"昭和38年、つなぐなと言われた救急電話" 第15話
交換台からされた女
調査が終わったも、澄子はすぐ元の仕事へ戻れなかった。
原が作った処分報告は正式に撤回された。
線故障という説も否定された。
澄子に接続遅延の責任があったという記録も訂正された。
類のでは、名誉は戻った。
しかし職の空気は戻らない。
「宮坂さんが全部へ話した」
そう言う者がいた。
「黙っていれば局内で済んだ」
「原主任だけ辞めさせればよかった」
「町の事まで止める必があったのか」
正面から言うはない。
廊。
休憩。
堂。
澄子が入ると会話が止まる。
妙子だけは以と変わらず話した。
ある。
妙子が言った。
「私なら辞めてる」
「私も考えてる」
「本当に?」
「ここで受話器取るたび、あの声をいす」
――まだ息があるんです。
夜になると特に聞こえる。
澄子は、自分が最終には真実を話したことで、すべて許されたとはっていなかった。
あの夜。
最初の話で、もし主任のを振り払っていたら。
コードを差していたら。
原に鳴られても病院へつないでいたら。
結果が変わったかは分からない。
それでも自分はしなかった。
「辞めたら、悔する?」
妙子が聞いた。
「分からない」
「仕事、好きだったでしょ」
澄子は交換台を見た。
歳から。
最初はコードの位置すら分からなかった。
声だけで商主を聞き分けられるようになった。
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のい老にはゆっくり話した。
子どもが「お母ちゃんにつないで」と言えば、を調べてつないだ。
夜。
産。
事。
病気。
族の危篤。
話本の向こうに、の暮らしがあった。
澄子はこの仕事が好きだった。
だからこそ。
あの夜のことが許せなかった。
「交換って」
澄子は言った。
「ただ線をつなぐだけだとってた」
妙子が見る。
「違った?」
「ううん。やっぱり線をつなぐだけ」
「何それ」
「でも、その本がつながるかどうかで、が困ることもある」
澄子は笑わなかった。
「だから“つなぐだけ”をちゃんとやらなきゃ駄目なんだとう」
数週。
部局から配置転換の話が来た。
松本の話局。
奥沢よりきい。
通話もい。
通勤はできないため、寮へ入る必がある。
母と弟を残すことになる。
千代へ話すと、しばらく黙った。
「きなさい」
「でも母さん」
「浩ももうすぐ卒業でしょう」
「まだある」
「私だって働けるよ」
「体悪いじゃない」
千代はしった。
「いつまで私を病扱いするの」
澄子は黙った。
「お父さんがんでから、あんたはずっとのことばっかり」
千代は娘を見た。
「今度くらい、自分で決めなさい」
澄子は松本への異を受けた。
奥沢交換所をる。
机のを空にした。
使った鉛。
さな鏡。
喉飴の缶。
そして、冊のノート。
事故の夜からき続けたもの。
それだけは鞄へ入れた。
へる。
にはがり始めていた。
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