みかん小説
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"私にだけハズレ料理を出す義母の誤算" 第7話

実の灯りと閉ざされた

実のにを滑り込ませたとき、玄関灯がかく夜のを照らしていた。

エンジンを切ってにると、の夜が照った頬を撫でる。胃の腑の底で渦巻いていた苦しいりと緊張が、実の見慣れた垣を目にした瞬、急速にほどけていくのが分かった。玄関の引き戸がガラリとき、父・信幸と母・静が駆け寄ってきた。

「真希、丈夫だったか」

父のく落ち着いた声を聞いた途端、堪えていた涙がにこぼれ落ちそうになった。だが、私はぐっと奥歯を噛みしめ、首を横に振った。

「うん。全部、終わらせてきたよ」

リビングに通されると、テーブルのには湯気をてるほうじ茶と、消化の良い野菜スープが用されていた。母は私の肩にそっとショールを掛け、何も詮索せずに温かいスープをに差ししてくれた。すすると、昆布汁の優しいりが臓腑に染み渡る。義実でされた、え切って油の浮いた偽装メンチカツとは比べ物にならない、本物の事のだった。

「お父さん、お母さん、ごめんなさい。急にこんなことになって……」

「謝ることなど何つない」

教壇にち続けていた父は、普段は穏やかだが、理の通らない筋違いには厳格な男だった。私がテーブルのに置いた母子帳と、克に記録された義実での「嫌がらせ帳」

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をめくりながら、父の眉の皺がくなっていく。

「焦げたご飯に、脂のフライ、骨を抜いていない刺……。これが度や度の違いではなく、半にわたって計画にわれていたのだな」

「ええ。今なんて、妊娠が分かっている私のに、がかまぼこのカツをしてきたの。『誰がハズレを引くかしら』って笑いながら。私が指摘すると、お義母さんは泣き真似をして、隆さんは『母さんを疑うな』って私を鳴りつけたわ」

静が元をで覆い、静かにりの涙を浮かべた。

「なんてたちなの……。妊婦の体にそんな真似をするなんて、の親のすることじゃないわ。真希、もうあのには歩もづかなくていい。これからは私たちがこの子を守るからね」

その夜、私のスマートフォンには、隆からの着信通が数回にわたって点滅し続けた。

『おい、どこにいるんだ』 『話を聞けよ、母さんが倒れそうになって泣いてるんだぞ』 『悪かったって言ってるだろ! 頼むから話にてくれ』

画面の向こうで焦り狂う夫の姿がにとるように浮かんだが、私は度もコールに応じることなく、源を完全に切った。夫が真に焦っているのは、妻の体調でも、お腹の赤子の否でもない。母親の醜態を暴かれ、自分の「円満な庭」という欺瞞が崩壊したことへの自己保全に過ぎない。

翌朝、インターホンの甲い連打音が、静かな実の朝を切り裂いた。

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