"母の葬儀から戻ると、私の寝台はもうなかった" 第12話
が求めたのは、を潰すことではなかった。
自分たちが働いたを、自分たちの名へ戻すことだった。
そのためには、14が持ってきたを、のしい決まりに変えなければならなかった。
調査が続く、には収入がなかった。
会社は《自己都退職》の処理をいったん保留したものの、すぐに元の班へ戻すこともしなかった。「関係者として調査だから」という説だったが、寮の寝台は千代が使っている。がへ戻れば、今度は千代の居所がなくなる。
文代のにいつまでも世話になることもできなかった。
は堂の皿洗いや所の仕の伝いをし、銭を稼いだ。で交代をしていたころより収入はなく、正男へ送るはずだったも減った。
そんな、故郷から伯母の志乃が訪ねてきた。
「正男に全部話したよ」
は顔をげた。「のことも?」
「うん。あの子、ってた」
の胸が縮んだ。
ところが志乃は笑った。
「自分のせいで姉ちゃんが判を押すとわれたことにってたんだよ」
志乃は正男から預かったを渡した。
《姉ちゃんへ。へけなくても働ける。母ちゃんも、姉ちゃんが嘘のに判を押してまで俺を学へかせろとは言わないとう。俺の名をされても、俺のためだとわないでください》
は最まで読むのにがかかった。
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自分は弟を守るつもりでいた。
だがらないうちに、弟のを理由に自分の選択まで決めようとしていたのかもしれない。
「正男は、定制でも何でも探すってさ」
志乃は言った。「あんたの肩に、あの全部を乗せるな」
は母の葬儀以来、初めて声をして泣いた。
母がんだから、自分が父親と母親の両方にならなければならないとっていた。だから仕事を失うことは、弟妹を見捨てることと同じにじていた。
けれど正男も、もう自分で考えていた。
がすべてを背負わなければ族が壊れるわけではなかった。
そのの夕方、はへき、会社から提示されていた解決案を断った。
会社はへ未払い分と定の見を払い、《自己都退職》ではなく《退職》として処理する代わりに、これ以個の与記録を部へ持ちさないことを求めていた。
以のなら、弟の学費を考えて受け取ったかもしれない。
「私の分だけ直しても、芳さんの番号も、千代ちゃんの最初の1かも残ります」
は言った。
「全部の確認が終わるまでは、私だけ先に終わりにしません」
森から何度も「族をわせるために働いているんだろう」と言われた。
確かにそうだった。
けれど族を守ることと、何をされても黙ることは、同じではなかった。
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会社と組の協議で、過1分の勤務記録と与記録を照することが決まった。ただし会社側だけで確認すれば、また「問題なし」と言われる恐れがある。そこで女側からも代表者がち会うことになり、、久子、芳の3が選ばれた。
は帳簿を読む専ではなかった。
最初の数は数字を追うだけでが痛くなった。勤務番号、基本、夜勤加算、残業、寮費、貸与品、預り。によってき方も違い、鉛で訂正された箇所もい。
それでも、自分たちの暮らしに関係する数字なら覚えられた。
317が108に8働いた。
その8を実際に働いたのは千代。
317名義の賃は《支払済》。
は受け取っていない。
千代にも渡されていない。
ならば次に見るべきは、そのの現支払簿だった。
つずつ追うと、317を含む7分の現が、まとめて《第班預り》として森へ渡されていたことが分かった。
森はそのについて、「入りの活用品代や寮費へ充てた」と説した。
ところが寮側の記録を調べると、同じ寮費が翌の与からもう度引かれている女がいた。
に取られていた。
作業用品についても同じだった。会社から無償貸与されていた子や掛けまで、《規用品》として控除されている例があった。
ただし、すべてが正ではなかった。
実際に布団を汚して弁償した者もいたし、途退職で借りを精算した者もいた。
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