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"義母が倒れた夜、隣人が私を止めた理由" 第3話

夫の靴

映像は鮮とは言えなかった。それでも、男がをしへ向けて歩く癖は見違えようがなかった。に膝を痛めてから、達也はく歩くとそうなる。画面の男は紺の子をかぶり、私のの脇でしゃがんだあと、何度も周囲を見回していた。警察官は断定を避け、元データを保全するよう管理に依頼した。

「達也は阪にいるはずなんです」。私は同じことを度言った。昨夕、夫は幹線のを気にして、夕もべずにていった。スーツケースの持ちが片方だけ赤いことまで覚えている。映像の男は、同じ形の赤い持ちの型ケースを元に置いていた。あのケースには張の資料ではなく、具が入っていたのかもしれない。

警察官に求められ、私は夫との最のやり取りを説した。達也は設備会社の営業職で、半から帰宅が遅くなった。活費の座からは使途の分からない引きしが増え、問いただすと「営業の付きいだ」と嫌になった。私のをだと言いながら、自分はしい腕計を買っていた。私はそれを、夫婦のにできたさな溝だとっていた。

「奥様、今夜は全な所へ移りましょう」。氷さんが声をかけた。私は頷きかけたが、部に置いた類のことをいした。結婚、私が普通の主婦として暮らすために使っていた座の通帳と、命保険の控えを寝のさな庫に入れてある。

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達也は先、その庫の番号を教えてほしいと何度か言った。私は断ったつもりだったが、誕から推測できる番号だった。

警察官のち会いのもと、私たちは部へ戻った。寝のクローゼットをけると、庫の扉は閉まっていたが、番号をわせるつまみの周囲にしい傷があった。には私の古い写真と指輪の保証が残り、達也の通帳、印鑑、パスポートだけが消えている。私の保険証券の入った封筒は、端が自然に折れ曲がっていた。

庫の内側には、父がくれた古い革の帳も残っていた。私は結婚するとき、これだけはしいへ持ってきた。父は会社の仕事について厳しかったが、類を読むときには必ず「数字より先に、誰が責任を負うのかを見なさい」と言った。私はその教えを仕事では守っていたのに、夫が持ってきた保険の類だけは、族を疑いたくないという気持ちで読みばしていた。

結婚の私をるは、そんな姿をにうかもしれない。私は仕事では厳しい判断をね、必なら付きいのある相にも契約の解除を告げてきた。それでも、に帰れば誰かに頼りたかった。達也が初めて私に「無理しなくていい」と言ってくれたのことを、私はずっと覚えていた。あの言葉に救われた自分まで否定したくなくて、違を見ないふりをしていたのだ。

私は封筒を取りし、に広げた。そこに入っていたのは、半に夫から勧められて加入した保障千百万円の契約控えだった。夫は「万のとき互いに困らないように」と言った。私は仕事のを隠していたことへのろめたさもあり、彼の提案を疑わず署名した。今になってえば、彼は私が契約の細部を読むのを嫌がっていた。

氷さんの携帯話がく鳴った。彼は画面を見てから、私に確認した。「佐伯さん、命という保険会社にお当たりはありますか」。私は封筒の表を見せた。彼の表が変わったのは、会社名ではなく、そのにかれた私の旧姓を見たときだった。「契約内容に、最変更申請がています。あなたがらない申請です」。

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