"昭和24年、帰還した夫の家に別の夫がいた" 第13話
通のを渡す
浩が歳になった。
清太は箱をした。
「これ、おにやる」
「何?」
「」
通目を浩がく。
子どもの頃、初枝に読んでもらった文章を覚えていた。
「これ……」
「ああ」
「まだあったんだ」
浩は黙って読み始めた。
通。
通。
清太は何も説しなかった。
最に、戦の能性をらせる通も渡した。
文子のき込みも残っている。
浩がい、そのを見つめた。
「母ちゃん、悪くないよ」
突然言った。
清太はし驚いた。
「俺もそうう」
「昔はんでた」
「ってる」
「父ちゃんのことも」
「それもってる」
浩は通を箱へ戻した。
「誰も嘘ついてなかったんだな」
清太は首を振る。
「いや。みんなしずつ嘘をついた」
浩が見る。
「母ちゃんは、おを預けた本当の理由を隠した。初枝さんも都の悪いことは黙った。俺も最初、おに戦争のこと全部は話さなかった」
「じゃあ何で」
清太は考える。
「きるためじゃないか」
正しい嘘とは言わない。
しかし、あの代のたちはそれぞれ壊れないために、しずつ現実を隠した。
浩は箱を抱えた。
「これ、もらっていい?」
「お宛てみたいなもんだ」
「父ちゃん」
「何だ」
「帰ってこようとはしてたんだね」
清太は答えなかった。
ただ頷いた。
それだけで分だった。
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