みかん小説
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"賞与0円を告げられたので、会社を辞めてイタリアへ" 第2話

必なの値段

翌朝、私は分く社し、共棚のイタリア案件ファイルを取りした。革、材、属部品、塗装。会社ごとに契約は理されているが、数字の欄だけを読んでも交渉の順番は分からない。価格をげれば最発注数量が増え、納期をくすれば検品の条件が変わる。私がかけて覚えたのはの担当者の好みではなく、そうした条件の結びつきだった。

寺がコップのコーヒーを持って現れた。「昨の件、確認先から回答が来ました。言われた通りメールに残しています」。私は返信の保先を示し、先方の回答も追記するよう頼んだ。彼女が「何か変わるんですか」と尋ねた、私はすぐには答えられなかった。退職を決めたとはいえ、まだ提していない話を輩に背負わせるつもりはなかった。

午、部に呼ばれた。窓際の打ちわせ席には仕切りがなく、しれたところを営業社員が通っていた。部は「来度の担当を理したい」と予定表をき、革メーカー社の最終判断は引き続き私に任せると言った。私は帳にその言葉を記し、「事にも確認しましたが、私の末賞与は零円です」と伝えた。

部の表が変わった。「それは何かの調じゃないのか」「入力ミスではないと確認済みです。

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理由は総判断とのことでした」。部は窓のを見てから、「俺は額までは聞いていない」と答えた。驚きは本物に見えたが、だからといって私が納得できる話ではない。私は予定表を指さし、評価が零円なら来の担当範囲も見直すべきではないかと聞いた。

「それは違う。イタリアは君がいないと回らないんだ」

言ってから部自が矛盾に気づいたようだった。私は「必な仕事を任せながら、その仕事をする私には零円でよいということですね」と確かめた。部は否定せず、代わりに「末だからきな話にしない方がいい」と声を落とした。会社の都を先に置くその言で、私はこのが私を守ってくれると期待するのをやめた。

昼休み、休憩では同僚たちが賞与でを買う話をしていた。誰も悪くないし、彼らが正当に受け取った額を羨む気持ちもなかった。それでも輪に入れず、私は非常階段の踊りで温かいお茶をんだ。スマートフォンで宅ローンの残をくと、千百万円を超える数字が表示された。母がくなってからで守ってきたマンションで、簡単に投げせる額ではない。

だから私は、りではなく順番でくことにした。社内の申請フォームから「来度の担当範囲、任育成の責任者、契約更の最終承認者」

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を文で回答してほしいと依頼した。賞与への抗議ではなく、業務を誰が判断するのかの確認である。受付番号が表示されると、その数字を帳に写した。の「頼むよ」を会社の正式な記録へ移す、さな反撃だった。

夕方、部から「さっきの話は事に聞いておく」とメールが届いた。私は礼を返し、資料の理を続けた。個の覚えきにしかなかったごとの注点を、共フォルダーの覧へ移す。私がいなくなったも輩が仕事をめられるようにするためであり、同に「君がいないと困る」という言葉を、私を縛る具にさせないためでもあった。

帰宅、私は卓に宅ローンの返済予定表と検証を並べた。辞めると決めたが最初にすることは、退職届をくことではなく、自分が何か暮らせるかを確かめることだとった。貯蓄、毎の支、退職の見込み、まいを売るの数料をノートにいた。まだもも放すと決めていない。ただ、会社をれるが数字として見えるかどうかを確かめたかった。

翌、事から申請への回答が届いた。担当範囲は変更なし、最終承認は部と担当役員、任育成は部署判断。事務なだったが、これで会社は来も私に同じ仕事をさせるつもりだと確定した。

そして、その回答の末尾には見慣れない承認者の名があった。神孝臣――社の息子で、半から調達改革を主導している専務だった。

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