みかん小説
本棚

"私にだけハズレ料理を出す義母の誤算" 第10話

崩壊する『完璧な姑』

誓約が交わされてからの数ヶ、義実では目に見えない崩壊が始まっていた。

週末、隆はで義実へ赴き、ことの次第を両親に告げたという。に隆が憔悴しきった様子で漏らした話によれば、子の取り乱しようは凄まじいものだった。

「なんでよ! なんで私が初孫に会えないのよ! たかが事のことで、あの子はどこまで根性が悪いの!」

逆して叫ぶ子に対し、これまで庭内で常に沈黙を守ってきた義父・康男が、ついにりを爆発させた。

「いい加減にしろ、子!」

康男は茶卓をひっくり返さんばかりに叩いた。退職、穏やかに暮らすことだけを望んでいた義父にとって、妻の湿な本性と、それによって孫に会えなくなったという現実は、耐え難い恥辱だった。

「俺も々気づいていたんだ! 真希さんの皿だけ肉がないことも、焦げたご飯が回っていたことも! だが、おが『うっかり』と言うからを挟まなかった。それがまさか、図な嫌がらせだったとはな! おは自分の醜い嫉妬で、このの血筋を断ち切ったんだぞ!」

「なによ! あなたまであの子の方をするの!? 私は隆のために——」

「隆のためだと!? 息子に恥をかかせ、を塗ったのはおだ! 親戚にも何と言えばいい! 『嫁をいびり倒したせいで孫の顔も見せてもらえません』と触れ回るのか!」

広告

義父のその言葉は、子がもっとも恐れていた急所を正確に射抜いた。

子は、世体と親戚への見栄だけをき甲斐にしてきただった。毎のお盆や正には、親戚同を集めて料理を振るい、「自の息子と、従順な嫁」を演することで自尊を満たしていたのだ。

しかし、今の、親戚の集まりに真希の姿はなかった。

「あれ、子さん、真希さんはどうしたの? もうすぐまれる頃でしょう?」

親戚の叔母たちが尋ねるたび、子は引きつった笑みを浮かべて「ええ、実で静養していて……」とお茶を濁すしかなかった。だが、事をる康男がややかに「あいつが嫁にいらん細をしたせいで、縁を切られたんだよ」と内に暴したことで、親戚の空気は変した。

「まあ……子さん、そんなことを……」 「信じられないわね、あんなに優しそうな顔をして……」

囁きう親戚たちのたい線。子がかけて築きげてきた「良妻賢母」「理の姑」という砂のは、内ので音をてて崩れっていった。

子はノイローゼ気になり、所の買い物にすら目を避けてかけるようになったという。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: