みかん小説
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"「もう連絡しないで」と言った娘から48件の着信" 第1話

「これからは、輔君の族だけを事にしたいの。だからお母さん、もう連絡しないで」

話の向こうから聞こえた娘の声は、妙にかった。冗談でも、勢いでにした言葉でもないことは、その言だけで分かった。私は卓の子に座ったまま、で握っていたスマートフォンをに当て、返事を急がなかった。

「結婚したら、向こうの親戚付きいも増えるし、お義母さんにもちゃんとした嫁だとってもらいたいの。お母さんのことまで今までみたいに気にしていたら、私、どっちつかずになるから」

娘の美咲は28歳になっていた。2かには、システム会社に勤める輔さんと結婚式を挙げる予定で、つい先週まで私の部で招待客の名簿を広げ、「この叔父さんの名、旧字体だったよね」と笑っていた。その娘が今、22ほとんど途切れたことのない母娘の連絡を、自分ので終わらせようとしている。

胸の奥で、古い傷がきしんだ。

美咲が6歳だった22、夫の直は私の親友だった織と関係を持ち、あるの夜、私と娘を残してをた。私が泣きながら「せめて美咲のことを考えて」と追いすがった、直は度だけ振り返り、「もう決めたんだ」と言った。

あのと同じだった。している相が、私ではない誰かを選び、「ここから先にあなたはいらない」

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と線を引く。喉の奥まで「どうして」という言葉ががってきたが、私はそれをみ込んだ。

「そう」

自分でも驚くほど静かな声がた。

美咲が息を止めた気配がした。

「ありがとう」

「……え?」

「本当の気持ちを言ってくれて、ありがとう。分かったわ」

私はそれ以何も尋ねず、話を切った。

卓には、結婚式から渡された分いファイルがいたままになっていた。婦側親族の欠、方から来る叔母夫婦の宿泊、の悪い伯父の送迎、アレルギーのある子どもの料理変更、マイクロバスの乗所まで、ピンクの付箋に私の字がびっしりと並んでいる。

美咲に頼まれ、私は半く婦側の連絡担当をしていた。式への内40万円も、私が「お祝いの部だから」と先にて替えていた。さらに親族の宿泊費と送迎費についても、最終には私がまとめて精算する予定になっていた。

けれど、もう連絡しないでと言われたが、親族代表としてその仕事を続けるのはおかしい。

私はノートパソコンをき、式の担当プランナーである野寺さん宛てにメールをいた。

《夜分に申し訳ありません。婦の母、田恵子です。娘本より、今は連絡を控えてほしいとのを伝えられました。そのため、私を婦側親族の連絡担当からしていただき、今の確認事項は郎婦本へ直接お願いいたします》

そこで度、指を止めた。

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腹をてて内を返せと求するつもりはなかった。すでに贈った40万円はそのままでいい。ただ、まだ契約していない宿泊や送迎まで、娘と連絡を絶った私が引き受け続ける理由はない。

《私名義で仮押さえしている宿泊・送迎については、本たちへ契約名義を移してください。必な報は、にファイルを本へ渡します》

送信ボタンを押すと、い子音が静かな部に響いた。

私は53歳だった。元の医療法で総務事務として働き、夫がってから22、娘を育てながら度も仕事を辞めなかった。娘だけがのすべてにならないよう、数から陶芸教にも通い、友と旅にもくようになっていた。

それでものどこかでは、美咲だけは絶対に私を捨てないとっていたのかもしれない。

だから「ありがとう」と言った。

もう娘の顔を読みながら、必とされ続ける母親を演じなくていい。その事実には、痛みと同に、ほんのわずかな解放があった。

午11を過ぎた頃、野寺さんから返信が届いた。

《承いたしました。ただ、婦側のご族について点、確認したい事項がございます。の最終打ちわせで、ご本に確認させていただきます》

ご族について点。

その言葉が、なぜか引っかかった。

だが私は返信しなかった。

翌朝、その「点」が、私のらないところで準備されていた別の話につながっているとは、まだらなかった。

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