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"午前2時17分、亡き妻が病室を訪れる" 第6話

黒いコートの理由

「奥さまは、いつもあのコートを着ていたんですか」

由が尋ねたのは、織がし眠っただった。

修は写真をにしていた。

「黒いコート?」

「最初の夜に見た方が着ていたものです」

修は写真を見る。

辺で、美佐子が黒いコートを着ている。

「になるとよく着ていました」

「くなったのはですか?」

「でした」

今は。

由はその偶然にも気づいた。

だが、の同というだけなら珍しくない。

「命は?」

修は付を答えた。

由は計を見る。

今だった。

の今。

午217分。

美佐子はくなった。

つまり、由が女性を見た夜は命の夜だったことになる。

「どうしました?」

「いえ」

由は言わなかった。

修はく笑った。

「命でしょう」

「はい」

「私も分かっています」

「昨夜、奥さまが来たことと関係があるといますか」

修は考えた。

「分かりません」

「怖くないですか」

「んだ妻が来たとして?」

「はい」

修は写真の美佐子を指でなぞった。

「なら怖かったかもしれない」

「今は?」

「会いたいですよ」

その言い方があまりに普通だった。

連れ添った妻。

喧嘩もした。

最の夜はそばにいなかった。

そして。

「でも」

修は続けた。

「もし本当に美佐子だったなら、昨は病に入ってこなかったんでしょう」

「はい」

「それが妻らしい」

「どういうです?」

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「の話が終わるまで待つでした」

由は返事をしなかった。

「だから、まだ迎えじゃない」

修は娘が眠る子を見る。

「昨は、“く話せ”と言いに来たのかもしれない」

科学な説ではない。

けれど由は否定しなかった。

そのの昼。

織は母の写真を見て、初めて由へ尋ねた。

「本当に見たんですか」

「はい」

「このを?」

「そう見えました」

「写真を見るに?」

「はい」

織はく写真を見つめた。

「黒いコートだったんですよね」

「そうです」

「母、あれが好きでした」

織はさく笑った。

「父は嫌いだったけど」

修が反応する。

「そうだったからな」

「お母さん、ずっと着てた」

「捨てろって何回言っても」

「最まで捨てなかった」

父娘の会話だった。

なら当たりだったであろう、ごくい会話。

由はその瞬。

最初の夜に女性を見たことよりも、その面の方に胸が詰まった。

美佐子が本当に来たのか。

由には証できない。

しかし、彼女をきっかけに止まっていた会話がいたことだけは事実だった。

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