"昭和38年、つなぐなと言われた救急電話" 第14話
助かったかもしれない命
事故調査で最も難しかったのは、つの問いだった。
もし午1143分の話がすぐ県病院へつながっていたら。
林勝雄は助かったのか。
藤沢医師は最初から断定しなかった。
「絶対とは言えません」
県病院の医師も同じだった。
傷。
量の血。
当の事。
搬送。
条件は悪い。
それでも。
「期搬送がわれていれば、救命できた能性を否定できない」
医学な見解はそこまでだった。
林志乃はその言葉を聞いた。
「助かったんですか」
「分かりません」
「助からなかったんですか」
「それも分かりません」
最も残酷な答えだった。
はっきりしていれば、ることができる。
諦めることもできる。
能性だけが残れば。
族は「もし」を考える。
調査の結果。
夜発破。
全確認の。
事故記録の改変。
救急連絡の妨害。
警察連絡の接続。
代替両の阻止。
複数の事実が認定された。
だが責任はきれいには分かれなかった。
原敏夫には現責任者としてな落ち度があった。
所は危険な条件で作業を続けさせた。
本社は事故、正確な報告より会社への響を優先した。
町役の担当者も、自然な報告をすぐには訂正しなかった。
原蔵は話を図に止め、記録を消し、さらに澄子へ責任を転嫁しようとした。
だが全員が同じさで処罰されたわけではない。
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直接な指示を裏づけられない部分。
でしか残っていない部分。
誰が最終に何を命じたのか確認できない部分。
捜査がむほど、責任の線は複雑になった。
事会社の幹部の部は処分を受けた。
現関係者も責任を問われた。
原主任は交換業務からされ、その職へ戻ることはなかった。
しかし澄子には、
「これで全員が償った」
とはえなかった。
ある者は職を失った。
ある者は役職をれた。
ある者は最まで「自分はらなかった」と言い続けた。
そして歳の勝雄だけが帰ってこない。
林志乃は最まで、処分のさについて何も言わなかった。
彼女がりたかったのは別のことだった。
ある。
藤沢医師と澄子が林を訪ねた。
志乃と美代が仏壇のに座る。
藤沢が事故当夜のことを、初めて母親へ詳しく話した。
診療所へ来た。
勝雄には識があった。
痛みに耐えながら何度も目をいた。
「お母さんを呼びますか」
護婦が聞いた。
勝雄は首を横に振った。
《母ちゃん、も朝いから》
そう言った。
さらに。
《妹、学あるから》
藤沢は声を詰まらせた。
志乃は黙って聞いていた。
「先」
「はい」
「あの子は……」
志乃は膝のでを握った。
澄子には、その先の言葉が分かった。
と同じ。
「最まで、きようとしていましたか」
藤沢は今度は迷わなかった。
「はい」
志乃の顔が崩れた。
「そうですか」
「何度も起きがろうとしました」
「そうですか」
「病院へくと説したら、頷きました」
志乃は泣きながら何度も同じ言葉を言った。
「そうですか」
それ以は何も聞かなかった。
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