みかん小説
本棚

"家族投票の三日後" 第20話

奪われない誇りと、しい(エピローグ)

夕暮れ。 茜に染まる空の、庭のびを歩いていると、向こうからよし子さんが笑顔でりにやってきた。

「美緒社! 厨で料理が、今番の松茸を使ったお吸い物を作って待っていますよ。めないうちに、召しがってください!」

「ありがとう、よし子さん。今くわ」

よし子さんの温かな笑顔。 厨から漂ってくる、汁の優しいり。 廊ですれ違う若い仲居たちが、「社、お疲れ様です!」と誇らしげにをげる。

これが、私が守りたかったものだ。 見栄でも、血筋でも、数決の暴力でもない。 誠実にき、誰かをいやり、自らのでつたちだけが紡ぎすことのできる、本物の温もり。

あの、広で姉が突きつけてきた言葉。 『族で投票して決めたの。もうあなたは族じゃない』

あの言葉は、私を絶望させるための刃ではなかった。 偽りの絆という名の牢獄から、私を解き放ってくれた、最の解放宣言だったのだ。

真の資本主義において、そしての尊厳において、を支配するのは数決の数ではない。 己の力で積みげた実力と、者への誠実さ、そして絶対に揺らぐことのない誇りだ。

ち止まり、の空を見げる。 夕に照らされた砂楼の根瓦が、黄に神々しく輝いていた。

「さあ、きましょうか」

私はを向き、凛として歩きした。 私のには今、誰にも脅かされることのない、どこまでも澄み渡る、しい未来が広がっていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: