"午前2時17分、亡き妻が病室を訪れる" 第3話
217分という刻
。
久世美佐子がくなった刻。
午217分。
由は偶然と言おうとして、やめた。
偶然かどうか判断できるではない。
ただ、昨夜女性が現れた刻と完全に致している。
「美佐子さんは、夜にくなったんですね」
「そうです」
「久世さんは、その……」
修は線を井へ向けた。
「病にはいませんでした」
由は聞き返さなかった。
だが修は自分から続けた。
「妻がんだ、私はそばにいなかった」
声にはほとんどなかった。
むしろ何度も自分に言い聞かせてきた文章のようだった。
「そのことを、娘は今も許していません」
「娘さんが?」
修は頷いた。
娘。
織。
現42歳。
を最に、ほとんど会っていない。
由は入院の連絡先をいした。
緊急連絡先の欄は空だった。
医師や護師が族への連絡を勧めても、修は「必ありません」と拒んでいた。
「連絡しなくていいんですか」
由が改めて尋ねる。
修はすぐには答えなかった。
「もうです」
「だからこそ、ということもあります」
「護師さんは簡単に言う」
「簡単ではありません」
しい調になった。
由自が驚いた。
修も由を見る。
「族に会うかどうかは久世さんが決めることです。でも、会いたいのに“今さら”という理由だけでやめているなら、それは同じことではないといます」
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修は黙った。
由は謝ろうとした。
だが修の方が先にをいた。
「妻なら、同じことを言ったかもしれません」
その夜はきな変化なく過ぎた。
217分。
由は無識に計を見た。
エレベーターはかなかった。
誰も来なかった。
朝。
修は眠っていた。
由はしした。
翌は休みだった。
それでも夕方、病院から本の話が入った。
「久世さんの状態がし落ちています」
勤務ではない由に連絡する必は本来ない。
ただ、同僚が「昨、族の話をしていたようだから」と気を回してらせてくれた。
由は迷った。
病院へく理由はない。
患者と護師。
その線を越えるべきではない。
結局、かなかった。
次の勤務。
修は以よりらかにっていた。
会話をするだけでも息ががる。
それでも識ははっきりしていた。
「倉田さん」
「はい」
「お願いがあります」
修はベッド脇の引きしから、さな古い帳をした。
枚のが挟まっている。
話番号。
「娘です」
由はを見た。
「連絡してほしいんですか」
「私から話すると、切られるでしょう」
「病院からならると?」
「分かりません」
「久世さんが連絡を希望していると伝えていいんですね」
修は目を閉じた。
「はい」
そして、かすかな声で言った。
「妻が来たのは、迎えに来たからじゃない気がする」
「では?」
修は窓のを見た。
「まだ、やることが残っているからでしょう」
そのの午。
医師と相談し、本の確な希望を確認したうえで、病院から織へ連絡が入った。
最初の話にはなかった。
度目も。
度目。
留守番話へい伝言を残した。
《久世修さんが入院されています。ご本が娘さんとの連絡を希望しています》
返事が来たのは、そのの夜だった。
話で織は最初に言った。
「父は、ぬんですか」
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