みかん小説
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"兄夫婦を亡くした日、5歳の双子を家族にした" 第5話

蓮の母、文さんだった。

両にきな買い物袋を提げている。

「こんばんは」

「……文さん」

「蓮から聞いたわ」

私は反射にをげた。

「申し訳ありません」

「何が?」

「婚約のことです」

文さんは眉をげた。

「指輪を返したそうね」

「はい」

「蓮は納得したの?」

私は答えられなかった。

「してないのね」

「……はい」

文さんはきくため息をついた。

私は叱られるとった。

当然だった。

息子との結婚を方にやめた女のへ、母親が夜に訪ねてきたのだ。

ところが文さんは、私の横を見た。

リビングから向と蒼依がこちらを覗いている。

「夕飯、まだでしょう」

「え?」

「子供2抱えて、あなた今から何作るつもりだったの」

「うどんを……」

「昨も麺だったって蓮から聞いたわよ」

文さんは靴を脱いだ。

「とりあえずべさせるわ。あなたを叱るのはそのあと」

台所へ入った文さんが袋からしたのは、子供用にさく握ったおにぎり、野菜のスープ、煮込みハンバーグだった。

さらにもうつの袋から、しい歯ブラシとパジャマがてきた。

「これ……」

「蓮が買ったの」

私はけなくなった。

「いつ?」

「今。あなたに振られたあと」

その言で、胸の奥に何かが刺さった。

文さんは最に、い学ノートをテーブルへ置いた。

「これも蓮から」

ページをく。

私の当直予定、保育園の延、病院から保育園までの移。

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文さんが伝える曜。病児保育。自治体のファミリーサポート。緊急のタクシー会社。

今の付で、びっしりき込まれていた。

私はノートを閉じた。

「だから困るんです」

文さんが私を見た。

「何が?」

「こんなことされたら……断れなくなるから」

「断れなくなる?」

「蓮さんは優しいから」

文さんの表が変わった。

「美緒さん」

「はい」

「優しいには、自分のを選ぶ権利がないの?」

私は言葉を失った。

その瞬、バッグのに入れたままの青いファイルがに浮かんだ。

《で決めさせないこと》《必ず桜井蓮さんにも相談する》

私は兄夫婦の願いを守るために子供たちを引き取ろうとしていた。

その方で、兄夫婦が唯はっきり残した「で決めるな」という言葉だけを、私は無していた。

文さんは子供たちに夕をべさせてから、私と向かいった。

向は最初こそ警戒していたが、ハンバーグをべると黙々と箸をかした。蒼依も温かいスープをみ、ようやくし表を緩めた。

「おいしい」

蒼依が言うと、文さんは「そう」とだけ答えた。

必以に距を縮めようとしない。

元幼稚園教諭だった文さんらしかった。

「私が2を育てると言いに来たわけじゃないからね」

子供たちがリビングへ戻ったあと、文さんは言った。

「はい」

「そこは勘違いしないで。

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育てる責任を引き受けようとしているのはあなた。蓮がそこへ加わるかどうかは蓮が決める。私はできる範囲で伝う。それだけ」

「でも、それでも皆さんの活が変わります」

「変わるでしょうね」

あっさり言われ、私は顔をげた。

「変よ。5歳が2でしょう。しかも両親を突然くしたばかり。普通の育児より簡単なはずがない」

慰めてくれるとっていた私は、逆に言葉に詰まった。

「だからこそ、で全部できるとうほうが無責任なの」

その言葉は痛かった。

文さんはしばらく黙ってから、自分の指を見つめた。

「私ね、姉がいたの」

初めて聞く話だった。

「私が29歳のときにくなった。病気でね。6歳の息子を残して」

私は息をんだ。

「引き取りたかった。でも当、蓮もまださかったし、夫が反対したの。うちに子供がいるのに、もう1は無理だって」

「それで……」

「別の親戚が育てたわ。悪いじゃなかった。学までしてもらって、今は庭もある」

それなら、と言いかけた私を文さんは止めた。

「でも私とは、ほとんどになった」

文さんの声がわずかに揺れた。

「仕方なかったとう。夫だけが悪かったともってない。私も度反対されただけで黙ったから。でも何経っても考えるのよ。あのとき、もう度だけ話しっていたらって」

私は何も言えなかった。

「だから今来たの」

文さんが私を見た。

「難しいからって、が先に族を減らすところを、もう度黙って見たくなかった」

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