みかん小説
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"赤いガーベラと私の家" 第8話

「あの荷物、返してください」

はしばらく帰ろうとしなかった。

裕は「もうし考えて」と何度も言った。

みちるは「親なのにたすぎる」と繰り返した。

しかし私は度も答えを変えなかった。

「帰るなら、に置いていった荷物も今持って帰って」

玄関脇の収納を指した。

が最初に置いていった段ボールは、回収されたはずだった。

ところが数、別の荷物が宅配ボックスへ押し込まれ、私は管理会社を通じて受け取りを保留していた。

「あと箱あるわよ」

「今?」

裕が嫌そうな顔をした。

「あなたたちの物でしょう」

「じゃないんだけど」

「らないわ」

みちるが満そうにちがった。

「い物が入ってるんです。お母さんが送ってくれればいいじゃないですか」

「は私に連絡もなく置いたでしょう」

「だからって」

「配送の配くらい自分でしなさい」

は結局、スマートフォンで集荷サービスを申し込んだ。

以の私なら、ここでも先回りして配していた。

段ボールを補し、伝票をき、集荷に宅していた。

そのつつを、私はもうしなかった。

待っている。

みちるはリビングのガーベラを何度も見ていた。

「返してもらえたんですね」

「うん」

「購入したに迷惑じゃなかったんですか」

「事をって返してくださったの」

「……そうですか」

謝罪はなかった。

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それでよかった。

無理に言わせた「ごめんなさい」に価値はない。

集荷業者が来た。

は自分たちで箱を運んだ。

と空は美子のそばで眠っていた。

誰も吠えない。

誰も追いかけない。

それでもは最まで犬から距を取っていた。

玄関。

裕が靴を履きながら振り返った。

「母さん」

「何?」

「本当に戻ってこないの?」

私はしだけ考えた。

「戻らない」

「親父、じゃ何もできないよ」

「だったら覚えればいい」

「みちるも事苦だし」

その。

みちるが裕を睨んだ。

「何それ。なんで私がやる提なの?」

「だって俺は残業あるし」

「私だってフルタイム!」

玄関先で夫婦喧嘩が始まりそうになった。

私はドアをけた。

「それはで話しって」

裕が何か言いたそうな顔をする。

私は続けた。

「今まで、その話しいをしないで済んでいたのは、私が全部やっていたからよ」

とも黙った。

「これからは、自分たちののことを自分たちで決めて」

がていく。

私はドアを閉めた。

鍵をかける。

そのさな音を聞いた瞬、議なくらい体が軽くなった。

美子がリビングから言った。

「よく言ったね」

「が震えてる」

「それでも言えた」

私は玄関へ背を預け、笑った。

母の絵は戻った。

息子夫婦の荷物もていった。

そして何より。

このに誰を入れるかを決めるのは、私だ。

ようやく、その当たりのことを自分で信じられるようになっていた。

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