みかん小説
本棚

"長女の命日、夢に現れた娘が告げたこと" 第5話

姉が向かった理由

「お母さんがるとってた」

奈緒は泣きながら言った。

「どうして」

「私が真紀お姉ちゃんを呼んだから」

「る相を違えないで」

私は娘の肩へを置いた。

「あなたを責める理由なんてつもない」

「でも、お姉ちゃんがをたのは私のせいだよ」

「そうね」

あえて否定しなかった。

奈緒が驚いて顔をげる。

「真紀はあなたが呼んだからをた」

奈緒の呼吸が速くなる。

私はをく握った。

「でも、それはあなたが真紀をなせたというじゃない」

「同じだよ!」

「違う」

「私が話しなければ――」

「真紀はどういうだった?」

奈緒は言葉を止めた。

「あなたが子どもの頃、学で怪を隠した、真紀はどうした?」

「……った」

「どうして」

「でするなって」

「ひながまれたは?」

「毎週みたいに来てくれた」

「あなたが怖いって言ったら?」

奈緒の唇が震えた。

「来るとう」

「だから来たのよ」

私は古いスマートフォンを見た。

「真紀は“奈緒のせいでかなきゃいけない”なんていてない。“く”と自分で決めたの」

奈緒は泣いた。

「でも事故は……」

「事故は事故よ」

。

スリップ。

対向線から侵入した。

警察はそう説した。

真紀は交通事故に遭った。

奈緒のSOSがを滑らせたわけではない。

「健太さんは、つの来事をつにしたのよ」

私は言った。

「あなたが助けを求めたこと。そして真紀が事故に遭ったこと。

広告

本当は別のことなのに、“助けを求めたから真紀がんだ”って」

奈緒は両で顔を覆った。

「ずっと、そうってた」

「そうわされたの」

その言葉に、奈緒のが止まった。

「最初は、俺は責めないって言ってた」

「うん」

「その、しでも逆らうと?」

「……おのせいだって」

「それは慰めじゃない。支配するために使ったのよ」

奈緒は声をげて泣いた。

私は背を抱いた。

の事故をなかったことにはできない。

真紀は戻らない。

奈緒が助けを求めたから姉がをたという事実も変わらない。

だからこそ、私はそこを曖昧な慰めで包みたくなかった。

真紀は自分で選んだ。

怖がる妹を放っておけなかったから。

助けにった。

その途で事故に遭った。

「奈緒」

「……うん」

「真紀だったら、あなたがこんなふうに自分を責めていたら、何て言うとう?」

奈緒は涙を拭わないまま、し笑った。

「すごくる」

「私もそうう」

「なんででしたのって」

「そうね」

奈緒はまた泣いた。

けれど今度の涙は、先ほどとはし違っていた。

そこには恐怖だけではなく、姉をいしたしみが混じっているように見えた。

そのの夜。

私は奈緒とつだけ約束した。

「これから何かあったら、“助けて”を回だけ言って」

「回?」

「回でいい。私がちゃんと聞くから」

奈緒はいこちらを見た。

広告

そしてさく頷いた。

「分かった」

翌。

古いスマートフォンのデータを消さないよう保管し、健太から届いたメッセージも保した。

診療記録。

警察へ連絡した記録。

産売却の経緯。

健太と千恵子さんからの連絡。

それらも系列に理した。

奈緒自にも、覚えている範囲で過の来事をいてもらうことにした。

最初は数しかけなかった。

《真紀の葬儀、健太にするなと言われた》

《実へ帰ろうとすると、また事故が起きると言われた》

《母に話しようとすると止められた》

《ひなのでも鳴られた》

で全部かせることはしなかった。

いすたびにしずつ。

それで分だった。

弁護士へ資料を見せると、表が変わった。

「なくとも、今は旦さんと直接やり取りしない方がいいでしょう」

奈緒も頷いた。

以なら、「でも健太がかわいそう」と先に言っただろう。

このは違った。

「私も、直接話したくありません」

それはさな歩だった。

けれど私は、その言に分のさをじた。

---

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: