"母の葬儀から戻ると、私の寝台はもうなかった" 第9話
と言い、たちのを1枚ずつ確認した。
はその指摘を受け入れた。
問題は番号を借りたことだけではない。
本が働いていないを勤務として計し、そのが本へ支払われていないこと。しい女が実際に働いているのに正式な賃細を受け取っていないこと。そして退職を拒んだを、番号の矛盾を消すために自己都退職へしようとしたことだった。
「会社はこう言うだろうな」
岩瀬はをそろえた。「のために仮番号を使った。与は最終に正しく精算する予定だった。さんの退職は無断欠勤という別件だ、と」
「でも私は休暇でした」
「だから、その証拠もる」
は故郷へ帰るに提した休暇願の控えを持っていなかった。
そこでいした。
報が届いたの夕方、森の許を受けたあと、寮母の滝川へ帰省先と帰寮予定を届けている。
寮母には、その記録が残っているはずだった。
をのへ止めた滝川は、の敵なのか。それとも、言われた通り寝台をけ渡しただけなのか。
次に必な1枚は、あのの内側にあった。
は滝川を責めるつもりで会いにかなかった。正で呼びしてもらい、「私が故郷へ帰ったの帰省届を確認したい」とだけ頼んだ。滝川は骨に困った顔をし、「もう済んだ話でしょう」
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と何度も断った。
「私がいつ戻る予定だったか、寮母さんはっていましたよね」
が尋ねると、滝川は目をそらした。
「森主任から、私が辞めたと聞いたのはいつですか」
「そんなこと、今さら聞いてどうするの」
「108ですか」
滝川の表がいた。
はそれ以問い詰めず、「私は寮母さんを困らせたいんじゃありません」と言った。「ただ、母の葬儀へった翌に私の寝台が別の子へ渡った理由をりたいんです」
滝川は何も答えず寮へ戻った。
その夜、文代のの戸がさく叩かれた。
には滝川がっていた。
「これ、持っていくことはできないから、ここで見なさい」
滝川が呂敷からしたのは、女子寮の《帰省・泊簿》だった。の欄には107から10まで《母・帰省》とあり、帰寮予定は11朝とかれている。森の認印も押されていた。
がへ着いたのは12の朝だった。
確かに1遅れている。
しかし108の点では、無断欠勤でも退職者でもなかった。
「どうして8に寝台を渡したんですか」
滝川はしばらく答えなかった。
「主任から言われたんだよ。317は戻らないから空けろって」
「私は10にまだ岐阜にいたのに?」
「私だって変だとった。でもしい子が9も来て、寝台がりなかった。主任は『本はの事で退職することになった』って」
の胸ので、最まで残っていた疑いが形になった。
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森は列が遅れるから、が辞めると寮へ説していた。
「この帳面、見せてもらったことを話してもいいですか」
「私の名はさないでおくれ」
滝川はく言った。「私にも田舎に娘がいる。ここを辞めたらくところがない」
は約束した。帳面そのものを持ちさず、付と記載内容だけをき写し、文代と岩瀬に確認してもらった。
滝川が帰る直、もうつだけ教えてくれた。
「しい子の寝台をく空けろって言われるの、今回が初めてじゃないよ」
にも、急に実へ帰った女の寝台を翌には片づけさせられたことがあった。その女は数に戻ってきたが、やはり自己都退職の判を押して故郷へ帰ったという。
は名を聞いた。
その女は、14のにはいなかった。
つまり、自分たちが見つけた数字は、が続けてきたことの部にすぎない能性があった。
それでもは調査を広げるのをやめた。
全部を暴くまで待てば、また帳面が消える。
次の料は3だった。
そのに、たちはへくことにした。
料の午、のにはいつもと違う空気があった。番を終えた女たちは与袋を胸元へ入れ、郵便局へ送に向かう者、鹸や菓子を買う者、寮へ急ぐ者に分かれていく。その流れの側に、たち14がっていた。
芳は福井から朝番の列で来た。
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