"昭和24年、帰還した夫の家に別の夫がいた" 第10話
浩の作文
そのの。
浩が枚の作文用を清太へ持ってきた。
題は、
《ぼくの父》
清太は嫌な予がした。
読む。
《ぼくには父がいます》
最初の文で止まった。
「先、何て言った」
「し困ってた」
「そりゃそうだ」
浩が横から覗く。
作文にはのことがいてあった。
戦争から帰ってきた父。
今、母と緒に暮らしている父。
で自分を育てた父。
《だれが本当の父かと聞かれると、ぼくは困ります。ともぼくにうそをついたことがあります。ともぼくをおこったことがあります》
清太が浩を見る。
「俺、何の嘘ついた」
「蜜柑を拾ったって言った」
「それか」
続きを読む。
《でもともぼくが病気のに来ました。学でけんかしたも話を聞いてくれました。だからぼくはとも父でいいといます》
清太は最まで読んだ。
何も言えない。
浩が配そうに尋ねる。
「変?」
「変だ」
「やっぱり」
「普通じゃない」
浩が落ち込む。
清太は作文を返した。
「でも、普通じゃなくていい」
浩が顔をげる。
「父ちゃんも?」
「ああ」
清太は笑った。
「俺は遅れて帰ってきた父ちゃんだからな」
「遅すぎ」
「その分、これからくやる」
浩は作文を鞄へ戻した。
その夜、清太はになってから、押し入れの奥の箱をけた。
初枝から預かった通の。
まだ浩には見せていない。
いつかになったら読ませようとっていた。
そのに初めて、
自分が帰ろうとしていたこと。
文子も待とうとしていたこと。
誰も最初から誰かを捨てようとしたわけではなかったこと。
全部話せばいい。
今はまだ、
「父ちゃんは今来た」
その事実の方が切だった。
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