みかん小説
本棚

"妻のスマホに残っていた半年先の「2名様」" 第5話

もうつの条件

「僕……ですか」

自分でもの抜けた聞き返し方だとった。

「はい」

の佐々は穏やかに答えた。

「奥様は、ご主様とおでお事をされる予定でご予約されています」

私は目ののテーブルへ線を落とした。

そこには美のスマートフォンがある。

たった数分まで、そのに自分のらない誰かのを探していた。

恥ずかしさと堵としさが、同に押し寄せた。

「どうして、僕には何も言わなかったんでしょう」

「それについては、私から申しげない方がよろしいかといます」

「妻が何か言っていたんですか」

「はい。ただ、それも含めて、当お渡しするように頼まれております」

私は黙った。

は続けた。

「予約をキャンセルされるは、もちろん承ります。奥様からも、ご主様が来られなければ処分してくださいと言われています」

「処分?」

「封筒を、です」

胸の奥が痛んだ。

美は、私が来ない能性まで考えていた。

自分がいなければ夫は予約そのものをらないかもしれない。それでも偶然ってへ来たなら、渡してほしい。来なければ、追いかけてまで渡す必はない。

そういう準備だった。

「し考えてもいいですか」

「もちろんです」

話を切った、私はい台所に座っていた。

疑っていた相が自分だったことに、笑えばいいのか泣けばいいのか分からなかった。

広告

やがて織へ話した。

今度は全部話した。

カレンダー。

2名の予約。

へ話したこと。

そして、その2が美と私だったこと。

織はしばらく黙っていた。

「お姉ちゃんらしいね」

「お、ってたのか」

「らないよ。本当に」

「何か聞いてなかったか。半の話とか」

「半……」

織の声が止まった。

「何だ」

「度だけ、変なこと聞かれた」

「何を」

「お姉ちゃんが最にへ帰ってた。『直さん、でできるとう?』って」

私は眉をひそめた。

「俺が?」

「うん。私が『できるでしょ、なんだから』って言ったら、お姉ちゃん笑ってた」

「何でそんなことを」

「そのは分からなかった。お姉ちゃんが退院した、また入院するなんてってなかったし」

私は答えられなかった。

結婚してから、私は1でレストランへ入ることがほとんどなかった。

昼なら牛丼や蕎麦へける。

しかし休の夜、きちんと予約をして、1で料理をべる。

そんなことは度もしたことがない。

美がくなってからも同じだった。

夕はスーパーの弁当か惣菜。

たまに簡単な麺を茹でる。

するは会社のと緒だった。

織との話を切った、私は予約メールをもう度見た。

来週曜、19。

まだキャンセルしていない。

翌、私は佐々へ話した。

「予約、そのままにしてください」

「かしこまりました」

「1名でお願いします」

「承いたしました」

その、が言った。

「森川様。点だけ、事にお伝えしておきたいことがあります」

「何でしょう」

「奥様からお預かりした封筒ですが、お席に着かれても、すぐにはお渡しできません」

私は戸惑った。

「どうしてですか」

「奥様から、もうつ条件を伺っております」

「条件?」

「はい」

佐々は静かに答えた。

「最初のお料理を、ご主がで召しがってから渡してください、と」

私はわず笑いそうになった。

そこまで決めていたのか。

しかしは、さらに続けた。

「そして奥様は、そのおをお渡しするのために、席についてもつだけお願いを残されました」

曜の夜。

美が半先に予約していた席で、私はようやくそのをることになる。

---

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: