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"賞与0円を告げられたので、会社を辞めてイタリアへ" 第9話

名のない約束

ホテル案件は、欧州の級ホテルチェーンがめる複数の改装計画だった。報資料に載る総事業規模は約百億円だが、神インテリアがその全額を受注するわけではない。会社が最終選考に残っているのは、客用具と部内装部材の供であり、品質と継続性を評価されていた。私は試作品の素材調達を担当していたものの、契約の最終判断は営業部と経営陣の仕事だった。

「退職も私が調達体制を維持するように読めます」と私は部へ返信した。部は「名をすとホテル側がになる」と言った。私は顧客のを否定しなかったが、だからといって事実と違う説はできない。「今の担当部署と承認者を記してください。私の名は過の試作品対応者として必な範囲に限ってください」と伝えた。

部と寺を交えた確認会議では、私は試作品の記録をいた。革の番号、材の仕げ、属脚の耐久試験、材の差許容値。すべて資料に残っているが、量産へむには改めて発注見込みと品質保証の範囲を決める必がある。寺が「これをホテル側へそのまま送ればいいですか」と聞くと、私は「送るに、どれが確定でどれが未確定かを分けて」と答えた。

専務は会議の途から参加し、「顧客にはが必だ。

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細かい条件を先に並べるとを招く」と言った。私は「未確定を確定のように伝えたで変更する方が、もっとを招きます」と返した。専務は満そうに資料を閉じたが、部は「藤崎さんの名は退職の体制図からす」と決めた。私はその修正版を確認し、会議記録に残してもらった。

翌、寺が私の席に来た。「専務から、私が直接ホテルの担当者に話して納期は丈夫だと言うように言われました」。私は何を根拠に丈夫と言えるのか尋ねた。寺は答えられなかった。革メーカーの来期枠も属部品の価格もまだ確定していないのだから当然だ。「部に未確定の項目を示して、何を約束してよいか指示を受けて」と私は伝えた。

寺は部へメールを送り、承認がるまで話を保留した。部は最初こそ困った様子だったが、最には「確定した範囲だけ回答」と指示をした。私はそのやり取りを見て、任が私の仕事を引き継ぎ始めているとじた。私のように先回りして穴を埋めるのではなく、穴があることを会社にらせ、決めてもらう。それは会社にとって面倒でも、く続く仕組みには必なことだった。

週末、マンションの内覧があった。田が案内したのは、共働きの夫婦と学の娘だった。娘は窓際のさな棚を見て「ここに本を置けるね」

と母親に話しかけていた。私はその声を聞き、自分の部が次のの活になることを初めて実した。売ると決めたわけではないのに、胸の奥がし痛んだ。

内覧が終わった、私は母の写真を棚からして封筒に入れた。売却が決まらなければここにみ続けることもできる。それでも、今の私はこの部以に暮らしを作れるとっている。夕方、田から「購入を向きに検討したいと連絡がありました」と話が来た。私は価格と引き渡し条件を改めて確認するよう頼んだ。退職とまいの方が、同じの終わりへ向かってづいていた。

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