"昭和38年、つなぐなと言われた救急電話" 第17話
残った記録
事件から数が過ぎた。
奥沢町のは完成した。
肌を削って作られたを、バスやトラックがるようになった。
しいを通るのくは、その事で歳のがくなったことをらない。
事故現にも、特別な碑は建てられなかった。
信濃建の名も、やがて別の事板に埋もれていった。
町役の黒は職をれた。
会社の所も現をった。
古田務部は最まで、
「事故を隠せとは命じていない」
と主張した。
のやり取りがく、会社層部のすべての責任を証することはできなかった。
原敏夫は現監督の仕事を失い、町をれた。
蔵も奥沢交換所へ戻らなかった。
しかし誰がどの程度罰せられたかを、澄子はもう追い続けなかった。
処分の覧を眺めても。
勝雄の刻は変わらない。
午108分。
その数字だけは、何経ってもかなかった。
藤沢医師は診療所を引退する際、あのの誌を理していた。
ページをめくる。
午1120分。
搬入。
1135分。
転送必。
1142分。
話始。
午108分。
確認。
そのページだけが特別なのではない。
のには邪の老。
そのには子どもの腹痛。
翌には腰を痛めた農の女性。
同じ字で。
同じように。
記録されている。
それがだった。
事故をきく見せるための記録ではない。
誰かを責めるための記録でもない。
その。
そこに。
患者がいた。
ただそれだけを残した記録。
方、交換所の古い勤務誌には、最初何も残っていなかった。
だから誰かが、
「話などなかった」
と言えた。
澄子はその違いを、涯忘れなかった。
記録というものは。
から真実を作るためにあるのではない。
そのの真実を、から消されないようにするためにある。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
成人式に消えた母と十三着目の振袖
2014年の成人式当日、貸衣装店から母・奈津子が消えた。店の960万円もなくなり、共に姿を消したカメラマンとの逃避行が疑われる。娘の紗季に残されたのは、「今日は署名をしないで」という謎のメモだけだった。 10年後、閉店する店の倉庫から、記録にない「13着目の振袖」が見つかる。その裾には、若い女性たちの名義で作られた高額ローン契約書と、母が隠した証拠が縫い込まれていた。ミステリー|真実|行方不明2.3万字5 0 -
完結第20話
昭和34年、上野駅で名前を奪われた少女
昭和34年、青森から集団就職列車で上京した15歳の澄子。しかし迎えの男は、「佐藤澄子は昨日から働いている」と告げ、十二人のうち彼女だけを駅に置き去りにする。 工場では、石川鈴という少女が澄子の名前と勤務番号を与えられていた。さらに偽造された退職届、説明のない給与控除、未発送の手紙など、少女たちを名前と番号で管理する不正が次々と明らかになる。時代|歴史|昭和2.8万字5 39 -
完結第16話
昭和53年、棟梁が俺を毎晩残した理由
十五歳で大工に弟子入りした直人は、一年間、掃除と雑用ばかりの日々を送っていた。ところが昭和五十三年の春、厳格な棟梁・源造から突然、「今日から毎晩残れ」と命じられる。 鉋、墨付け、仕口、図面。三年かけて覚えるはずの技を急いで教え込まれる一方、棟梁の体は日に日に弱っていく。やがて直人は、夜の稽古が自分を酷使するためではなく、残された時間で技術を託すためだったと知る。 師のいない現場で家を完成させた直人に遺されたのは、「半人前」と書かれた道具箱。しかし、その紙の下には、棟梁が生涯口にしなかった本当の言葉が隠されていた。時代|歴史|昭和2.6万字5 77 -
完結第16話
昭和24年、帰還した夫の家に別の夫がいた
戦地から四年ぶりに帰還した清太を待っていたのは、妻・文子と見知らぬ夫、そして二人の幼い娘だった。「ここはもう私たちの家です」と告げられ、清太は自分が死者として扱われていたことを知る。 出征直前、文子の胎内にいた息子・浩はすでに八歳。しかし浩は母のもとではなく、山村の伯母夫婦に育てられていた。妻も家も息子も取り戻したい清太だったが、彼のいない四年間にも、それぞれが生き延びるために築いた暮らしがあった。 実父の清太、母と暮らす政男、自分を育てた伯父。三人の「父」を持つ浩を前に、清太は家族が奪い返すものではないと気づいていく。時代|歴史|昭和1.4万字5 125