"離婚3か月後、元義母に300万円を要求された私" 第1話
元義母からの百万円
「美緒、あんた今どこにいるの! 達也が事故に遭ったのよ!」
曜の午過ぎだった。
窓のには、のに照らされた京の並みが広がっていた。私は読みかけの資料を閉じ、淹れたばかりのハーブティーへを伸ばしたところだった。
スマートフォンの画面には、かぶりに見る名が表示されている。
《美代子さん》
正確には、元義母だ。
婚届が受理されたから、彼女と私は法にも活も何の関係もない。それなのに、着信拒否にすることすら忘れていた番号が、突然休の静かな部へ割り込んできた。
「事故ですか」
「そうよ! バイクで転んで、あちこち骨折してるの! 術も必なのよ!」
話の向こうでは、病院らしいざわめきが聞こえていた。
美代子さんは息を切らしながら続けた。
「とりあえず百万円必なの。あんた、貯あるでしょう? 今すぐでろして、現で持ってきなさい」
私は返事をしなかった。
聞き違えたのかとったからではない。
あまりにも予通りだったからだ。
「聞いてるの?」
「聞いています」
「だったらくしてよ。達也がんでもいいの?」
私はテーブルのにスマートフォンを置き、通話を録音へ切り替えた。
婚、弁護士からつだけ言われたことがある。
《あのご族と話すは、に言い返す必はありません。
広告
銭求や脅しがあれば、必ず記録してください》
まさかか、本当に役につとはわなかった。
「百万円というのは、何のおですか」
「だから術代と入院費よ!」
「病院から請求はていますか」
瞬、声が止まった。
「そんなもの、今はどうでもいいでしょう」
「どうでもよくありません。病院名と診療費の細を送ってください」
「細かいことばっかり! 昔からそういうところがげないのよ!」
その言で、私はかすかに笑った。
かと何つ変わっていない。
「そもそも達也がこんな事故を起こしたのも、半分はあんたのせいなんだからね」
「私の?」
「あんたみたいな暗くてにうるさい女と結婚したせいで、あの子はずっとストレスを抱えていたのよ。婚してから精神に定になって、バイクなんか乗り回すようになったんじゃない」
私はハーブティーをんだ。
達也が事故を起こした理由については、すでに別の報を持っている。
婚も彼を追い回していたわけではない。
ただ、財産分与と倫の証拠を理する過程で依頼していた調査会社から、最の報告が届いただけだった。
そこに記録されていた内容は、美代子さんが今語っている「婚のショック」とはまるで違う。
「夫婦だったんだから、困ったに助けるのは当然でしょう」
広告
「元夫婦です」
「何よ、その言い方」
「婚してかです。私はもう達也さんの配偶者ではありません」
「度族になったんだから同じよ!」
「同じではありません」
私が淡々と返すほど、美代子さんの声はきくなった。
「本当にたい女ね。今すぐ百万円持ってきなさい。りなければ、あんたの実に頼めばいいでしょう!」
ついには私の両親まで財布にするつもりらしい。
か。
彼女は確かに私へ言った。
《荷物だけ持ってていきなさい。もう度とうちの敷居をまたがないで》
それが今では、
《元嫁なんだから百万円持ってこい》
はここまで都よく記憶をき換えられるものなのだろうか。
私はわずでさく笑った。
「何がおかしいのよ!」
「いえ」
カップを置く。
「本当に、でも見ているのかといまして」
「何ですって?」
「百万円でしょう?」
「そうよ!」
「それなら――」
私はゆっくり窓のへ目を向けた。
「しいお嫁さんに頼んでください」
話の向こうが、自然なほど静かになった。
その沈黙だけで、私には分かった。
達也の隣にいたはずの若い女に、何かが起きている。
そしてか、勝ち誇った顔で私をから追いしたの活は、もう私が像していた以に崩れ始めていた。
---
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
夫が毎日3回トイレを磨く理由
結婚五年。紗季は、温厚で家事にも協力的な夫・玲央と、四歳の娘・莉乃と平穏に暮らしていた。ただ一つ奇妙だったのは、夫が毎日三回もトイレを掃除し、誰にも触らせなかったこと。 ある日、法医学者の親友・美代子が、トイレの排水設備から人間の歯と古い血痕の痕跡を発見する。調査を進めると、この家では六年前、玲央と同棲していた婚約者が突然姿を消していた。夫婦|真実|真相1.5万字5 1 -
完結第20話
置き去り後27分
給与口座の通帳と暗証番号を義母へ渡すよう迫られた美和。拒絶すると、夫は彼女を真冬の国道へ置き去りにし、「怖い思いをすれば折れる」と走り去った。 美和は泣いて追いすがらず、900メートル先のファミレスで夜を明かす。翌朝、夫から届いていたのは41件の着信と、「すぐに戻った」という釈明だった。 だが店を出ようとした美和を、見知らぬトラック運転手が呼び止める。彼のドライブレコーダーには、夫が戻ったのは27分後だったこと、さらに義母との電話で置き去りの目的を語る肉声まで残されていた。 口座を守るための夫婦喧嘩だと思っていた夫。しかし映像が暴いたのは、妻を恐怖で屈服させようとした計画的な支配だった。美和は金だけでなく、自分の人生を決める権利を取り戻すため、24年間の結婚に静かに決着をつける。夫婦|第二の人生|ATM扱い|金銭問題2.2万字5 434 -
完結第14話
赤ちゃんの声が聞こえる姪が、夫の嘘を見抜いた日
生後一か月の息子を見た六歳の姪・美久は、「赤ちゃん、お父さんにひどいことをしないでって言ってる」と告げる。その言葉に、夫・徹だけが激しく動揺した。 育児をせず、暴言を重ねる夫に違和感を抱き始めた亜鳥。やがて美久が書斎で見つけた封筒から、亜鳥を被保険者、徹を受取人とする高額な生命保険の書類が発見される。 さらに調べると、徹には隠していた借金と別の女性がいた。夫婦|真実|真相|親子関係1.4万字5 41 -
完結第12話
私にだけハズレ料理を出す義母の誤算
月に一度の義実家での食事会。真希にだけ、焦げたご飯、肉のない煮物、殻付きのエビ、骨だらけの刺身が出される。しかし夫・隆は「偶然だ」「被害妄想だ」と、母親を庇い続けた。 妊娠を知った真希は、わが子を守るため、記録を残しながら静かに脱出の準備を始める。そんな中、義母は「誰がハズレを引くかしら」と、中身の違うメンチカツを食卓へ並べた。 真希が選んだ一つを切ると、中から現れたのは肉ではなく、形を整えたかまぼこ。長年「偶然」で隠されてきた嫌がらせが、夫と義父の前で初めて暴かれる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場1.3万字5 18 -
完結第20話
家族投票の三日後
お盆の親族会で、地味な事務員として働く美緒は、姉から「家族の投票で決めた。今すぐ出ていけ」と追放を宣告される。両親も親戚も、姉の婚約者も笑って賛成した。 しかし彼らは知らなかった。倒産寸前だった老舗旅館を救い、土地と建物を買い取った真の所有者が、美緒であることを。彼女が姿を隠して注ぎ続けた資金がなければ、旅館は一か月も維持できなかった。 美緒が援助を止めると、家族の浪費と巨額の不正支出が露見する。さらに姉の婚約者も、旅館の資産を利用して自社の損失を埋めようとしていた。そして三日後、華やかな結納の最中、執行官と弁護士が現れる。怒り|嫁姑|金銭問題|修羅場1.9万字5 10 -
完結第21話
賞与0円を告げられたので、会社を辞めてイタリアへ
十七年間、海外調達を支えてきた玲奈に言い渡された年末賞与は、まさかの零円。評価は最高ランクのまま、翌年も重要なイタリア案件を任されていた。会社は住宅ローンを抱える彼女なら、どんな扱いをしても辞めないと考えていたのだ。 玲奈は怒鳴らず、記録を残して退職届を提出。家と車を手放し、亡き母の言葉に背中を押されてイタリアへ渡る。 ところが彼女の退職後、強引な一律値下げ交渉によって工房との信頼関係は崩れ、大型案件まで危機に陥る。三か月後、玲奈の携帯には人事、部長、社長から合計三百十二件もの着信が残されていた。職場逆転|第二の人生|金銭問題2.8万字5 37 -
完結第15話
午前2時17分、亡き妻が病室を訪れる
午前2時17分。夜勤看護師の由衣は、面会時間を過ぎた病棟で黒いコートの女性を目撃する。 女性が立ち止まったのは、家族との連絡を拒み続ける71歳の患者・久世修一の病室前。だが受付記録にも防犯カメラにも姿はなく、乗り込んだエレベーターからも忽然と消えていた。 修一は女性の特徴を聞くと顔色を変え、10年間疎遠だった娘へ連絡してほしいと頼む。やがて判明したのは、黒いコートが10年前に亡くなった妻・美佐子のものと同じだったこと。そして彼女が息を引き取った時刻も、午前2時17分だった。 妻の最期に間に合わなかった父と、その父を許せなかった娘。再び同じ時刻にエレベーターが開く夜、10年間止まっていた家族の時間が静かに動き始める。ミステリー|夫婦|真実|真相1.4万字5 115