に乗るなよ。おがいくら喚いたところで、世がおをどう見るとう? 「で再婚した途端に義母の介護を拒否し、披宴で暴れて夫を破滅させた酷な悪妻」だ。……すでに、林の親族会には話を通してある』
ガチャリ、と通話が切り替わる音がした。
広告
正は、者通話を繋いでいたのだ。
スピーカーから、野太い老の声が涛のように流れ込んできた。
『おい! 玲子さんと言ったな! わしは正の叔父の剛(ごうぞう)だ!』
林の老格であり、親族会議で絶な権力を持つという、あの威張り散らしていた叔父だった。
『披宴での無礼、聞いて呆れたわ! 林のに嫁いでおきながら、義理の親の介護を拒否するとは何事か! 正がおのために会社でどれだけをげて当の続きをしたとっておるんだ! 今すぐ名古から目黒へ戻り、正と幸恵に座して詫びを入れろ! さもなくば、親族同でおの会社へ乗り込んで、恥を晒してやるからそうえ!!』
受話器の向こうから、叔父を焚きつけた正の「どうだ、参ったか」と言わんばかりの嘲笑が微かに漏れ聞こえていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
風呂を禁じた義母と、家を出た嫁の反撃
由香は出版社で働きながら、無職になった夫・正斗を支え、家計も家庭も一人で背負っていた。 しかし、義母・松恵が突然同居を始めると状況は一変する。家事や生活費を押し付けられ、深夜帰宅した由香に対して「文句があるなら稼いでから言え」と言い放つ義母。 限界を迎えた由香は、静かに決断する。 「では今後は、すべて夫に払わせますね」 その一言を境に、崩れかけていた家族の関係が動き始める。 さらに、義母が持ち込んだ大量の段ボールの中から発見された怪しい情報商材。そして隠されていた家族の秘密。 由香が離れたことで、夫は初めて自分が逃げ続けていた現実と向き合うことになる。 奪われた時間、壊された信頼、そして明らかになる義母の本当の目的――。 一人で耐え続けた妻が、自分の人生を取り戻すために選んだ静かな反撃が始まる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.2万字5 606 -
完結第12話
寝室のベッドの下に隠されていたもの
寝室のベッドの汚れが気になり、清掃業者を呼んだ高島怜奈。 ところが、六年間動かしていなかったベッドの裏から見つかったのは、枕元へ向けられた小型カメラとマイク、そして謎の装置だった。 さらに奥には、叔母から相続した一億八千万円の財産資料と、怜奈の日常を細かく記した〈生活能力観察記録〉が隠されていた。 頭痛、物忘れ、薬を飲んだ時間、夜中に起きた回数――。 半年間、自分でも「最近おかしい」と感じていた症状まで、なぜかすべて記録されている。 そして最後に残されていたのは、夫の筆跡による一文だった。 〈本人が自己管理不能と認めた段階で、委任状へ署名させる〉 十二年間信じてきた夫の優しさは、本当に愛情だったのか。 ベッドの下から始まった小さな違和感は、やがて怜奈の財産、仕事、そして「自分の記憶」さえ奪おうとする長年の計画へとつながっていく。夫婦|裡の顔2.2万字5 64 -
完結第18話
夫は私を最低な妻として配信していた
夜勤明け、同僚から見せられた動画には、家族へ暴言を吐く“私”が映っていた。 《看護師の妻、夜勤後に家族へ八つ当たり》 再生回数は百二十万回。投稿者は夫だった。 私の言葉は前後を切り取られ、十四歳の娘まで台本を読まされていた。 帰宅して問い詰めると、夫は悪びれずに言った。 「動画を公開されたくなければ、娘の親権を争わないと約束してくれ」 家を調べると、台所や廊下から四台の隠しカメラが見つかった。 さらに夫は、虐げられた父親を演じ、広告や寄付で一年に一千三百万円以上を得ていた。 そして次回予告には、私が娘へ暴力を振るった“決定的証拠”を公開すると書かれていた。 しかし、削除されたメモリーカードを復元すると、映っていたのは泣く娘へ台本を渡す夫の姿だった。 「もう一度。今度は『お母さんに叩かれた』と言って」夫婦|裡の顔2.4万字5 300 -
完結第18話
ただの経理パート
