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"赤提灯から始まる逆転" 第10話

……システムに潜む致命なバグは、完全に削除(デリート)されました。さようなら」

「うわああああっ! せ、せぇぇぇっ!」

警備員と刑事に両脇を引きずられ、惨叫をげながら廊の彼方へと消えていく豪田のろ姿を、役員たちは誰として同の目を向けることなく見送った。

豪田が連されたの会議には、張り詰めた静寂が戻っていた。 役員たちは互いに顔を見わせ、自分たちがどれほど愚かな茶番に踊らされかけていたのかを悟り、恥じ入るように沈黙していた。

条会が央の演壇にち、役員たちを見渡した。

「諸君。これが、数字と虚飾に踊らされた結果じゃ。々が守るべきは何だ? 先の世欲か? 保のための派閥争いか? 違うはずじゃ。現で愚直に汗を流し、真に社会の役につ技術をみす……彼らこそが、この都グループの背骨ではないのか」

役員たちが斉にくを垂れた。条会の言葉は、組織の病根を鋭く抉りしていた。 そして、条会は柔らかな差しを私に向けた。

「鈴鹿君。へなさい」

促されるまま、私は壇の央へとみた。

「あんたが作った『アイギス』……その真の姿を、今度こそ見せてもらおうじゃないか」

「……はい」

私はく息を吸い込み、キーボードに指を置いた。 私自の秘密鍵を入力し、体認証センサーに親指を押し当てる。

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カチリ、とさな子音が響いた。

スクリーンののエラー画面が、眩いばかりの純のへと切り替わった。 滝のように流れる完璧なアルゴリズム。無駄のない、美しく均の取れた数百万のソースコードが展され、画面央に青く輝く巨な盾のエンブレムが浮かびがった。

『SYSTEM STATUS: ONLINE(システム稼働始)』 『ALL DEFENSE NODES: OPTIMAL(全防ノード正常展)』

スクリーンには、都グループが受けていた国内からの数万件に及ぶ正アクセスが、リアルタイムで次々と検され、秒の遅延もなく無力化されていく様子がグラフィカルに化された。

「……信じられん」

最列にいた技術担当専務がちがり、震えるで鏡をした。

「これほど膨なトランザクションを処理しながら、サーバーの負荷がまったくがっていない……! 侵入者の経を逆探し、発信元のIPだけでなく、攻撃プログラムの構造そのものを瞬に無害化している……! これは、世界基準を先取りしているぞ……!」

会議のあちこちから、先ほどの虚飾の拍とは全く異なる、魂の底から湧きがるような嘆と称賛の拍が巻き起こった。 の平社員が、誰にも頼らず、孤独な夜の暗ので、ただ「々を守りたい」という純粋な信だけで紡ぎげた奇跡の結晶。それが今、正当なを浴びて世界へと解き放たれたのだ。

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拍の渦の、条会が私の肩を力く抱き寄せた。

「見事じゃ、鈴鹿君。あんたの誇りは、今完全に証された」

条会は役員たちに向き直り、鳴のような声で宣言した。

「これより、子会社都セキュリティソリューションズの全役員を刷する! そして——本付で、この鈴鹿君を、同社の代表取締役社に任命する!」

「え……!?」

私は驚愕のあまり、声首をねげた。

「か、会……! 私は介のプログラマーです! 経営の経験などありません……!」

「経験などからついてくるわい」条会は豪に笑った。「ので見らぬ爺に飯を奢るけを持ち、どれほど理尽に踏み躙られても己の技術と倫理を売り渡さなかった。あんたのような男がトップにたんで、誰が組織を導くというのじゃ」

会議に、割れんばかりの拍と歓声が再び轟いた。 役員たちが次々とちがり、の若き技術者に対し、からの敬を込めて々とをげていた。

の夜、を啜るようにしてったあの会社へ、私は最の形で、自らので戻ることになったのだ。

事件から半が過ぎた、の夜。

京駅を望できる丸の内の層ビル。都セキュリティソリューションズのたな本社オフィスは、温かな活気に満ちていた。 かつての湿なの引っ張りいや、司の顔を窺うだけの恐怖政治は完全に掃されていた。

フロアの片隅では、若社員たちが笑い声を交えながら、ホワイトボードをににディスカッションをねている。

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