みかん小説
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"父が開けた祝儀袋" 第7話

恭子が聞いた。

正吉は答えなかった。

「お父さんが守りたいのは? それとも、をやってる自分?」

父の顔が険しくなった。

「帰れ」

「分かった」

恭子はちがった。

以なら、父がればそこで終わっていた。

だが帰り際に言った。

「私はの借は払わないよ」

「恭子」

「浩司さんの名義も使わせない。私たちが頼んだ婚礼費だけは負担する。それ以は、お父さんが自分で決めて」

父は追ってこなかった。

その夜、浩司と相談した。

の貯から、当初予定していた披宴費の部を負担する。祝儀のうち、すでに父が返済へ使ったについても、が負担すると決めた範囲までは精算に含める。

それ以はさない。

「俺の料も、恭子の料も、毎まず活費と貯を決めよう」

浩司が言った。

「親へ何かすは?」

「で相談する」

「どっちの親でも?」

「どっちでも」

恭子はしい計簿を買った。

最初の頁に賃。

費。

費。

通勤費。

貯。

そして番へ、

《親への援助 双方相談の》

といた。

たっただった。

けれど恭子には、豪華な箪笥よりずっと切な嫁入り具にえた。

問題がし理され始めた頃、別のところからががった。

志津が親戚の集まりで、「恭子さんの実は祝儀まで借返済に使うようなお宅だから」と話したのだ。それだけなら事実の部ではあるが、「息子夫婦に借を背負わせようとしている」

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とまで付け加えられ、浩司の伯母から本へ確認の話が来た。

「母さん、何でそんなこと言ったんだ」

浩司が実で問い詰めると、志津は悪びれなかった。

「事実でしょう」

「俺たちに払えって頼まれたことはない」

「今はね」

「父さんは俺の名義で借りる話までしてたじゃないか」

蔵が咳払いした。

志津の顔が変わる。

「それは、向こうのお父様が困っていたからでしょう」

「母さん、話が逆だよ」

浩司は机へ枚のを置いた。

恭子が理した婚礼費の覧だった。

「これ、うちが増やした分」

志津は見ようとしなかった。

「そんなもの、今さら」

「親戚の宿泊。料理の格げ。引き物の変更。全部父さんと母さんが希望したんだろ」

「男方の親戚に失礼がないようにしただけよ」

「それなら、どうして全部恭子のが払うの?」

志津は黙った。

浩司は続けた。

「恭子の父さんがの借を祝儀で返そうとしたのはおかしい。俺もそうう。でも、うちが増やしたまで全部向こうのせいにするのもおかしい」

帰宅した浩司は疲れ切っていた。

「母さん、最まで納得してない」

「すぐには無理だよ」

「親って、何で『子どものため』って言うと、自分が決めたことまで子どもの希望だったみたいになるんだろうな」

恭子は苦笑した。

「うちも同じ」

は初めて、双方の親を同じ距から見ることができた。

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ところが翌週、志津が恭子の会社くまで来た。

昼休みに呼びされ、喫茶へ入る。

「恭子さん」

志津は声を抑えていた。

「親戚ので浩司にあんなことを言わせないで」

「私が言わせたわけではありません」

「結婚したら、夫をてるのが妻でしょう」

「浩司さんが自分で話したんです」

「あなたが細かい帳面なんか作るからよ」

恭子はコーヒーへをつけなかった。

「お義母さん。細かくしなかったから、今こうなってるんです」

「族のおを円単位で分けるなんてたいわ」

「じゃあ、お義母さんが増やした宿泊費を私の父に払わせるのは温かいんですか?」

志津のが止まった。

恭子は初めて、姑を言い負かしたという爽より、妙な疲れをじた。

誰も自分が悪いだとはっていない。

父も。

母も。

姑も。

皆、「族のため」「体面のため」「相に恥をかかせないため」と言う。

だからこそ、境界を数字にしなければならなかった。

に入り、正吉のはさらに苦しくなった。

問が掛売りの限をげ、現でなければしい商品を入れないと言い始めた。棚には売れ残った鍋や洗剤が並んでいるのに、よくる商品ほど補充できない。客が来ても「来週入る」と答えるが増えた。

ある晩、正吉が居へ来た。

結婚、父がのへ来るのは初めてだった。

には何も持っていない。

浩司が茶をすと、正吉はい湯呑みを見つめていた。

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