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"兄夫婦を亡くした日、5歳の双子を家族にした" 第10話

その夜、しい炊飯器で初めてご飯を炊いた。

蓋をけるとい湯気ががった。

きな茶碗。

私の茶碗。

向と蒼依のさな茶碗。

4つ並べた。

事の途、蒼依が空になった茶碗を差しした。

「美緒ちゃん、おかわり」

私は瞬けなかった。

数か、この子はの事がなくなることを恐れ、パンをポケットへ隠していた。

今は空の茶碗を平気で差ししている。

もご飯があると信じている。

「いっぱいべな」

蓮が炊飯器をけた。

蒼依の茶碗にいご飯をよそう。

その景を見て、私はようやく分かった。

族は、誰か1が犠牲になって守るものではない。

毎しずつ、を補充していくものなのだ。

結婚して数か、向と蒼依の学入学準備が始まった。

私は提類をいていた。

保護者欄に《桜井美緒》と記入する。

それを見ていた向が聞いた。

「美緒ちゃん、なんで桜井なの?」

「蓮さんと結婚したからだよ」

「僕は野だよ」

「うん」

「蒼依も野」

「そうだね」

向の顔が曇った。

「じゃあ僕たち、美緒ちゃんと違う族なの?」

胸を突かれた。

未成見として活を支えることと、同じ名字になることは別の話だ。私たちは制度のことも含め、子供たちの将来を考えて今の形を選んでいた。

けれど5歳の子にとって、そんな説はがない。

「名が違っても族だよ」

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「でも健ちゃんの、みんな同じだよ」

私は返事に迷った。

すると蒼依も聞いた。

「蒼依も桜井にしたほうがいい?」

その夜、蓮と話した。

「名字を変えることも考えたほうがいいのかな」

蓮は首を振った。

「それを決める理由が『周りと違って見えるから』だけなら、急がなくていいとう」

「でも傷つくかもしれない」

「逆に、野って名を残したいとうが来るかもしれない」

私は黙った。

野は、兄の名字だ。

織さんが結婚して選んだ名字であり、2が子供たちへ渡したものでもある。

翌、私は向と蒼依を座らせた。

「2が野なのはね、パパとママからもらった切な名だからだよ」

向が顔をげた。

「美緒ちゃんもは野?」

「そう」

「じゃあ仲だった?」

「今も仲だよ」

「でも桜井」

「名字は変わったけど、美緒ちゃんが向のおばちゃんだったことは変わらない」

蒼依が聞いた。

「族って、名で決まらないの?」

「決まらないよ」

「じゃあ何で決まるの?」

難しい質問だった。

私は考えた。

「困ったときに、緒に困れるかな」

向が笑った。

「困るの?」

「緒にね」

それで分だったのかは分からない。

けれど向は翌、保育園で友達に聞かれたとき、こう答えたらしい。

「うちは名字2個あるんだよ」

担任から聞いた私は、し笑った。

違いを隠すのではなく、説できるものにする。

それも、この子たちがこれからの世界できるための力になるのかもしれなかった。

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学入学がづくにつれ、別の問題がてきた。

保育園のように遅いまで預けることは難しくなる。

学童保育を利用しても、私の勤務とはわないがある。

私は再び焦り始めた。

その焦りを埋めるように、病院では仕事を抱え込んだ。

く帰るがある分、昼休みにカルテ理を引き受け、の医師の雑務まで伝った。

ある、同僚の佐藤先が私の机に類を置いた。

「桜井先」

結婚、病院ではそう呼ばれている。

「これ、私の仕事なんだけど」

「あったから」

「ないでしょう」

「でもく帰らせてもらってるし」

佐藤先がため息をついた。

「また借返してるの?」

私はを止めた。

「え?」

「子育てでく帰ることを、毎誰かに借り作ってるみたいな顔してる」

何も言えなかった。

「あなたがそこまで無理して仕事を拾うと、こっちも気を使うの。普通に頼って」

胸の奥に、兄のが蘇った。

《俺たちはおに借を作ったつもりはない》

私は族への借を放したつもりだった。

しかし今度は職に借を作っていた。

助けてもらったら、それ以に返さなければならない。

その癖は何も変わっていなかった。

「すみません」

「ほら」

佐藤先が笑った。

「また謝った」

私も笑った。

「……ありがとうございます」

そのの夕方、私は医局へ正式に相談した。

「来度から、勤務形態を見直したいです」

医師としてのキャリアを考えれば、がないわけではない。

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