"昭和38年、つなぐなと言われた救急電話" 第12話
朝に作られた事故
警察の事聴取が始まると、奥沢町では誰もが事件の話をするようになった。
それでも表って会社を批判するはない。
信濃建は域のきな雇用先だった。
商も。
運送も。
旅館も。
事関係者からを受け取って暮らしている。
「余計なことをして町を潰す気か」
澄子の母の千代は、買い物先でそう言われた。
の柱には、誰が置いたのか分からないのついたが並べられた。
浩は学で、
「おの姉ちゃんのせいで親父が仕事なくなる」
と同級に言われた。
澄子は初めて迷った。
自分が真実をすことで、関係のないまで困る。
原の言葉。
――事を止めれば何も職を失う。
あれは脅しだった。
だが完全な嘘でもなかった。
「姉ちゃん」
夜。
浩が言った。
「俺、学辞めてもいいよ」
「何言ってるの」
「交換所辞めさせられたらいるだろ」
澄子は弟のを軽く叩いた。
「それだけは絶対駄目」
「でも」
「勝雄君も学へきたかったんだって」
浩が黙る。
「のために働いた」
澄子は弟を見た。
「だからあんたは学へきなさい」
数。
事故の虚偽報告がどのように作られたのかが、しずつらかになった。
事故当夜。
午1054分、発破。
勝雄負傷。
午1120分、診療所。
その直。
敏夫は現事務所へ戻り、本社へ連絡した。
古田務部からは、
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「警察が入れば夜作業が問題になる」
という趣旨の話があった。
さらに事の検査を控えていたため、な全違反がるみにれば事そのものが止する能性があった。
町役の黒建設課にも連絡が入る。
事故の公式刻を、翌朝の巡回へずらす。
夜発破との関係を消す。
自然落として扱う。
そうすれば事記録の問題はさくなる。
すべてが確な命令として残っていたわけではない。
話。
。
「そういうことにしておけ」という曖昧な言葉。
責任を分散させるには分だった。
原蔵が話を止めた理由もそこにあった。
息子の敏夫から最初に連絡を受けていた。
病院につなげば、医療記録に刻が残る。
警察につなげば、事故刻が確定する。
だから止めた。
しかし藤沢は診療誌にすべて残していた。
午1120分。
勝雄搬入。
午1135分。
転送判断。
午1143分。
話。
そして午108分。
。
消せなかった記録だった。
「先」
澄子は久しぶりに藤沢へ尋ねた。
「どうして誌をき換えなかったんですか」
老は鏡越しに澄子を見た。
「医者が患者のまで嘘をついたら、何が残る」
い答えだった。
澄子は自分の仕事をった。
交換も同じだった。
誰が。
いつ。
どこへ。
つないだか。
本来はただの業務記録だった。
だがその夜は、のがきていたを証する記録になった。
それを消した者がいた。
残した者もいた。
事件を分けたのは、ほんのそれだけだった。
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