"昭和38年、つなぐなと言われた救急電話" 第6話
母の
「署名しろ」
原はもう度言った。
澄子は報告から目をげた。
「嫌です」
「そうか」
「主任は、あの夜どうして会社の話だけつないだんですか」
初めて、原の顔から余裕が消えた。
「何の話だ」
「午分。信濃建から松本本社」
「記録を勝に見たのか」
「線は故障していませんでした」
原はちがった。
「誰に話した」
「まだ誰にも」
「まだ?」
澄子は答えなかった。
原は机の端へ両を置いた。
「宮坂。おがってるほど簡単な話じゃない」
「歳の子がんだことより複雑なんですか」
「事を止めれば何も職を失う」
「だから話を止めた?」
「事故はもう起きてた」
「まだきてた!」
澄子の声が部に響いた。
廊の向こうで誰かの音が止まる。
原は声を落とした。
「ていけ」
「警察への話も主任が受けましたね」
原の目がいた。
「午分。私を械へかせた」
「らん」
「藤沢先の記録に残っています」
原は何も答えなかった。
澄子は部をた。
そのから、完全に交換台をされた。
類理。
清掃。
番号簿の差し替え。
仕事らしい仕事をさせてもらえない。
昼休み。
妙子が隣へ座った。
「本当にやるつもりなの?」
「何を」
「主任と喧嘩」
「喧嘩じゃない」
「同じだよ」
妙子は握り飯を見つめていた。
「私、あの夜見てた」
澄子のが止まった。
「何を?」
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「主任があなたのコードを押さえたところ」
「だったら言って」
「無理」
「妙子さん」
「父が病気なの」
妙子の目が赤くなった。
「私が辞めさせられたら、薬代払えない」
澄子は何も言えなかった。
また同じだった。
族。
活。
仕事。
はそれぞれ守らなければならないものを持っている。
そして隠す側は、そのさをっている。
「ごめん」
妙子が言った。
「でもつだけ」
「何?」
「あなたが械へった、主任、話を受けてた」
澄子は息を止めた。
「何て言ってた?」
「全部は聞こえなかった」
妙子は周囲を見た。
「でも、“警察はまだ駄目だ”って言った」
それだけで分だった。
澄子は帰宅するとノートへいた。
《瀬妙子 2358分頃、原主任が通話。“警察はまだ駄目だ”》
だが証言として使えるかは分からない。
妙子は表へられない。
なら別の記録が必だった。
澄子は林志乃からのをもう度読んだ。
《息子は最まできようとしていましたか》
その文を読むたび、あの夜の自分のがいされた。
コードに触れながら、差し込めなかった。
原に止められたから。
仕事を失いたくなかったから。
族がいたから。
理由はいくらでも言える。
しかし、話の向こうで藤沢は「まだきている」と言っていた。
澄子は決めた。
自分の潔だけではない。
あの夜、何が起きたかを最まで調べる。
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最初に向かったのは事現だった。
浦は会おうとしなかった。
澄子は仕事終わりまで脇で待った。
夕暮れ。
作業員たちがをりる。
最に浦がてきた。
「また来たのか」
「確認したいんです」
「もう言わん」
「会社は発破刻を何と記録していますか」
浦の顔が張った。
「午」
「本当は?」
「……」
「分過ぎですね」
「帰れ」
「点したのは誰?」
「宮坂さん」
「敏夫さんですか」
浦は目を閉じた。
「点を命じたのは敏夫だ」
澄子は黙った。
「でも、あいつだけのせいじゃない」
「どういうこと?」
「期が遅れてた。翌週に県の検査が入る。所が今夜に岩盤を落とせと言った」
「危険だって分かってた?」
「で斜面が緩んでた」
「勝雄君は?」
浦の声がさくなった。
「発破の、具箱がないって戻った」
「誰も確認しなかった?」
「敏夫は全員退避したとった」
「点した?」
浦が頷く。
爆発の。
通常とは違う方向へがんだ。
誰かが叫んだ。
暗ので勝雄が見つかった。
最初は識があった。
「何か話しました?」
浦はしばらく答えなかった。
「母ちゃんに、言わないでくれって」
「え?」
「配するからって」
澄子は唇を噛んだ。
歳。
自分がけがをしているまで、母を配していた。
「どうしてすぐ救急を呼ばなかったんですか」
「敏夫が会社へ先に連絡すると言った」
「何分遅れた?」
「分からん。分……分かもしれん」
事故直から、すでにが失われていた。
そして勝雄を診療所へ運んだ。
さらに病院への話が止められた。
澄子は初めてじた。
これは回の判断ミスではない。
つの嘘を守るために。
次の判断がまれた。
そしてまた次の判断が。
歳のがきているを、分ずつ奪っていったのだ。
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