"昭和24年、帰還した夫の家に別の夫がいた" 第7話
のの喧嘩
がけるし。
文子から連絡が来た。
「浩を町へ戻したい」
初枝のにも事があった。
吉の母親が寝込むようになり、初枝も畑と介護で余裕を失っている。浩を嫌っているわけではない。それでもいつまでも預かることは難しい。
清太は迷わなかった。
「俺が引き取る」
文子は首を振った。
「今の部で?」
「広いところを探す」
「仕事は?」
「続いてる」
「夜まで働くもあるでしょう」
「何とかする」
「誰がご飯を作るの」
「俺だ」
「をしたら?」
「休む」
「そんな簡単に仕事を休める?」
清太は言葉に詰まった。
そこへ政男が静かに入った。
「うちで暮らすのが番現実だといます」
清太が睨む。
「おのところで?」
「学もい。文子さんもいる」
「おを父親にしろって?」
「そんなこと言ってません」
「同じだろ」
「違います」
政男も目を逸らさなかった。
「浩があなたを父親と呼ぶなら、それでいい。ただ暮らす所の話です」
清太の声が荒くなる。
「随分都がいいな」
「都がいいのは誰です」
文子が、
「政男さん」
と止める。
だが政男は続けた。
「帰ってきた。血がつながっている。だから今から自分が全部決める。それも分、あなたの都でしょう」
清太がちがった。
「俺が好きでいなかったとってるのか!」
政男もった。
「ってない!」
初めて政男が声を荒らげた。
「俺だって妻と娘を空襲で失った!」
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部が静まる。
清太は何も言えなかった。
政男は拳を握っていた。
「俺も好きでになったんじゃない」
声を落とす。
「文子さんのへ最初から入ろうとしたわけでもない。根を直して、戸を直して、浩がをしたから医者を呼んだ。そうしてるうちに、こうなった」
清太は政男の顔を見た。
「あなたが帰ってきたから、俺が消えれば全部元通りになるんですか」
答えは分かっていた。
戻らない。
の族はない。
政男のくなった妻子も戻らない。
清太の失ったも戻らない。
文子の待ったも消えない。
「俺はあのを取ろうとしてるんじゃない」
清太が言った。
「浩を……」
「だから、浩本に聞きましょう」
政男が答えた。
が振り向く。
隣の部。
浩は全部聞いていた。
「浩」
文子が呼ぶ。
はしばらく黙った。
そして、
「母ちゃんのところに戻る」
と言った。
清太の胸が沈んだ。
だが次の言葉が続いた。
「でも、曜は清太父ちゃんのところにく」
文子が息をむ。
浩は吉を見る。
「休みはにも来ていい?」
吉が笑った。
「いつでも来い」
「政男父ちゃんは?」
「俺?」
政男が驚く。
浩はし困った顔をした。
「今のにいるんだから、父ちゃんでいいでしょう」
たちは誰も答えられなかった。
浩には父親がいた。
血のつながった清太。
母と今の暮らしを守る政男。
自分を育てた吉。
そのからだけ選べと考えていたのは、の方だった。
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