"家族投票の三日後" 第16話
巨額損害賠償の請求
「さて、野の皆様」
につのに、黒川弁護士が歩み寄り、通の内容証郵便を差しした。 それは、彼らがこれから背負うことになる、現実の「数字のみ」だった。
「ひ……何よ、これ……」加代子が震えるで封筒を受け取る。
「過にわたり、あなた方が砂楼の当座預から『旅館の経費』と偽って私に費消した資――昭夫氏の級ローン、加代子氏の宝購入費、結氏のブランド料品代。ならびに、本の結納のために無断で発注された級材の損害額」
黒川が淡々と読みげる数字。
「総額、億千百万円。本付で、株式会社エニシ・インベストメントより、背任および横領に基づく損害賠償請求訴訟を横浜方裁判所へ提起いたしました」
「い……億千万……!?」 昭夫が目を剥き、泡を吹きかけた。
「は、払えるわけないでしょ! 破産よ! 自己破産してやるわ!」結が喚き散らす。
「残ですが、結様」 黒川の元に、徹極まりない笑みが浮かんだ。 「破産法第百条第項各号、ならびに悪の法為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権に該当します。すなわち、自己破産を申してようと、この借は涯、ぬまで免除されません」
「な……」
「与、預貯、将来受け取るに至るまで、法に差し押さえの続きを順次執いたします。
……ぬまで働いて、横領したを返済し続けなさい」
黒川は礼すると、私の待つの内側へと戻ってきた。 扉が、い音をてて閉ざされる。
ギィィィ……バタンッ!!
頑丈な鉄の閂が落とされる乾いた属音。 の向こうから、の狂乱した泣き叫ぶ声が響いてきた。
「けてくれぇぇっ! 美緒ぉぉぉっ!」 「許して! お母さんが悪かったわぁぁっ!」
だが、その声は、真の蝉のへ、虚しくかき消されていった。 私が守り抜いたから、すべての害虫が完全に駆除された瞬だった。
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