みかん小説
本棚

"50歳の再婚、披露宴で知った夫の嘘" 第11話

社内査問の尋問と、剥がされた仮面

「な……な、何なんだよ、これは……!」

都エレクトロニクス本社階、特別応接。絨毯のにビジネスバッグを取り落とした正は、をもつれさせながら退りしようとした。

だが、その背のドアは、無言でちふさがった総務部の男性社員名によって、音もなくカチャリと施錠された。退は完全に断たれていた。

「座りなさい、林課代理」

事部・神崎のく、押し殺した声が内に響いた。

普段は温でられる役員待遇の鎮が、鏡の奥の目を鋭くらせている。

正は救いを求めるように母親の幸恵を見つめ、次に剛叔父へ線をらせた。だが、とも能面のような徹さで正を見据え返した。

「部、これは何かの違いです! 妻とは……その、結婚式のにちょっとした論になりまして、になった彼女が親族を巻き込んで嫌がらせを――」

「を閉じなさい!」

神崎部のが、バンとな革張りのテーブルを叩いた。

正の肩がびくりとねがる。

「君が先週、総務部労務課に提した【族当受申請】、ならびに【被扶養者異届】の控えだ。……ここにある妻・玲子氏の退職予定証、および自署捺印欄の跡について、法務部が先ほど跡鑑定ソフトで社内保の君の起案文と照した。

広告

致率はパーセント。君が自ら偽造したものだな」

正の喉仏がし、額からじっとりと脂汗が噴きした。

「ち、違います! 玲子が仕事を辞めると言ったから、僕が続きを代しただけで……!」

「私は退職など度も希望していません」

私はちがり、持参したクリアファイルから枚の類を取りした。

「私の勤務先であるロジスティクスからの公式照会状です。私は現も管理課として通常通り勤務しており、退職の表示は切っておりません。さらに、区役所に提された転届の委任状。こちらも私の印鑑ではなく、百円ショップで買われた文判が押されていました。……これらはな印私文偽造、同使、ならびに公正証原本実記載罪に該当します」

正の顔から、急速に血の気が引いていく。

「れ、玲子……お、夫を科者にする気か!? 夫婦のの問題を、どうして会社にまで持ち込むんだよ!」

「夫婦の問題ではありません」

法務担当役員が、酷な調でを挟んだ。

「が社の就業規則第条、ならびにコンプライアンス規程に違反するな背信為です。配偶者当および親族介護当の正受未遂。当の額は額万円、万円。さらに会社を欺いて健保組から保険証を正に詐取しようとした為は、刑事告発の対象にもなり得る犯罪です」

「待ってください! 返還します! 当なんてまだ円も受け取っていません! 申請を取りげれば、それで済む話じゃないですか!」

見苦しく喚き散らす正。

その浅ましい姿に、これまで沈黙を守っていた幸恵が、ゆっくりとちがった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: