"家族投票の三日後" 第18話
雇い労働と隙のアパート
同じ頃。 神奈川県郊の業帯に隣接する、築を超える造モルタルアパートの。
畳半の暗い部には、エアコンもなく、壊れかけた扇がカラカラとな音をてて首を振っていた。 畳の隙からは湿ったカビの臭いがちり、壁のいベニヤ板越しに、隣の鳴り声が筒抜けに響いてくる。
「……痛い、腰が……」 昭夫が湿布だらけの腰を押さえ、万のに倒れ込んだ。 歳にして、で初めて経験する解体現の雇い労働。 級を乗り回し、ワイングラスを傾けていた男のは、豆が潰れて血とにまみれていた。
台所では、加代子がスーパーの見切り品のモヤシを炒めながら、涙を流していた。 「どうして……どうして私たちがこんな目に遭わなきゃならないのよ……」 かつて自していた毛皮も宝も、すべて差し押さえられて競売にかけられた。 元に残ったのは、雇いのわずかな当から、横領の返済分を引きされた残りの、雀の涙ほどの銭だけだった。
そして、鏡のでボロボロのTシャツを着てうずくまっていた結は、乱れた髪を掻きむしりながら狂ったように呟いていた。
「私は若女将になるはずだったの……! セレブの妻になるはずだったのよ……! 全部、あいつのせいよ……美緒のせいよぉぉっ!」
だが、彼女を迎えに来る馬の騎士は、もう度と現れない。 條翔太は、背任横領の容疑で京検に逮捕され、すでに勾留。グローバル・エステート社は倒産し、彼自も数億円の負債を抱えて破滅していた。
「おのせいだ!」「あんたが美緒を追いそうなんて言いしたからだ!」 狭い部ので、かつて「族投票」で結託したが、醜く罵りい、互いの胸ぐらを掴みう。 誰の助けも届かない、底なしの沼ので、彼らは涯、自分たちが犯した罪の代償を払い続けるのだ。
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