「君の仕事は誰にでもできる。今日で辞めてもらう」 結婚二十八年。夫は社員全員の前で、私を“週三日の経理パート”として解雇した。 代わりに経理責任者となったのは、夫が連れてきた三十四歳の女性顧問。 私は退職届に署名せず、会社の鍵だけを置いて帰った。 ところが翌朝、売上の六割を占める主力取引先三社が、一斉に新規発注を停止した。 夫は私の報復だと騒いだが、通知に書かれていた理由は―― 《安全監査資料の重大な欠落》 新しい顧問が、都合の悪い事故記録を削除していたのだ。 さらに調べると、私は会社案内だけでなく創業者名簿からも消され、二千万円を出資した記録まで書き換えられていた。 役員を外す書類に残された私の署名。 その作成日、私は手術を受け、病院から一歩も出ていなかった。職場逆転|夫婦1.8万字5 366 -
完結第13話
妊娠八か月の私に姑は四十人分のおせちを作らせた
「妊娠は病気じゃないでしょう。座るなら、四十人分のおせちを作り終えてからにして」 妊娠八か月の私は、姑に母子手帳とスマートフォンを取り上げられ、夜明け前から台所に立たされていた。 腹の痛みに耐え切れず床へ崩れた時、店の裏口から両親が入ってきた。 父は椅子のない台所と、姑が握る金庫の鍵を見て静かに尋ねた。 「娘の母子手帳を、なぜあなたが持っているんですか」 この店も住居も、夫の実家の物ではない。経営危機を救うため、私の父の会社が買い取り、相場の三分の一以下で貸していた建物だった。 入院後に調べると、私は知らないうちに店の取締役にされ、毎月二十八万円の報酬を受け取ったことになっていた。 けれど私が渡されていたのは、生活費の五万円だけ。 さらに辞めた板前から届いた花には、一枚のカードが添えられていた。 《金庫の中に、あなた名義の通帳が三冊あります》嫁姑|裡の顔1.1万字5 308 -
完結第12話
娘の就職祝いで夫は私を泥棒と呼んだ
「会社から二千万円を移しました。見つかる前に、帳簿も処分します」 娘の入社祝いの席で、夫は“私の声”が入った録音を再生した。 義母にはワインを浴びせられ、夫からは離婚届を突きつけられた。 「今日署名すれば、警察には届けない」 録音日時は三月十四日、午後八時十二分。 けれどその時、私は病院の手術室で全身麻酔を受けていた。 さらに翌朝、娘の携帯には、私のアカウントから送られた覚えのないメッセージが残っていた。 調べると、消えた二千万円の送金先には義母名義の会社があり、入社したばかりの娘まで五千万円の補助事業の責任者にされていた。 そしてある夜、娘が突然姿を消す。 会社の経理室に残されていたのは、娘の実印が押された一通の自白書だった。 《二千万円の送金は、すべて母の指示で行いました》夫婦|金銭問題1.3万字5 309 -
完結第16話
貧乏嫁と見下されていた私、義姉の結婚式で本当の名前を呼ばれました
義姉の結婚式に出席した千鶴は、義母と義妹から「貧乏な内職嫁は一族の恥」と親族写真から外され、式場を追い出されそうになる。六年間、服の縫製で小遣いを稼ぐだけの女だと見下されてきた千鶴は、反論せず静かに控室を去ろうとした。 だが、純白のドレスをまとった花嫁が彼女を呼び止め、その正体を明かした瞬間、義家族の顔色が一変する。千鶴は世界的ブランドの創業者であり、経営難に陥った義父の縫製工場が命運を託す、一億円超の契約を審査する人物だった。初めて彼女の名前を呼んだ義父に、千鶴が下した判断とは――。兄弟姉妹|嫁姑|修羅場2.4万字5 506 -
完結第13話
妹に夫を譲れと言われた結婚式の翌朝
同窓会で再会した幼馴染の秋と結婚したありさ。だが、昔から姉を敵視する妹・百合は「秋は本当は私と両思いだった」と言い張り、父まで巻き込んで二人の結婚を妨害し始める。 そして結婚式の翌朝、百合は突然「秋の子を妊娠した」と告白。父はありさに離婚して夫を妹へ譲れと迫る。ところが妊娠時期を聞いた瞬間、ありさと秋は揃って大爆笑した。その二か月前、秋には百合の主張を根底から覆す、決定的な医療記録が残っていたのだ――。兄弟姉妹|夫婦|真相2.0万字5 1611 -
完結第11話
両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた
両親を相次いで亡くした美穂に、夫・雅也が突然、一週間の温泉旅行を贈った。初めて見せた思いやりを信じて家を空けた美穂だったが、帰宅すると、思い出の詰まった実家は跡形もなく解体されていた。 雅也は土地を売り、その金で義実家を二世帯住宅にするつもりだった。しかし美穂が遺産を相続したというのは、三人の勝手な思い込みだった。名義変更前の家を無断で壊し、所有者の承諾書まで偽造した疑いが浮上する中、美穂は両親の思い出を奪った夫と義両親への反撃を始める。因果応報|嫁姑|夫婦|金銭問題1.7万字5 970